糖質入りドリンクは飲んではいけない

猛暑が続くと、頻繁にマスコミは熱中症予防にこまめな水分補給を訴えます。水分補給だけで熱中症予防ができるというエビデンスはありません。しかも、そのマスコミに出てくる医師は、スポーツドリンクを推奨します。スポーツドリンクは糖質がたっぷり入ったものがほとんどです。電解質なんてわずかで、塩分補給にもなりません。(そもそも普通に汗をかいたくらいで塩分補給は全く必要ありません)

暑い日にはスポーツドリンクだけでなく、様々なジュースなど糖質入りドリンクをゴクゴク飲んでしまうこともあるでしょう。しかし、一気飲みした糖質入りドリンクは大きな代謝の変化をもたらします。これらのドリンクには猛毒の果糖がいっぱい入っていることが多いです。

今回の研究では市販のリンゴジュース500mlを1時間かけて飲む場合(グループ1)と、一気飲みする場合(グループ2)で代謝変化がどう違うかを分析しています。

平均年齢26.1歳、BMI22.9の30人が対象です。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図はAが血糖値、Bがインスリン値、CがHOMA-IR、DがFGF(線維芽細胞増殖因子)-21の推移です。
FGF-21の上昇は代謝の健康状態の悪化と関連しており、空腹時血糖、空腹時インスリン、中性脂肪と正の相関があり、HDLコレステロールと負の相関があることが示されていて、FGF-21 の高値は肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドロームの予測因子です。オレンジの線が一気飲みのグループですが、一気飲みの方が血糖値の増加が大きく、またピークが早くなっています。インスリンも一気飲みでは30分がピークです。
HOMA-IRも一気飲みの方が高くなっていますし、FGF-21は特に差が大きいです。

上の図はAがコペプチンといって抗利尿ホルモンのバゾプレシンのマーカー、Bは浸透圧、Cはナトリウム、DはBUNです。どれも一気飲みで大きく増加しています。一時的な脱水状態になっているのかもしれません。そうすると余計に喉が渇いているように感じるかもしれないので、さらに飲みたくなるかもしれません。果糖はバゾプレシン分泌を刺激します。

また、BUNの上昇は何かわかりませんが、一時的な腎機能低下によるクリアランスの低下かもしれません。

上の図はAが乳酸、Bがリン酸塩、Cが尿酸です。どれも一気飲みの方が上昇が大きいですね。

リンゴジュースは100g当たり糖質で10.8g、ブドウ糖2.8、果糖6.4、ショ糖1.4です。ショ糖の半分は果糖なので、全部で果糖は7.1g、それを500ml飲むと糖質を54g、果糖を35.5gも摂取することになります。

もちろん、私はゆっくりと糖質入りドリンクを飲むことを推奨しているわけではありません。糖質入りドリンクは飲むべきではありません。そして、一気飲みをすると、さらに体には大きな負荷がかかる可能性があります。

水分補給は水やお茶で十分です。スポーツドリンクの出番はありません。スポーツドリンクを推奨している医師は別の考えがあるのかもしれません。医療の利益になっても患者の利益にはなりません。

「The Speed of Ingestion of a Sugary Beverage Has an Effect on the Acute Metabolic Response to Fructose」

「砂糖入り飲料の摂取速度は果糖に対する急性代謝反応に影響を与える」(原文はここ

2 thoughts on “糖質入りドリンクは飲んではいけない

  1. 一気飲みで有害なスパイク現象が起きるとなると、最近流行りのベジファーストなどの
    「食べる順番」はやはり気を付けた方がいいのでしょうか?

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      食べる順番は多少の影響はありますが、根本的な解決とはなりません。
      糖質を摂らないのが一番です。

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