富士登山競走(HPはここ)って知ってますか?私はトレイルも、もちろんスカイランニングもしないので知りませんでした。もう今年で76回大会だそうです。コースは2つです。富士吉田市役所から山頂まで登るのと5合目までのコースです。
○山頂コース
富士吉田市役所〜吉田口登山道〜山頂に至る約21㎞(標高差約3,000m)
○五合目コース
富士吉田市役所〜吉田口登山道〜五合目に至る約15㎞(標高差約1,480m)
距離だけを見ればハーフマラソン程度の21kmですが、標高差はなんと約3,000m。しかも制限時間4時間30分です。今年は7月28日に開催され、男子の優勝タイムは2:41:31、女子は3:16:53でした。歴代最高は2:27:41です。凄いですね。
私には絶対できませんが、動画を見ていると、なぜかワクワクしてきます。変態にしかわからないのかもしれません。
さて、なぜいきなり富士登山競走の話が出てきたかというと、その前日、私は生まれて初めて富士山登山をしてきたのです。一度は登ってみたいとずっと思っていたのですが、なかなかタイミングがなく、この年まで来ました。今年思い切って挑戦してきました。
登ったのは一般的に一番人気の高い、富士吉田ルート。富士スバルライン五合目(標高約2,300m)から登り、山頂までの標高差約1,400mのコースです。距離は約6.8km。往復でも約14kmしかありません。平地ならすぐに終わってしまう距離です。
私は高校生ぐらいまで少しの登山はしましたが、その後は全く登らず、10年以上前に近くの500m級の山に1度登ったくらいです。今年富士山登山を計画し、その練習をしようと、500m級の藻岩山に1度登り、その後は300m級の山に数回登りました。本当は手稲山にも登って練習しようと思いましたが、今年はなぜかクマの目撃情報が多く、手稲山も藻岩山も躊躇してしまい、ほとんどまともに練習せずに富士山に挑んでしまいました。
そして、富士山登山の日の4日前に大きなハプニングが起きました。なんとギックリ腰になってしまったのです。荷物も持って登らなければならないので、どうしよう、と非常に不安でしたが、過去にも2度フルマラソンの前日にギックリ腰を起こしていて、レースは2回とも普通に完走できたので、富士山も大丈夫だろうと楽観的に考えるようにしました。でもやれることはやろうと、ギックリ腰になったその日もできる限り体を動かし、腰の筋肉を硬くしないようにしました。漢方の芍薬甘草湯と治打撲一大量療法を行い、一度だけロキソニンを飲みました。
そうしたところ次の日には、立ち上がる時にはちょっと痛みがあり、歩行しはじめは前屈みになる感じでしたが、徐々に真っ直ぐの姿勢で普通に歩けるほどまで改善。漢方とシップでどんどん良くなりました。重い荷物を持っても大丈夫。何とか間に合いました。
2週間前から天気が気になり、ずっと雨の予報が続いていたのですが、数日前になり晴れ予報、しかし、前日の予報では午後から雨が降りそうな予報に変わっていました。まあでも登りで雨が降らなければいいか、山の天気は変わりやすいから、とあまり気にしないようにしました。
太陽が昇る前に5合目につき、軽い食事(ゆで卵2個、チーズ、鶏のささみのスティック状のものなど)を摂り、順応の時間もとってから登り始めました。雲が多かったですが、何とかご来光が途中で見れました。
気温は10度台後半だったと思いますが、太陽が照れば暑く、半袖でも大丈夫なほどでした。7合目まではそれなりに順調でしたが、7合目からの岩場でかなり息苦しさがあり、空気の薄さを実感しました。少しずつ高山病の症状である頭痛が出始めました。事前に五苓散を飲んでいましたが、完全に高山病にならないことにはならなかったですね。
登山のかなり前から酸素缶を準備していたのですが、直前に飛行機に持ち込めないことに気付き、泣く泣く家に置いてきましたが、富士吉田市のドンキホーテに大量に置いてあったので、1本購入し持っていきました。苦しいときに酸素を吸いましたが、それでどうなることもありません。一瞬酸素が増えても、すぐに戻ってしまうので、高山病改善にはつながらないでしょう。でも、多くの薬や医療と同様にプラセボ効果というのは非常に大きいので、何となく良いと思えばそれで十分です。
天気は晴れたり曇ったり、曇れば上の方は寒く感じましたが、防寒具までは必要ないほどで助かりました。途中の行動食も糖質はもちろんほとんど摂らず、登山を続けました。水は最低限の2本。1本無くなれば1本足すという感じで、あまり荷物を重くしないようにしました。山小屋ごとに短くても休息を取り、上を目指しました。
最後は試練のような岩場のつらい登りが続き、空気も薄く、頻繁に休みをとりながら出ないと登れませんでした。
かなり時間はかかりましたが、何とか頂上まで行くことができました。丁度山頂で晴れ間になり、絶景を見ることもできました。
