椎間板ヘルニアの痛みにはまず糖質制限

現在の医療では「神経障害性疼痛」という言葉が普通に使われています。しかし、そのほとんどは私はウソだと思っています。この神経障害性疼痛は製薬会社が薬を売るための病名であり、実際にはほとんどの患者さんには存在していないと思います。

坐骨神経痛は神経障害性疼痛ではないと考えています。以前の記事「坐骨神経痛にリリカは効かない」で書いたように、坐骨神経痛の原因として椎間板ヘルニアが最も多く、通常それにリリカは効きません。(ただし、脳に影響を及ぼし多少痛みが楽になる人はいます)もちろん対症療法でしかありませんし。しかし、病院ではリリカがバンバンと処方されています。

今回の研究では、椎間板ヘルニアにより神経根の痛みがある人とメチルグリオキサールという物質の関連を分析しています。メチルグリオキサールというのは拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II」で書いたように、糖質過剰摂取で活性化する代謝経路の中でAGE経路の途中にできる有毒な反応性の高い物質です。椎間板ヘルニアで神経根痛のある人と、椎間板ヘルニアはあっても痛みの(ほとんど)ない人、そして椎間板ヘルニアの無い健康的な人を比較しています。(図は原文より)

痛みをVASというスコアで表したときにAに示すように、当然椎間板ヘルニアで神経根痛のある人が最もVASが大きくなりました。Bの図はそれぞれのグループの血中のメチルグリオキサールです。痛みのあるグループだけメチルグリオキサールが高くなっています。CはVASと血中のメチルグリオキサールとの関連です。完全にVASが高いほどメチルグリオキサールが高くなっているのがわかります。

 

上の図は別の研究ですが、椎間板ヘルニアでVAS3以下の軽度疼痛群、VAS4以上の重度疼痛群と痛みのないコントロール群で、椎間板ヘルニアのメチルグリオキサールレベルを比較しています。(なぜコントロール群の椎間板ヘルニアのデータがあるのかはよくわかりませんが)軽度疼痛群と比較して重度疼痛群では椎間板ヘルニアのメチルグリオキサールは高く、VASが増加すると椎間板ヘルニアのメチルグリオキサールも増加していました。

動物実験上では、メチルグリオキサールの蓄積は、痛みに大きく関係する神経根の後根神経節(DRG )の終末糖化産物(AGEs)を上昇させ、DRGの神経の活性が亢進し、腰椎椎間板ヘルニアによる持続性の痛みの原因となると考えられます。

メチルグリオキサールは解糖系でエネルギーを得るときにAGE経路から作られます。だから解糖系を回さなければ良いのです。糖質過剰摂取では解糖系が非常に活発になります。

本来、糖質はそのままエネルギー源にするものではなく、安全な中性脂肪に変えてからエネルギー源にするものです。または、いざというときにすぐに使えるようにグリコーゲンとして蓄えておくものです。

つまり、食事によって摂取する糖質は重要なエネルギー源ではなく、糖質をエネルギー源として利用すればするほど、解糖系が回り、有害物質がたくさんできてしまうのです。

椎間板ヘルニアの痛みで、一時的に薬を使うことは良いと思いますが、その痛みの原因は食事の間違いにあるかもしれません。ヘルニアがあっても痛くない人は大勢います。ヘルニア自体も糖質過剰摂取によってAGEsが影響して、椎間板が脆弱になり起きている可能性もあります。

椎間板ヘルニアで痛みが出たら、まず糖質制限を行ってみるべきです。

 

「TNF-ɑ Induces Methylglyoxal Accumulation in Lumbar Herniated Disc of Patients With Radicular Pain」

「TNF-αは根性痛患者の腰椎椎間板ヘルニアにメチルグリオキサール蓄積を誘発する」(原文はここ

「Accumulation of methylglyoxal increases the advanced glycation end-product levels in DRG and contributes to lumbar disk herniation-induced persistent pain」

「メチルグリオキサールの蓄積は、DRG の終末糖化産物レベルを上昇させ、腰椎椎間板ヘルニアによる持続性の痛みの原因となります」(原文はここ

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