糖質制限をしっかりすれば糖尿病の腎機能低下を防げる可能性がある

以前の記事「糖尿病の薬を飲んでいるだけでは糖尿病の腎機能の低下は防げない」では、糖尿病の薬を使用しても腎機能は低下してしまう可能性があることを書きました。

では糖質制限ではどうでしょう。

今回の研究はアメリカ糖尿病学会の発表演題の抄録なので、論文にはなっていませんので注意が必要です。ケトン食や糖質制限で糖尿病を改善させているVirtaからの報告です。

糖質制限をした群と通常の糖尿病のケアを受けた群で、さまざまな腎機能を持つ2型糖尿病患者の腎機能のeGFRの傾きを2年間比較しました。eGFRの傾きが上昇すれば腎機能が改善し、低下すれば腎機能が悪化していることになります。下の図のCCIが糖質制限を行っている群であり、UCが通常ケア群です。(図は原文より)

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上の図のように、全体では糖質制限群でeGFRの傾きは平均で0.84上昇しており、通常ケア群では0.68減少していました。その差は有意です。糖質制限群の中でさらに細かく4つに分けています。持続栄養性ケトーシス(SNK)群はケトン体が持続的に1mM(日本の単位で1,000μmol/L)までの群、少し減少した栄養性ケトーシス(MDNK)はケトン体が0.5~0.7mM(500~700μmol/L)程度、低栄養性ケトーシス(LNK)は0.3~0.4mM程度、非持続性栄養性ケトーシス(UNK)は0.1~0.3mM程度です。最もケトン体が高いSNK群ではeGFRの傾きが3.38と大きく上昇しています。ケトン体が多いほどeGFRの傾きが大きくなるようです。

ベースラインでeGFRが90未満の人だけで比較すると、糖質制限と通常ケアの差は大きくなり、糖質制限で2.99上昇でした。ただし通常ケアでも平均では1.06上昇していました。SNKでは6.28と特に大きな上昇を示していました。

ケトン体そのものが腎機能を保護しているのか、ケトン体が大きく増加する食事、つまりインスリン過剰分泌およびインスリン抵抗性や高血糖が起きないほど腎機能が良くなるのかはわかりませんが、恐らくその両方だと思います。食事で腎臓が守れるのです。逆に考えれば間違った食事をしていると腎機能が低下するのです。

糖尿病、腎障害は糖質過剰症候群です。糖質制限で大事な臓器を守りましょう。

 

「Two-Year (2y) eGFR Slope in People with Type 2 Diabetes (T2D) Receiving a Very Low Carbohydrate Diet (VLCD) Intervention」

「超低炭水化物食療法 (VLCD) 介入を受けた 2 型糖尿病 (T2D) 患者における 2 年間 (2y) の eGFR の傾き」(原文はここ

2 thoughts on “糖質制限をしっかりすれば糖尿病の腎機能低下を防げる可能性がある

  1. 熱中症アラート状態の日本列島ですが、専門職と呼ばれる方々の指示も「電解質を含んだポカリのような水分補給を」に留まってて
    残念です。

    私は糖質制限と自然塩摂取です。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      普段一般的な医師は塩分制限をしろというのに、夏は急に塩分補給をしろと言います。笑ってしまいます。
      テレビに出る専門家は、コロナ専門家と同様に間違いを平気で広めます。
      枕元にポカリを置いて寝ましょうという専門家までいます。
      どれほどの高齢者が意味もないポカリやOS-1を飲んでいることやら。

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