ただ、お鉢巡りという山頂を一周して、ピークの剣ヶ峰(3,776m)に行くのは断念しました。時間的な問題もありましたが、一番は高山病の症状の頭痛が結構強かったためです。体力的にはウルトラマラソンの方が断然きついですね。そしてその後に下山が待っていますので、無理はできません。
神社で手を合わせ、早々に下山です。下山道は砂と砂利のような感じ。前を歩く人の砂埃が凄くて、結構大変でした。そして、一番苦戦したのが非常に滑りやすい砂利道。ズルズルと滑り、何度か足を取られて転んでしまうほどでした。踏ん張ることも多く、膝が悲鳴を上げていました。それでも何とか下っていたのですが、途中から雲が多くなり、遠くでゴロゴロと音が鳴り始めました。スマホで雷情報を見て、雷が近づいてきていることを知り、下山スピードを上げようと思いましたが、なかなか上がらず、雷が来ないことを祈りながら先を急ぎました。結局雷はなく、ホッとしました。
何とか5合目に帰りついて、バスで移動し、帰路につきました。
噂通り、富士山登山には多くの外国人がいました。日本人よりも多かったと思います。そしてこれも噂通り、本当に軽装で富士山に登っている人も少なくありません。短パンTシャツスニーカーで荷物も非常に少ない人も結構見かけました。中にはスーパーの帰りのように、荷物もビニール袋のようなものに入れて、手で持って登っている人もいました。
まあ、それでも若くて強そうな体をした外国人でも山頂近くでは、頻繁に足を止めて休みながら、苦しみながら登っている人も多かったですね。
初心者が富士山に登る成功率は50%ともネットで書かれていたので、どうなるのかと思っていましたが、初心者の私でもなんとか日帰りで富士山の登山ができました。初心者で日帰り登山は無謀だと思う人もいるかもしれませんが、山小屋に1泊しても、大部屋で雑魚寝状態でほとんど眠れず、睡眠不足状態で登るのもどうかと思いますし、眠ったら眠ったで睡眠中の低酸素血症がより増悪する可能性がありますし、山小屋の食事もまともなものが出ないので、私は日帰りで良かったと思います。
その後ホテルでは経験がないほどの爆睡で、次の日の朝には頭痛もスッキリでした。ただ、朝は体内時計を朝にずらしていたので、早朝に目が覚めました。その次の日も早朝に目が覚めました。体内時計はすぐにはもとに戻ってくれません。
また登山の次の日は手も足も、そして顔も浮腫んでいました。筋肉痛はそれほどもなく、登山の次の日は歩き回ることができました。しかし、なぜかその日の夜にお酒を飲んで食事をした後に立ち上がった時から、急に筋肉痛が強くなったのです。不思議です。本当に急にです。お酒と関係があるのかな?
最初で最後(?)の富士山登山。達成感は半端ないですね。やっぱりドパミン大量分泌状態には人間は溺れてしまいます。もっと簡単に富士山に登れるところに住んでいたら、もしかしたら富士登山競争にもチャレンジしたくなっているかもしれません。
中年の真夏の大冒険。苦しかったけど楽しかったなあ。
富士山のご来光、素晴らしかったでしょうね。
サロマ湖ウルトラマラソンの記録も驚異ですが、富士登山競争の記録も同じ人間とは思えないです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
富士登山競争の動画見ましたが、凄い勢いで富士山に登っています。素晴らしいです。
やってみたくなります。
wikiより
富士山の弾丸登山とは、「五合目を夜間に出発し、山小屋に泊まらず、夜通しで一気に富士山頂を目指し、すぐに下山する登山形態(0泊2日や日帰り登山)」である。『富士山オフィシャルサイト』では、「安全で快適な登山を楽しむために、途中で1泊するようなゆとりある登山行程」を薦めている。
富士山の弾丸登山は様々な点で問題視されています。
天候に恵まれて「たまたま」無事に下山できたことを自覚してもらいたいと山を愛する者の立場で忠告しておきます。
山小屋の食事や床環境に不満があるのなら、登るべきではありません。
山には山のルールがあります。
郷に入れば郷に従えなのです。
榊さん、コメントありがとうございます。
wikiの定義では私の登山は弾丸登山ではありませんね。ゆとりのある登山行程でしたし。
1泊することだけがゆとりだとは思いませんし。入山届も出しています。
富士登山競争なんて2時間40分で麓から山頂まで登るので、まさに弾丸ですね。
海外の人たちが夜間登山することを非難している人もいますが、本当にダメなら登山口を通行止めにすれば良いだけです。
日中に登っている外国人の方は皆、行動のマナーも良かったですよ。
登ってみて、やっぱり富士山は初心者でも挑戦してみても良い山だと思いました。
もちろん、天候や高山病のリスクを承知の上ですが。
まあ、人生なんて「たまたま」の連続ですから。
富士登山ポリス♀️
ありがたいでさすね。