健康管理は自分自身の問題です。他人がとやかく言う筋合いの問題ではないのかもしれません。例えば私が患者に糖質制限をいくら勧めても、本人のやる気がなければどうしようもありません。
その一方で企業にとって従業員の健康は非常に大事だと思います。産業医が色々アドバイスをしてくれる企業もあるでしょう。しかし、産業医のほとんどは一般的な医学、栄養学に基づいてアドバイスをするので、どうしても糖質過剰摂取、カロリーに気を付けたりバランスの良い食事などになってしまいます。余程乱れた食生活であれば、このようなアドバイスでも健康は改善の方向に向かうかもしれませんが、やはり、根本的に改善するのは難しいかもしれません。
今回の研究では、企業の従業員に対して、健康管理のプログラムを提供し、それを実施しました。中心となる内容は当然食事です。具体的な食事のアドバイスに関しては、参加者全員が最初にケトン食のいくつかのバリエーションを推奨されました。特定の食事組成は、アレルギー、食物の好き嫌い、味の好みに基づいて個別に設定されました。ただし、すべての人は、栄養的なケトーシスを維持するために、糖質を30g未満に制限するように指示されました。また、空腹感に応じて食事をするように勧められ、食事をする時間を8時間または6時間にするインターミッテントファスティング(断続的な絶食)パターンを試しました。
6か月でどうなったでしょうか?対象は平均年齢は52.9歳で、男性4人、女性5人です。まずは下の表にベースラインの状態とその後の変化を示します。ベースラインの体重の平均は130kg以上で、BMIも48を超えるという人たちなので、日本人とは相当違いがあります。(図は原文より、表は原文より改変)
ベースライン | 12 週間 | 24週間 | 変化 | |
---|---|---|---|---|
年齢 | 52.9 | |||
BMI | 48.3 | 44.5 | 41.7 | −6.5 |
体重 (kg) | 131.8 | 121.6 | 114.4 | −17.4 |
空腹時血糖 | 145 | 119 | 110 | −35 |
HbA1c | 7.1 | 6.4 | 6.0 | −1.1 |
総コレステロール | 182 | 155 | 175 | −7 |
HDLコレステロール | 44 | 40 | 42 | −2 |
LDLコレステロール | 107 | 97 | 114 | −6.3 |
中性脂肪 | 165 | 110 | 105 | −60 |
収縮期血圧 | 141 | 130 | 124 | −17 |
拡張期血圧 | 83 | 81 | 78 | −6 |
ACC/AHA 10 年リスク (絶対、%) | 9.2 | 7.2 | 5.2 | −4.0 |
ACC/AHA 10 年リスク (相対変化、%) | −44 |
上の図は体重変化と心臓病または脳卒中の 10 年間のリスクの変化を示しています。心臓病または脳卒中の 10 年間のリスクの計算はここにあります。(ただしこの計算は心臓関連の学会が決めたので、当然コレステロールが関連しています。)体重減少は38.4ポンド (17.4 kg) で、心臓病または脳卒中の 10 年間の平均相対リスク減少は 44% でした。
HbA1cは7.1%から6.0と1.1減少し、ベースラインでHbA1c が最も高い2人の患者 (10.3および7.7%) は、HbA1c の最大の減少を示しました (それぞれ-4.4% および-1.9%)。さらに、インスリン抵抗性のHOMA-IRは11.1から2.2へと大幅な低下を示し、収縮期血圧も120代まで下がっています。
さらに、重要なことは上記のように、代謝の健康状態の改善と同時に、多くの患者は、血糖コントロール、血圧、および脂質低下のための薬を含む特定の薬を減らすか、または中止することができました. 新しい薬の投与を開始した患者はいませんでした。これは大幅な医療費削減となります。素晴らしい結果です。
ただ、6か月だったら可能かもしれませんが、これだけの肥満の人が果たしてこれからずっと糖質制限を続けられるか?ということ疑問があります。糖質制限をやめれば当然リバウンドします。
強制的ではなく、自らの意思で始めなければ食事の改善は難しいです。意思が強いか弱いかではなく、人体のメカニズムを知り、正しい知識を得て、食事の変更を実行してまで健康を求めるか、それとも健康は二の次で欲求の方が自分にとって重要なのか、ということが大きく関係するでしょう。多くの人はドパミン分泌にはなかなか勝てません。それほど糖質は依存性、中毒性が高いものです。
「A Company Is Only as Healthy as Its Workers: A 6-Month Metabolic Health Management Pilot Program Improves Employee Health and Contributes to Cost Savings」
「企業の健康は従業員次第:6 か月のメタボリック健康管理パイロット プログラムは、従業員の健康を改善し、コスト削減に貢献します」(原文はここ)
糖質制限の健康やダイエットへの
有効性を懸念・否定する意見に、
カロリーが不足する、
リバウンドしやすい、
筋肉量が減る、
等、
実施方法や意思の問題の混同、
間違った知識
による否定が未だに多く、
逆に「正しく」
糖質制限を行なって不具合が
起きた話は、(体質や疾患は除き)、
寡聞にして存じ上げません。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
世の中そんなもんです。
新型コロナもPCR陽性であれば、死因が別でもすべてコロナ死になり、
ワクチンは接種後死んでもワクチン死ではありません。
都合よく情報は操作されるものです。
糖質制限を始めてから早6年ほど経ちますが、LDLと尿酸値は常に基準以上です。
勤め先の産業医から毎年のように再検査を勧める連絡があります。
産業医からは検査先の斡旋があるわけでもなく、具体的なアドバイスがあるわけでもありません。
また再検査費用は、企業側が負担してくれるわけでもなりません。
産業医はあくまでも再検査を勧め、再検査したらその結果を報告してくれというスタンスです。
糖質制限を始めたころは自分自身の理解が浅く、一度医者からの見解をもらってみようと思い個人で受診してみました。
しかし、内科を受診してみれば、一刻も早くスタチンを飲むように勧められるだけでした。
糖質制限をしていることを伝えると一刻も早くそんな危険なことはやめるように言ってきます。
またいつ動脈硬化が起こってもおかしくない、動脈硬化が起こる前の予防が必要だと説明されます。
スタチンを飲むことを拒否したり、医者からの説明が論理的でないため納得できないと伝えると必ず怒りだします。
一人だけの医者ならともかく、今まで4人の内科の医者に確認してもらったところ、皆さん同じ反応でした。
糖質制限に理解のある医者を探すと、少し遠方になりましたがとある整形外科の先生にあたりました。
その先生に健康診断の結果をみせると一言だけ、「何も問題ないし、気にすることないよ」と、それで終わりでした。
今後の生活習慣の改善についてアドバイスほしかったのですが、先生自身がさっぱりした性格をしており、これ以上何を改善するの?というような反応でした。
産業医には問題がないと回答いただいたと報告し、その年はおしまいになりました。
今回で受診しているから今後は報告する必要はないだろと考えていましたが、残念ならがそうはなりませんでした。
毎年毎年同じように再検査の通達が産業医から入るため、現在では無視しています。
産業医も立場があるのでしょうが、いたずらに再検査を促すだけのいい加減な対応はやめていただきたいと思う今日この頃です。
今回の記事を読んでふと思ったことを書いてしましましたが、身の回りでは糖質制限の理解がまったく進んでいないのだと実感してしまいます。
西村圭吾さん、コメントありがとうございます。
職場の健診めんどうですよね。動脈硬化の予防はスタチンではなく、食事です。
ガイドラインに糖質制限が採用されない限り、産業医がそれに理解を示すことはほとんどないでしょう。