心血管疾患はいまだにコレステロールのせいにされています。総コレステロールはリスクを推定するために使用されています。コレステロールは本当に危険因子なのでしょうか?
今回の研究は、1995~1997年にノルウェーに住んでいた20歳以上の成人で、ベースラインで既知の心血管疾患がない52,087人(男性24,235人、女性27,852人)です。10年間の追跡調査期間中の心血管疾患死亡リスクとコレステロールの関連を評価しています。単位を日本のものにするには38.7をかけます。5.5mmol/Lは約213mg/dLです。日本の基準値は120~219mg/dLです。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は1000人年あたりの致死的な心血管疾患の10年間の発生率です。赤が5%以上、緑が1%未満です。40歳未満ではコレステロールとも血圧とも関連せず、発生率は非常に低いです。40~59歳では血圧が140以上で、喫煙者で、コレステロール5.5以上では発生率がやや高くなっています。男性のみ血圧が140以上で、喫煙者はコレステロールが5.5未満でも発生率がやや高くなっています。60~74歳では喫煙者、特に男性の喫煙者で発生率が高く、コレステロールは関係なさそうです。血圧も関係あったりなかったりですね。
上の図は、総コレステロールに関連する全原因死亡のリスクです。青が男性、赤が女性で、年齢、喫煙、収縮期血圧で調整しています。コレステロール5未満(約194mg/dL)と比べて、7以上(約271mg/dL)でリスクは高くなっていないどころか、女性ではリスク低下が認められます。逆に言えば女性の総コレステロールは下げない方が良いということになります。
上の図は総コレステロールに関連する心血管疾患による死亡のリスクです。コレステロール値とは関連がありません。
上の図は虚血性心疾患による死亡のリスクですが、これまたコレステロールとは関連がありません。
また男女ともに、喫煙者でも非喫煙者でも、5.5mmol/Lを超えるコレステロール値は死亡率の増加とは関連がありませんでした。
一方、喫煙は大きく死亡リスクと関連があります。
死因 | 喫煙状況 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
HR (95% CI) | HR (95% CI) | ||
すべての原因 | |||
高コレステロール | 喫煙 | 2.09 (1.71–2.55) | 1.72 (1.29–2.30) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 | |
低コレステロール | 喫煙 | 1.99 (1.76–2.24) | 2.16 (1.87–2.48) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 | |
心血管疾患 | |||
高コレステロール | 喫煙 | 2.30 (1.61–3.29) | 1.82 (0.91–3.64) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 | |
低コレステロール | 喫煙 | 2.44 (1.98–3.00) | 2.24 (1.73–2.91) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 | |
虚血性心疾患 | |||
高コレステロール | 喫煙 | 2.28 (1.34–3.90) | 2.35 (0.80–6.95) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 | |
低コレステロール | 喫煙 | 2.42 (1.80–3.25) | 3.08 (2.07–4.58) |
禁煙 | 1.00 | 1.00 |
上の表を見て明らかのように、コレステロールが高くても低くても、禁煙者と比較すると喫煙者では大きく死亡リスクが高くなっています。
総コレステロールが高いと通常はLDLコレステロールも高くなります。しかし、LDLも総コレステロールも実際には心血管疾患の死亡リスクとは関連していないでしょう。しかし、疾患が薬および企業と強く結びつくと真実が捻じ曲げられ、エビデンスが作られ、ガイドラインが作られてしまいます。このような構図は新型コロナウイルスとそのワクチンの構図と一緒です。
心血管疾患は糖質過剰症候群です。心血管疾患を避けたいのであれば、まずは禁煙と糖質制限です。
「Is the use of cholesterol in mortality risk algorithms in clinical guidelines valid? Ten years prospective data from the Norwegian HUNT 2 study」
「臨床ガイドラインの死亡リスクアルゴリズムにおけるコレステロールの使用は有効ですか? ノルウェーの HUNT 2 研究からの 10 年間の前向きデータ」(原文はここ)
糖質制限と勿論禁煙、そしてお酒も長年飲んでません。
今朝も10km running1時間切れました。
55歳健康です。
(LDL高いです。)