高血糖は当然糖質摂取で起こります。高血糖を避けることは非常に重要ですが、多くの人は糖質過剰摂取を続けています。
今回の研究は2005年から2017年までのブラジルの26州のデータを分析し、各危険因子に起因する死亡者数を決定しました。ブラジルでは、2005年から2017年の間に年齢調整された心血管疾患の死亡率と発生率がそれぞれ21%と8%減少しました。(図は原文より)
その一方で高血糖 (+9.5%)、肥満 (+31%)、脂質異常症 (+5.2%) への曝露が増加しましたが、高血圧のリスクは安定しており、喫煙のリスクは33%減少しました。
Population attributable fraction(PAF)は日本語では人口寄与割合 で、ある危険因子が死亡率の何%に寄与しているかを示しています。その危険因子に曝露されなかったとしたら、 死亡率が何%低かったかを示しているとも言えます。上の図はその危険因子のPAFの変化により発生した死亡数を計算しました。
高血糖は死亡数が最も多い危険因子であり、男性の心血管疾患死亡は 5,119 人、女性の心血管疾患死亡は 1,254 人であると予測されました。2 番目に影響力のある危険因子は肥満であり、男性2,981人の CVD 死亡と1,109人の女性 心血管疾患死亡が予測されました。対照的に、長年にわたって観察された喫煙の劇的な減少により、男性の10,039人の心血管疾患死亡と7,267人の女性の心血管疾患死亡が予防されたと予測されました。
上の図は、危険因子への人口の曝露の尺度であるSEVの変化と死亡率の変化を示しています。詳細は省略しますが、高血糖への曝露のみが心血管疾患死亡率の増加と有意に関連しており、高血糖のSEVが1ポイント増加すると、女性の心血管疾患による死亡率が11%増加したことを示しています。この関連性の大きさは、他の危険因子について報告されている関連性よりも5~10倍高くなっていました。
また、高血糖への曝露は男性の虚血性脳卒中による死亡率および男女の虚血性心疾患死亡率と関連していました。
上の図は心血管疾患死亡率に対する危険因子の時間依存的な影響を評価しましたものです。高血糖と高血圧は、一貫して女性の心血管疾患死亡率の増加と関連していましたが、その関連性の大きさは10年後で、高血糖では高血圧の7倍の大きさにもなっていました。男性の高血糖と死亡率との関連は、8年よりも後では観察されませんでした。つまり、現在晒されている高血糖の影響は8~10年も続くということだと思われます。
さらに重要なことに、高血糖と心血管疾患死亡率との関連は、社会経済的地位や医療へのアクセスとは無関係であり、他の危険因子との関連はありませんでした。LDLコレステロールは関係ありません。
いずれにしても、最も避けるべきは高血糖です。そのためには糖質制限です。心血管疾患の死亡数を減らすには、とにかく禁煙と糖質制限です。
「Analysing the impact of modifiable risk factors on cardiovascular disease mortality in Brazil」
「ブラジルにおける心血管疾患による死亡率に対する修正可能な危険因子の影響の分析」(原文はここ)
統計データや数字の見方は一般の素人には難しい。
だから、「○倍とか○○%」という数字だけが独り歩きして、誤解を招く原因にもなる。
場合によっては、その数字を使って、一般の素人を惑わせたり、誤魔化したり、騙したりすることもある。
2017年の調査で、「高血糖が男性の心臓疾患による死亡率に寄与しているのが0.22%」
と私は解釈したが、これが事実なら、私は高血糖が心疾患による死亡率に与える影響が高いとは思えない。
>Population attributable fraction(PAF)は日本語では人口寄与割合で、
>ある危険因子が死亡率の何%に寄与しているかを示しています。
>その危険因子に曝露されなかったとしたら、 死亡率が何%低かったかを示しているとも言えます。
吉本製作所さん、コメントありがとうございます。
そうですね。私が騙している可能性もありますから、鵜呑みにせず、疑うことが大事だと思います。
0.22というのは割合なので、%にするには通常100をかけます。つまり22%ですね。
心血管疾患の死亡への寄与率と考えると、0.19から0.22とおよそ3%増加です。およそ165,000人の3%なので
5119人というのが出てきたと思います。