糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その5 腎機能低下

GLP-1受容体作動薬の副作用についての記事「その1」「その2」「その3」「その4」の続きです。

今回は腎機能低下についてです。

GLP-1受容体作動薬セマグルチドの処方後に腎機能の急速な悪化とタンパク尿の増加を経験した、糖尿病性腎症による慢性腎臓病患者2名の報告です。まずは、糖尿病と高血圧、慢性腎臓病を患う80代前半の女性です。脚の浮腫が増大したためクリニックを受診しました。発症の5か月前に、毎週セマグルチド注射を処方されていましたが、その時点ではクレアチニンは1.59mg/dL 、eGFRは30mL/min/1.73m2、UPCR( 尿タンパククレアチニン比)は1g/g未満でした。(図は原文より)

上の図のようにGLP-1受容体作動薬注射後に急速に腎機能が低下し、クレアチニンは3.5に増加、eGFRは11まで低下していました。尿タンパクは3+、UPCRは4.9g/gでした。GLP-1受容体作動薬が中止された後も、腎機能の回復やタンパク尿の減少は見られません。不可逆的な腎機能低下が起きたと考えられます。もちろん長期的にはわかりませんが。

もう一人は糖尿病と高血圧、慢性腎臓病を患う60代の男性です。過去7年間、eGFRは30~35mL/min/1.73m2の範囲で安定していました。尿タンパクは2+、UPCRは 400~500mg/gでした。4か月前からGLP-1受容体作動薬が開始となりました。診察時eGFRが24に減少したことが認められ、さらにその1 週間後、eGFRは22となり、UPCRは1,333 mg/g に増加しました。食欲の低下と倦怠感、および6.8kgの体重減少を認めました。GLP-1受容体作動薬は中止され、症状は解消され、体重が増加しましたが、腎機能やタンパク尿には改善が見られません。

糖尿病の人は当然ながら標準治療を受けている人が多いでしょう。しかし、以前の記事「糖尿病の薬を飲んでいるだけでは糖尿病の腎機能の低下は防げない」で書いたように、標準治療では腎機能低下を防げない可能性が高いです。しかも、今回のようにGLP-1受容体作動薬により急速に腎機能が低下し、薬をやめても回復しないとなると、何のために治療をしているのかわからなくなります。

以前の記事「糖質制限をしっかりすれば糖尿病の腎機能低下を防げる可能性がある」で書いたように、糖質制限という食事にするだけで腎機能が守れる可能性があるのです。薬と食事、どちらにするのが良いと思いますか?

医療機関は薬か食事かどちらが自分の利益になるかは自明です。

糖尿病も腎機能低下も糖質過剰症候群です。まずは糖質制限です。

「Acute Kidney Injury Associated With Semaglutide」

「セマグルチドに関連する急性腎障害」(原文はここ

One thought on “糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その5 腎機能低下

  1. 幸せ(健康)の「青い鳥」を探してさ迷いがちですが、身近に「糖質制限」という
    シンプルで簡単な答えがありました、とさ。

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