LDLコレステロールを「悪玉」と呼ぶ人はまだまだいるでしょう。LDLコレステロールと心血管疾患による死亡、全原因死亡との関連を分析した新たな研究があります。これを見てもLDLコレステロールは低ければ低いほど良いと考えますか?
今回の研究は、レムナント(残存)コレステロールと中性脂肪の上昇が心血管疾患、がん、その他の原因による死亡率の増加と関連しているかどうかを分析しています。血中に残存した中性脂肪に富むリポタンパク質に含まれるコレステロールがレムナントコレステロールです。2003年から2015年のベースラインで20〜69歳のコペンハーゲン一般人口調査からの87,192人が対象です。
最大13年間の追跡調査中に、687人が心血管疾患で、1594人ががんで、856人がその他の原因で死亡しました。(図は原文より)
上の図は左からレムナントコレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールと全原因死亡リスクの関連を示しています。レムナントコレステロールおよび中性脂肪は増加するほど、死亡リスクは増加していますね。しかし、LDLコレステロールは明らかに低値の方が死亡リスクが激増しているのがわかります。逆に高値となってもほとんどリスクは変わりません。
上の図は左がレムナントコレステロール、右が中性脂肪で、上から心血管疾患による死、がんによる死、その他の原因での死亡リスクを示しています。がんは関連がありませんが、心血管疾患とその他の原因では、レムナントコレステロールおよび中性脂肪が増加するほど死亡リスクは増加しています。
レムナントコレステロールが39mg/dL以上、中性脂肪が177mg/dL以上では心血管疾患とその他の原因の死亡率がおよそ2倍です。
上の図は左から非HDLコレステロール、アポリポプロテインB、LDLコレステロールで、先ほどと同様に心血管疾患による死、がんによる死、その他の原因による死亡リスクとの関係を示しています。心血管疾患でさえ、低LDLコレステロールだと死亡リスクが増加しています。高LDLコレステロールとは関連がありません。がんによる死は低LDLコレステロールのリスク増加はもっと大きいです。
レムナントコレステロールが39mg/dL以上の人は19mg/dL未満の人と比較して、死亡率の増加は虚血性心疾患で4.4倍、感染症で8.4倍、内分泌疾患で9.1倍でした。
レムナントコレステロールという名前により、やはりコレステロールが悪いという印象も抱いてしまいますが、コレステロールそのものは悪いものではありません。コレステロールを運ぶリポタンパク質の問題です。レムナントと呼ばれるリポタンパク質が増加するような「状態」、もっと言えばレムナントのリポタンパク質を増加させる「食事」が悪いのです。
では、レムナントコレステロールはなぜ増加するのでしょうか?それは以前の記事「ApoCⅢがレムナントコレステロールと関連している」で書いたようにApoCⅢの増加です。そして、ApoCⅢを増加させるのは、「食事を変えることが一番の治療」などでも書いたように、糖質過剰摂取、特に果糖の摂取です。
LDLは低い方が良いわけではありません。逆に死亡リスクを高めます。LDLコレステロール値にとらわれず、中性脂肪およびレムナントを低下させましょう。それには糖質制限です。
ちなみに私のLDLコレステロールは200を超えることもありますが、その時のレムナントコレステロールはたった2.4mg/dLでした。家族性高コレステロール血症でLDLコレステロールが500前後ある人でも糖質制限をしていれば、レムナントコレステロールは19未満です。
「Elevated remnant cholesterol, plasma triglycerides, and cardiovascular and non-cardiovascular mortality」
「レムナントコレステロール、血漿中性脂肪の上昇と心血管および非心血管死亡率」(原文はここ)
先生こんばんは。
今更ながら、今年も先生のブログ、楽しみにしております。
…出ました、LDLコレステロール!
