低コレステロールと心理的影響

コレステロールは悪玉であるという洗脳が行き渡り、多くの人がコレステロールは低ければ低いほど良いと思い込まされています。しかし、コレステロールは非常に重要なものであり、脳にとっても必須の物質で、またホルモンの材料となります。

そうすると、低コレステロールはメンタルに何らかの影響を与えても不思議ではありません。いくつもの研究で、コレステロール値が低いと、⾃殺、殺⼈、事故、ケガによる死亡など、外因死亡率と関連していることが⽰唆されています。

今回の研究では、4462人の男性のアメリカ退役軍人を16年間追跡したものです。平均のコレステロールは約213mg/dLでした。ベースラインの総コレステロール値が165以下を低コレステロールと定義しています。外因による死亡は殺⼈、⾃殺、薬物の過剰摂取、偶発的な中毒、意図しない傷害、原因不明の傷害などによるものです。(図は原文より)

上の図は予測変数による外因死亡の可能性を示しています。低コレステロールは2倍ですが、その他にもアルコール乱用・依存症で2.37倍、反社会性パーソナリティ障害歴で2.56倍、うつ病で2.08倍でした。

上の図は外因死亡リスクです。総コレステロールが低いこととうつ病はリスクが1.97倍、1.76倍でしたが、低コレステロールとうつ病の両方の相互作用では6.5倍にもなっていました。

多くの研究でコレステロールが低いこととうつ病のリスク増加との関連を示しています。

例えば70歳以上の男性で総コレステロールが160mg/dL未満の人はそれよりもコレステロールが高い人よりも3倍多くうつ病が認められたという研究があります。(ここ参照)

合計510,392人を含む65の研究のメタアナリシスでは、総コレステロールが最も高いグループと比較して、総コレステロールが最も低いグループは、自殺の可能性が2.12倍高くなり、自殺企図の可能性が2.23倍 (95% CI 24%–302%) ) 高く、自殺完遂の可能性が1.85倍高くなっていました。(ここ参照)

現実問題としてうつ病の人の自殺のリスクは高くなっています。つまり、低コレステロールはうつ病と関連しているため、低コレステロールは自殺の危険因子でもあります。

コレステロールを低下させるスタチンうつ病との関連は、あるというものとないという研究があるので不明です。

しかし、コレステロールが低いことはメンタル的なリスクを伴っていることは間違いないでしょう。

 

「Low serum cholesterol and external-cause mortality: Potential implications for research and surveillance」

「低血清コレステロールと外因死亡率:研究と監視への潜在的な影響」(原文はここ

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