体重、BMIが正常であっても内臓脂肪が問題ないかどうかはわかりません。体重は正常でもポッコリお腹の人はかなり多くいると思います。
今回の研究では、同じアジア人、中国の健康な男性902人と女性885人（平均年齢45.3歳、平均BMI23.5）の腹部CTを分析しました。内臓肥満の診断基準は、男性と女性の両方で100cm2以上の内臓脂肪面積です。（図は原文より）
上の図はどちらもBMIは23.2の人です。黄色が内臓脂肪、紫が皮下脂肪です。Aは内臓肥満で、内臓脂肪組織は207cm2です。一方Bは、内臓肥満はなく、内臓脂肪組織は23.9cm2です。同じBMIでもここまで違いがあります。
上の図は左が男性、右が女性で、上から皮下脂肪指数、内臓脂肪指数、総脂肪指数です。横軸は年齢です。皮下脂肪は女性で弱い正の相関がありましたが、男性はほとんどありません。内臓脂肪は男性よりも女性の方が年齢とともに増加するようです。
上の図は皮下脂肪指数、内臓脂肪指数、総脂肪指数とBMIとの相関です。当然かもしれませんがBMIの増加と正の相関を示しています。
上の図は、年齢分布とBMIと内臓肥満の割合です。男性の正常BMIでは、50代までは年齢とともに内臓肥満の人の割合が増加していましたが、60歳以上ではちょっと減少しています。しかし、正常なBMIにもかかわらず、30代以上では50％以上が内臓肥満です。
一方女性の正常BMIの人では年齢とともに内臓肥満は増加していきますが、60歳以上で急増しています。50代までは男性よりもかなり割合が少ないですね。
太りすぎ、肥満の人ではどうでしょうか？男性では20代でも60％以上が内臓肥満であり、それ以降の年齢では90％前後、60歳以上では100％ですね。つまり、男性で太りすぎまたは肥満であればほとんどの人は内臓脂肪がお腹に詰まっていると考えた方が良いでしょう。
一方女性は男性よりは割合が少なくなります。50％前後で50代になると60％を超え、60歳以上では80％を超えます。
内臓脂肪はインスリン抵抗性と大きく関連しています。糖質、特に果糖の摂取は内臓脂肪を増加させます。
肥満だけでなく、痩せていても内臓脂肪が高くなることは様々なリスク因子となるでしょう。お腹がポッコリと出てきたら、内臓肥満の合図です。すぐに糖質制限を始めた方が良いと思います。
「Assessing Visceral Obesity and Abdominal Adipose Tissue Distribution in Healthy Populations Based on Computed Tomography: A Large Multicenter Cross-Sectional Study」
「コンピュータ断層撮影に基づく健康な集団における内臓肥満と腹部脂肪組織分布の評価：大規模な多施設横断研究」（原文はここ）
「正常なBMIにもかかわらず、30代以上では50％以上が内臓肥満です(男性)。」
怖いですね、内臓肥満がｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞ、ということは糖尿病もｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞ？
やはり食生活が原因なのでしょうね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
内臓肥満かなり多いですね。食事につきます。
>内臓脂肪はインスリン抵抗性と大きく関連しています。
これは一般によく言われることですが、私自身には当てはまっていません。
日常的に体を動かしている私はInbodyで測定した体脂肪率が7%台、内臓脂肪面積は80cm2を切っていますし、エコー検査で脂肪肝ではないことも確認しています。
しかし、緩やかな糖質制限をしていてもHbA1Cは毎回、6%前後あります。
合併症を起こすようなレベルでなければ、血糖値は高めでも、インスリンは出ない方がいいのではないかと思っています。
インスリンは肥満だけでなく、心疾患や認知症など様々な疾患の要因になるそうですから。
要はバランスなのではないでしょうか？
芹澤さん、コメントありがとうございます。
体脂肪率7％で内臓脂肪面積80cm2を切る程度であれば、決して少ない内臓脂肪ではありませんね。
皮下脂肪と比較して内臓脂肪が非常に多い状態に思えます。
メタボの基準の男性の腹囲85cm以下の人の内臓脂肪面積の平均は58cm2程度です。
HbA1c6％であれば、平均血糖値は125程度ですから、食後の血糖値はそれなりに高そうですね。
血糖値スパイクを起こしている可能性は低くないでしょう。