心血管危険因子の数と安静時心拍数との関連

今では心拍数を測定する様々な手軽なデバイスが手に入るようになり、安静時心拍数はますます、便利で有効な心血管疾患などの健康の指標になってきています。様々な疾患と安静時心拍数増加は関連しています。(「安静時心拍数はがん死亡率と関連する」参照)

今回の研究では、心血管危険因子とされる因子と安静時心拍数の関連を分析しています。危険因子は高血圧、糖尿病、肥満(BMI28以上)、脂質異常症、喫煙、アルコール使用、身体活動の低下という 7 つの因子に注目しています。対象は1,045,405人 (60.4%が女性) 、平均年齢は55.67歳でした。(図は原文より、表は原文より改変)

上の表は7つの危険因子のうちいくつあるかによって、安静時心拍数の増加( 80拍/分を超える)の可能性がどうなるかを示しています。危険因子が0と比較して、当然かもしれませんが危険因子数が増加するにつれて安静時心拍数の増加の可能性は高くなり、5つ以上では2.58倍でした。

危険因子の数
0 1 2 3 4 ≧5
性別
 男 1 1.12 (1.06–1.19) 1.36 (1.29–1.44) 1.71 (1.62–1.80) 2.12 (2.01–2.24) 2.72 (2.56–2.88)
 女性 1 1.09 (1.06–1.12) 1.35 (1.31–1.39) 1.67 (1.62–1.71) 1.90 (1.84–1.96) 2.25 (2.12–2.38)
年齢
 35–44 1 1.05 (1.00–1.10) 1.32 (1.26–1.38) 1.87 (1.78–1.97) 2.53 (2.38–2.69) 3.59 (3.31–3.90)
 45–54 1 1.11 (1.06–1.15) 1.37 (1.32–1.43) 1.79 (1.72–1.86) 2.29 (2.19–2.40) 3.17 (2.99–3.35)
 55–64 1 1.19 (1.13–1.25) 1.45 (1.38–1.52) 1.74 (1.65–1.83) 2.04 (1.94–2.15) 2.52 (2.37–2.68)
 65以上 1 1.12 (1.05–1.19) 1.33 (1.25–1.41) 1.53 (1.43–1.63) 1.67 (1.56–1.78) 1.85 (1.71–2.01)

上の表は危険因子数と安静時心拍数の上昇との関連性についての性別および年齢別です。年齢性別にかかわらず、危険因子が多くなるほど安静時心拍数の増加の可能性は高くなります。しかし、年齢別でみるとその影響は若い世代のほうが強く出ています。35歳から44歳では5つ以上の危険因子を持っていると3.59倍にもなっています。

年齢 危険因子の数
0 1 2 3 4 ≧5
 35–44 1 1.1 (0.96–1.25) 1.43 (1.26–1.63) 2.08 (1.83–2.37) 2.84 (2.49–3.24) 4.06 (3.52–4.68)
 45–54 1 1.08 (0.97–1.20) 1.38 (1.24–1.54) 1.84 (1.66–2.05) 2.48 (2.23–2.76) 3.33 (2.98–3.72)
 55–64 1 1.18 (1.07–1.13) 1.37 (1.24–1.52) 1.66 (1.50–1.83) 1.99 (1.80–2.20) 2.47 (2.23–2.75)
 65–75 1 1.14 (1.03–1.27) 1.29 (1.16–1.42) 1.43 (1.30–1.59) 1.60 (1.45–1.78) 1.78 (1.59–2.00)
女性
 35–44 1 1.03 (0.98–1.08) 1.28 (1.22–1.35) 1.77 (1.66–1.88) 2.25 (2.05–2.47) 2.80 (2.55–3.11)
 45–54 1 1.09 (1.05–1.14) 1.35 (1.29–1.41) 1.74 (1.66–1.82) 2.06 (1.95–2.17) 2.74 (2.44–3.08)
 55–64 1 1.17 (1.10–1.24) 1.45 (1.37–1.54) 1.74 (1.64–1.84) 2.01 (1.89–2.14) 2.36 (2.14–2.61)
 65–75 1 1.09 (1.01–1.19) 1.34 (1.24–1.46) 1.57 (1.45–1.71) 1.71 (1.57–1.86) 1.91 (1.70–2.15)

さらに男女の年齢別における危険因子の数と安静時心拍数の上昇との関連を見てみましょう。若い男性のほうが若い女性よりも関連性が高く、4倍にもなっています。

上の図は危険因子別、因子の組み合わせ別です。DM:糖尿病、HTN:高血圧、DYS:脂質異常症、SMK:喫煙、LPA:身体活動が少ない、OB:肥満、ALC:アルコール使用です。危険因子が一つの場合、意外にも肥満は関連性がありませんでした。最も関連しているのは糖尿病で1.82倍でした。次が高血圧で1.52倍でした。危険因子数が増えてもやはり糖尿病が因子として含まれている場合は安静時心拍数の増加の可能性は高くなっていました。3つの因子の組み合わせの場合は高血圧、糖尿病、脂質異常で2.41倍でした。

より多くの代謝リスク因子を含む方が安静時心拍数の上昇のリスクが高いことに関連していました。つまり、安静時心拍数の増加は、複数の危険因子の累積的な影響の指標として機能する可能性があります。特に糖尿病の影響は大きいでしょう。

安静時心拍数が60を超えたら注意、80を超えたら危険と考えていいでしょう。あなたの安静時心拍数はどうですか?

 

「Association between clustering of cardiovascular risk factors and resting heart rate in Chinese population: a cross-sectional study」

「中国人集団における心血管危険因子のクラスタリングと安静時心拍数との関連:横断研究」(原文はここ

3 thoughts on “心血管危険因子の数と安静時心拍数との関連

  1. 血圧が120/85超えたら降圧剤処方
    は何となく違和感。
    安静時心拍数60/分超えたら
    要注意、
    の方が健康指標としてしっくり
    感じます。

  2. 開業医です。安静時心拍数60未満の方にはめったに遭遇することはありません。
    60~70台の方が圧倒的多数です。
    脈拍を測定するのは、血圧など治療している患者さんか、健康診断の方ですが。
    60未満を目標にするのは過剰医療になりそうな気がします。
    私自身は以前から脈拍が少ない方が楽なのでβブロッカーを服用して人工的に心拍数を下げています。
    人工的コントロールが良いかどうかは分かりません。

    1. ネコ太郎さん、コメントありがとうございます。

      病院、クリニックは病気の人が行く場所ですから、60未満ではないのも当然ではないかと思います。
      健康診断でも、多くの人は食事が糖質過剰摂取ですから。
      60未満にするために医療が必要ということではなく、体のサインだと思います。

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