果物を食べ過ぎると脂肪肝が悪化する

フルーツは「ヘルシー」という考えが一般的です。しかし、現在の果物はあまりにも甘すぎて、糖質、特に果糖がたっぷり詰まっています。

今回の研究は非常に興味深いものです。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)80人を対象に、1日4サービング以上果物を食べる群と、2サービング未満果物を食べる群に分け、6か月後どのようになるかを比較しています。1サービングはおよそ100gで小さい果物であれば1個、大きい果物であれば半分くらいでしょう。(図は原文より)

上の図はベースラインと6か月後までの果物の摂取量です。1日4サービング以上果物をたくさん食べる群では2サービング未満のコントロール群よりベースラインでもやや多めに食べていたようですが、6か月間は6~7サービング食べていました。

上の図は肝機能や脂質検査の変化です。AST、ALTを含め、肝機能はすべて1日4サービング以上群で大幅に悪化、2サービング未満群で大幅に改善しています。中性脂肪や総コレステロール、LDLコレステロールも同様に、1日4サービング以上群で増加、2サービング未満群で低下しています。

HDLコレステロールは1日4サービング以上群で低下、2サービング未満群で増加しています。空腹時血糖値、インスリン、インスリン抵抗性を表すHOMA-IRも1日4サービング以上群で増加、2サービング未満群で低下しています。

体重の変化は1日4サービング以上群で7kg増加、2サービング未満群で6.5kg低下しています。非常に大きな違いですね。BMIや腹囲も同様です。

上の図はベースライン(A)と6か月後(B)の2つのグループの超音波検査による肝臓の脂肪症のグレードです。白いバーが2サービング未満群、斜線が1日4サービング以上群です。ベースラインでは多くの人が中等度で、一部が重度であり、グループ間の違いはありませんでした。しかし、6か月後では、2サービング未満群のほとんどが軽度に改善し、中等度はわずかで、重度はいなくなりました。逆に1日4サービング以上群では重度が大幅に増加しました。

上の図はベースライン(A)と6か月後(B)の2つのグループの超音波検査による肝臓のサイズです。ベースラインでは、どちらのグループも肝臓が大きい人が多く、2サービング未満群の方がやや肝臓の大きい人が多くなっています。しかし、6か月後では2サービング未満群ではすべての人が標準のサイズになっていますが、逆に1日4サービング以上群ではほとんどの人が肝臓のサイズが大きい状態になってしまっています。

もちろん、今回の結果は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の人を対象にしているもので、脂肪肝がない健康な人ではどうなるかはわかりません。さらに、4サービング以上食べるように言われて、それよりも多い6~7サービング食べてしまっています。

お腹がポッコリ出た内臓脂肪たっぷりの人の中には果物は健康的だからと思い込んで、大量に食べている人がいます。リンゴであれば1個食べれば2サービングです。1回にリンゴ1個を食べる人も少なくないでしょう。リンゴ1個(約240g)の糖質は35.6gで果糖18g、ブドウ糖6g、ショ糖9.6g、ソルビトール2gといった割合です。ショ糖は半分が果糖なので、果糖は22g以上になります。リンゴは最も果糖を多く含む果物です。

私は患者さんには1回にリンゴ4分の1まで、1日に半分までくらいにしてくださいと言っています。果物が健康的であるというのは非常に疑問です。果物は甘いほど良い評価を受けるでしょう。しかし、その甘さは糖質です。そして果物には猛毒の果糖がたっぷりと含まれています。

今回の研究のように、すでに脂肪肝の人はもちろん、内臓脂肪が蓄積しているようなお腹が出ている人は果物は極力少なめに食べる方が良いでしょう。脂肪肝は糖質過剰症候群です。

 

「The effect of a fruit-rich diet on liver biomarkers, insulin resistance, and lipid profile in patients with non-alcoholic fatty liver disease: a randomized clinical trial」

「非アルコール性脂肪性肝疾患患者の肝臓バイオマーカー、インスリン抵抗性、脂質プロファイルに対する果物が豊富な食事の効果:無作為化臨床試験」(原文はここ

4 thoughts on “果物を食べ過ぎると脂肪肝が悪化する

  1. 「林檎一個で医者いらず」
    一日一個のリンゴで医者がいらなくなるほど、りんごは健康にとってよい食べ物だという意味です。
    だそうです。
    逆に患者さんを増やしたい医師が
    広めたのかも、ですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      「林檎一個で医者いらず」は1866年頃の諺のようです。
      その頃のリンゴであればもしかしたら、現在よりも果糖がかなり少なく、少しは健康的だったのかもしれませんね。

  2. 2011年10月に亡くなったスティーヴ・ジョブズの死因は「膵臓癌」でした。
    ジョブズの生涯を描いた映画でジョブズを演じたアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)は、役作りのため、生前のジョブズの食生活を真似する形で甘い果物を食べ続けていたところ、身体に激しい痛みを訴え、病院に運ばれました。

    * Ashton Kutcher landed in hospital after following Steve Jobs’s fruitarian diet
    https://www.theguardian.com/film/2013/jan/28/ashton-kutcher-hospital-steve-jobs-diet

    1. クリードンさん、コメントありがとうございます。

      果物がジョブス氏の体に悪影響を与えた可能性はありますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です