もうこれ、私にとって永遠のテーマ?のようになってしまいました。
先日、婦人科の検診に行き、月経前症候群の事を話しましたら、血液検査しましょう。と。お断り出来るわけもないのでやだなぁと思いながらでしたが、医師自ら採血をしてくださいました。
ホルモンの数値を見てみます、ということでした。
後で診療明細を見てみますと、検査項目にLDLコレステロール、HDLコレステロール、TGも入ってましたので、あぁ、これは面倒な事になるやつだ…
私は糖質制限をするようになってからLDLコレステロールが爆上がりし、TGは劇的に下がりました。
これ、薬を出される事必至でしょうね。
結果を聞きに行くのも考えてしまいますが検診の結果もありますので数日後にまた伺うの、気が重いですね。
そして後日、別のクリニックに漢方の処方をしてもらいに行きましたが、去年から医師に、肝機能の数値を見ないと保険で薬が出せなくなると言われていましたので渋々採血に応じました。
これも多分コレステロール関係は調べられてます、薬飲まなきゃ死んじゃいますとか言われるのでしょうね。
以前にも言われた事ありましたから。
糖質制限に理解のある医師に出会った事がありませんので、一般の私達にとって本当に悩ましい問題です。
医師の指導の元、糖質制限をしているわけではないのでもうどうしようもないのでしょうね。
同じような方達はどうされてるのか、気になるところです。
みみ、さん、コメントありがとうございます。
本当にLDLコレステロール面倒ですね。糖質制限で上がることを知らない医師がほとんどですし、LDLが悪玉だと考える医師がほとんどですからね。
ところで肝機能の数値を見ないと保険で薬が出せなくなった漢方薬って何でしょうね?
(本エントリとは関係ないのですが、ご参考まで)
ヒューマニエンス
「“糖” ヒトが手にした禁断の果実」
NHKBSプレミアム
1月24日(火)午後10:00~午後11:00
https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/PMQGQP471N/
mk7さん、コメントありがとうございます。
情報ありがとうございます。
度々失礼します。
加味逍遙散を普段から飲んでいますが、血液検査しないと今後は保険で出せないと言われました。
そう言われたなら私のような知識の無い患者は、それが本当でもそうでなくてもそれではお願いしますと言うしかないです。
こちらも、受け身ではなく自分で考えたり知識を持って、自分の体は自分で守らないといけない、と改めて思いましたね。
お医者様を選ぶこともなかなか難しいですけれど。
住んでいる地域によっては、病院の選択肢も無くなりますしね。
みみさん、コメントありがとうございます。
肝臓ではなく、「甘草(カンゾウ)」が入っているので、低カリウム血症を起こすことがあるので、
その検査をするということの間違いではないでしょうか?
加味逍遙散でとりわけ肝機能障害が多いということはありません。
長年、読むだけの読者です。
私のスタチンのかわし方。E〇ドクターのブログからヒントを得、半年ぐらい前からやってみて、今のところ成功している方法です。あくまで自己流、自己責任です。
①スタチン系を「ゼチーア」に変更してもらう。
②診察予定日の10日ぐらい前だけ、ゼチーア服用 → LDLが下がった状態で血液検査 → ギリギリでクリア!
前もって血液検査の予定がわかるときは、この方法で医師との不毛なやりとり(「スタチン飲みなさい」ご指導)を回避します。もちろん自己責任です。
清水ドクター、問題ある内容でしたら掲載不可でいいです。
kazuさん、コメントありがとうございます。
なるほど、でもこれだと薬代が無駄ですね。
無駄なやり取りをするよりは良いという考えもありますが。
患者さん中にはスタチンを処方されても無断で飲まない、という人もいますが、
これは検査でバレてしまうか、さらに薬が必要と判断されてしまいます。
難しい問題ですね。
シミズ先生、Kazuさん、コメントありがとうございます。
なるほど、カンゾウ違いとは(笑笑)
多分、漢方処方だけでお金にならないから、血液検査でアラ探しでもしたかったのかな。なんて思ってしまいました。
ちょっと最悪な状況ですが、これも自己責任、仕方ないのでこの医師とうまくお付き合いする方法を考えるとします…
ゼチーア作戦、参考とさせていただきます。ありがとうございます。
それにしても、糖質制限で上がったLDLも数ヶ月〜数年で落ち着く事が多いと聞きますが、上がったままの人と何の違いがあるのでしょうか。不思議ですね。
一型糖尿病のむーです
かれこれ5年くらい言われてましたが最近はあまり言われなくなりました。もちろんLDL200超えてました。
念のため頸動脈のエコー、胸部CTとかして大丈夫(この時は循環器の医師にも言われました)と言うことと、
「何かあったら自己責任で先生の責任ではないですよ」
とカルテに記載しておいてよいですよと伝えてました。
地域の症例検討会でもスタチン飲ませなさいと大学教授にも言われて患者が拒否すると答えていたそうです。
5年くらいして少しLDL下がったら(150~200)何でと先生が不思議がっていました。
笑顔で話しながらやんわり断っていました。
雑多になりました
むーさん、コメントありがとうございます。
「何かあったら自己責任で先生の責任ではないですよ」とカルテに記載しておいてよいですよと伝えるのは良いかもしれませんね。
5年で少し下がったのですね。私は何年たっても上がったままです。