全原因死亡の予測因子としての筋力

動かいないことは動物の世界では死を意味します。動かず生きていけるのは人間だけでしょう。なぜか一部の現代の人間は動かないことが当たり前になってしまっています。使わない機能はどんどん衰えます。筋肉は負荷をかけなければ必要ないものとされて、筋肉量、筋力はどんどん低下するでしょう。

今回の研究では、全原因死亡と筋力との関連です。38の研究のメタアナリシスです。一応対象は健康な人です。(筋力が落ちていて健康と言えるのかどうかはわかりませんが)筋力は握力と膝関節伸展強度テストによるものです。(図は原文より)

上の図は握力と全原因死亡リスクとの関係です。筋力が高いほど男性で死亡リスクは0.69倍、女性で0.6倍でした。また膝の伸展強度テストで見ると、男性で0.79倍、女性で0.62倍でした。

上半身および下半身の筋力レベルが高いほど、年齢や追跡期間に関係なく、死亡リスクが低くなります。まずは筋肉量、筋力を落とさない日々の食事、運動が重要となります。

以前の記事「筋肉の低下を年齢のせいにしてはいけない」で書いたように、運動しているかどうかで同じような年齢であっても大きく筋肉量は違ってきます。そして、以前の記事「高齢者は安静にしすぎると、筋肉の回復が難しくなる」で書いたように、一度落ちてしまった筋肉を戻すことは非常に難しくなります。

筋肉が落ちて、歩くのもままならなくなって、病院に行って「歩けるようにしてください」と言っても遅いのです。タンパク質をしっかり摂って、ウォーキングでも良いので、運動を行いましょう。安静にすればすぐに筋肉は低下します。

 

「Muscular Strength as a Predictor of All-Cause Mortality in an Apparently Healthy Population: A Systematic Review and Meta-Analysis of Data From Approximately 2 Million Men and Women」

「明らかに健康な集団における全原因死亡の予測因子としての筋力:約200万人の男女からのデータの系統的レビューとメタ分析」(原文はここ

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