糖質の摂取はマグネシウムやカルシウムの排泄を増加させる

糖尿病の人ではマグネシウム欠乏の人が非常に多いと思われます。採血での血中のマグネシウムはあまり増減しないですが、それでもかなり低い血中マグネシウムの人を多く認めます。

糖質過剰摂取では、そのマグネシウムとカルシウムはどうなるのでしょうか?ちょっと古い研究ですが、最近はこのような研究がほとんど出てこないので仕方がありません。(図は原文より)

上の図は、尿中の排泄に対するガラクトースとグルコースの影響を比較するために行われた研究を示しています。○と実線が100gブドウ糖摂取、□点線がガラクトース100gを摂取、●はコントロールです。縦の60分の点線で糖質を摂取しています。

糖質摂取後、ガラクトースでは尿中のカルシウムとマグネシウムの排泄量がおよそ2倍に増加しました。ブドウ糖では3倍の増加です。一方カリウムの排泄は減少しました。

上の図はブドウ糖の経口摂取量による違いを示しています。ブドウ糖を100g、60g、25g摂取すると、摂取量が多いほどカルシウムやマグネシウムの尿中の排泄量は増加しました。ピークは摂取後100~120分後ですね。3時間ほどでベースラインに戻っています。

尿中排泄を増加させるのは、血糖値の増加なのかインスリンの増加なのか、その両方なのか、いずれにしても糖質過剰摂取ではカルシウムもマグネシウムも排泄が増加します。

上の図Aはカルシウムとマグネシウムの尿中排泄を増加させるものを示しています。1のエタノール、つまりお酒を飲むとこれらの排泄は増加します。2~4はグルコース、ガラクトース、フルクトースと全て糖質です。5はプロテイン(カゼイン)と書かれています。ちょっと意外ですね。

6のインスリンはもちろん糖質摂取で増加しますし、7のバゾプレッシンは果糖(フルクトース)で増加します。

 

上の図は、一晩の絶食と36時間の絶食でのブドウ糖摂取による違いです。カルシウムとマグネシウムの尿中排泄は絶食時間が長い方が増加量が低下しました。恐らく絶食時間が長い方が再吸収が増加したと思われます。

いずれにしても、毎日、毎食、糖質過剰摂取をしている人では、どんなにカルシウムやマグネシウムを摂取してもどんどん捨てているようなものですね。

ただでさえマグネシウムの吸収はよくありませんし、なかなか摂取量を大幅に増やすのもサプリなどでないと難しいですが、その前に糖質制限をして無駄な排泄を減らしましょう。

「Influence of various nutrients and hormones on urinary divalent cation excretion」

「尿中二価陽イオン排泄に対する各種栄養素およびホルモンの影響」(原文はここ

5 thoughts on “糖質の摂取はマグネシウムやカルシウムの排泄を増加させる

  1. 糖質制限、そして絶食(ファスティング)もカルシウムやマグネシウムなどの維持に有効なのですね。

    高額サプリ購入より一石二鳥(有効、そして経済的、もしかしたらその後の医療費も節約&体調維持で四鳥)ですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      糖質制限は一石何鳥になるかわからないぐらいですね。

  2. コメントを失礼申し上げます
    ケトジェニックと糖質制限によって、身体を回復しつつあります
    生き返ったと言っても、過言ではございません
    感謝を申し上げます

    質問がございます
    これは私の問題なのですが、食卓に芋が並び
    それを食べると、翌2日程度、『太腿の痛み』が発生します
    白米は好きではないので、二度と主食は食べませんし
    ロカボ等はケトジェニックの観点から全く意味がないと知っておりますから
    炭水化物の量なんか、戻しませんが
    芋は、やはり美味しく……考えが甘いですね

    上記の『太腿の痛み』ですが、二つ仮説を立てました
    一つは、糖化産物を処理できていない、という説

    二つは、『筋肉のグルコース過敏症』です
    江部氏の下記の記事から、仮説を立てました
    http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3978.html

    普段より多くのグルコースを摂取すると、グリコーゲンが筋肉内に吸収される過程で
    痛みが生じる、という仮説です
    しかし、グリコーゲンは糖新生でも、最終的に発生しますから
    私は『グルコースの痛み』と、仮説的に考えております

    ケトジェニックと糖質制限による代謝の切り替わりによって
    筋肉がグルコース過敏症になる、という現象は、再現性があるのでしょうか

    1. ラスコーリニコフさん、コメントありがとうございます。

      痛みの原因はわかりませんが、私の考えでは横紋筋融解症まではいかないまでも、筋肉が壊れているのではないかと思います。
      しかしそれが筋肉のグルコース過敏症ではなく、それまでは脂肪酸やケトン体で十分なエネルギー、ATPを産生していたのに、
      急に糖質が体に入ってきて、インスリン分泌が増加し、脂肪酸―ケトン体からブドウ糖へのエネルギー源の切り替えがうまくできず、
      一時的なATP産生障害が起きているのではないかと思います。推測にすぎませんので、本当のところはわかりません。
      江部先生の低カリウム血症説も捨てがたいですが、筋肉痛が出るほどであれば他の症状もありそうです。

      1. Dr.Shimizu様

        御返信をいただきまして、感謝申し上げます。

        確かに、この現象は、食後高血糖、インスリン過剰分泌と強く関連していると推測されます。
        というのも、ケトジェニックおよびスーパー糖質制限を始める前、つまり、食後高血糖を容易に起こしていた段階では
        本当に全身がランダムに痛く、治療不可能な難病ではないか……?と絶望していたのですが
        ケトジェニックおよびスーパー糖質制限を始めて1ヶ月前後で、上記の意味不明な痛みは全く無くなりました。
        とても嬉しいです。
        今後も代謝に気をつけて、ケトジェニックとスーパー糖質制限を『一生』続けていきます。
        感謝を申し上げます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です