風邪の食欲不振では無理に食べれるものを食べない方が良いかもしれない

新型コロナウイルスのオミクロン株のBA5もマスコミが大騒ぎしている割に、そろそろピークでしょう。感染症の学会が「普通の風邪」とはっきり言っているので、日本もかなり世界から遅れていますが、新型コロナの「新型」を外して、普通の風邪の「コロナ」にすべきです。普通の風邪、ただの風邪ということはインフルエンザ未満ですので、5類の分類さえ通り越して分類なしにすべきでしょう。

発熱外来も、企業や学校などが陽性証明、陰性証明を求めるのが悪いのです。インフルエンザでも同様なことが起きていましたが、陰性か陽性の証明は必要ないし、意味もありません。国がちゃんと証明を出させないように方向付けをすべきです。風邪をひいたら体調が戻るまで休む。ただこれだけで良いのではないでしょうか?風邪に効く薬もありません。解熱薬の1つアセトアミノフェンの品薄が報道されましたが、熱を下げることそんなに重要でしょうか?逆に熱が下がれば免疫機能が低下し、治りが悪くなる可能性があります。インフルエンザでもタミフル等の薬をもらおうと病院を受診する日本人が多いですが、世界中でタミフルの使用は日本がほとんどです。世界の中で見れば、たかがインフルエンザや風邪で大騒ぎするのは日本人くらいなのかもしれません。

さて、風邪をひいたときに食欲不振になることがあります。今回のBA5で言えば喉が非常に痛くなり、食べ物が喉を通らないということもあるかもしれません。そのようなときに「何でもいいから食べられるものを食べて」「のどごしの良いもの食べて」という無責任なアドバイスをする医療従事者もいるでしょう。

喉の痛みは別としても、食欲不振はつわりと同様に、体がそれを求めていると思っています。つまり、エネルギーを入れないようにすることでケトン体を増やそうとしているのではないかと思います。

拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II」でも詳しく書いたように、新型コロナウイルス感染では、ウイルスに感染した細胞は乗っ取られ、代謝が解糖系に変化します。また、ケトン食は免疫系を強化します。

今回の研究では、新型コロナウイルスでの急性呼吸窮迫症候群(ARDS)とケトン体および免疫との関係を示しています。結構難しいのでかいつまんで書きたいと思います。ただ、もうオミクロンになっている新型コロナウイルスは重症化することもほとんどないので、あまり意味がないかもしれません。

食欲不振と絶食は、急性感染症に対する宿主の適応であり、ケトン体生成を増加させます。今回の研究ではインフルエンザ感染と新型コロナウイルス感染で見てみると、インフルエンザ感染患者はかなりの量のケトン体を産生することがわかりましたが、新型コロナウイルス感染での中等度や重度の経過をたどった患者ではケトン体産生障害が起きていました。

さらに、免疫系では、新型コロナウイルス感染では CD4+ T 細胞(ヘルパーT細胞)の機能が損なわれていました。ケトン体は CD4+ T 細胞からのインターフェロン-γ の生存と産生の両方を促進します。CD8+T細胞(キラーT細胞)も同様で、十分なケトン体の供給が必要なようです。ケトン体が十分に供給されない場合、キラー T 細胞とヘルパー T 細胞は枯渇の兆候を示します。

この後はマウスの実験ですが、研究者たちは、病気のマウスにケトン食を与えるか、ケトン体を直接投与することで、免疫細胞を復活させることができました. その後、動物はウイルスの排除に成功し、肺の損傷も大幅に減少しました。

何でも良いから食べられるものを食べるという、適当なアドバイスでは、通常はゼリーやアイス、甘い飲み物など糖質たっぷりの食べ物にへだたってしまうでしょう。そのような食事はケトン体の生成を低下させてしまいます。

食欲不振は体がケトン体を求めているシグナルなのではないでしょうか?

糖質制限前提での「何でも食べられるもの」を食べるのはケトン体産生を妨げません。いずれにしても弱毒の「普通の風邪」「ただの風邪」のオミクロンには本当に何を食べても良いのかもしれません。

 

「Impaired ketogenesis ties metabolism to T cell dysfunction in COVID-19」

「ケトジェネシスの障害は、COVID-19 における代謝と T 細胞の機能不全を結びつける」(原文はここ

4 thoughts on “風邪の食欲不振では無理に食べれるものを食べない方が良いかもしれない

  1. ご存知かもしれませんが、お笑い芸人ブラマヨ小杉さんが糖質制限で30kg以上痩せたと、「別人」になりましたが継続出来ずにリバウンド。
    現在120kg超だそうです。現状、笑いのネタと化していますが、小杉さんの「ケトジェニックダイエット目指してたんですよ」とのコメントに、
    「命に関わるケトアシドーシスを招く糖質制限は危険」と専門家の立場から解説する医師の方もいたりして「なんだかな~」です。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      まだ糖質制限でケトアシドーシスということを言う化石のような医師がいるのですね。
      芸人さんの一部は本当に太っていますよね。太っていることが面白いことだと勘違いしているのでしょうか?

  2. わがやでは猫を飼っていますが、具合が悪かったり、天気が悪いときは、何も食べずにひたすら寝ていますね。これも、同じことなんじゃないでしょうか。猫も肉食でケトン体で動いていますから。ホモ・サピエンスも本来はケトン体で動きますから、当然の理なんですけれど。

    1. 齊藤克弘さん、コメントありがとうございます。

      人間は自然に備わった自己調節能力を間違った食事摂取で奪っているのかもしれませんね。

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