糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その1

2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬は最近ではダイエット目的のいわゆる「やせ薬」としても適応外使用されています。

自由診療で様々な宣伝文句が飛び交っています。「メディカルダイエット」なんていかにも医学的で効果がありそうに聞こえますね。「GLP-1は痩せホルモン」、「食事制限なしでダイエットができる」「太りにくい体質になる」「リバウンドしにくい」などなど。リバウンドしにくいは全くのウソで、薬を止めればまた体重が戻ることは論文で出ています。(「効果を維持するためにはやめることができないGLP-1受容体作動薬」参照)体質も変わるわけではなく、薬を止めればもとに戻るでしょう。騙される人も多いでしょうね。

これに対して日本糖尿病学会は見解を出しています。(ここ参照)まあ、副作用がない薬はありませんから、注意が必要です。もちろんこの副作用は糖尿病でこの薬を使っている人にも当てはまります。

糖尿病患者では腸閉塞のリスク増加などの長期的な有害事象が報告されています。インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬は、他の血糖コントロール薬を投与されている患者よりも4.5 倍高くなっています。(図はこの論文より)

GLP‐1作動薬で3倍、DPP-4阻害薬は8.66倍、腸閉塞のリスク増加と大きく関連しているようで、さらに重篤な腸閉塞の報告は他の糖尿病の薬よりもGLP‐1作動薬で7.4倍、DPP-4阻害薬は12.67倍でした。

25,617人の人を対象とした研究では、GLP-1薬に関連して腸閉塞率がSGLT-2阻害剤と比較して最大で3.5 倍増加していました。しかしその腸閉塞はGLP-1薬治療開始から1.6 年後に最も多く発生しています。(図は原文より)

上の図は11件のランダム化およびプラセボ対照臨床研究におけるGLP-1受容体作動薬の薬物誘発性便秘の発生率です。そのデータから見ると、薬物誘発性便秘の発生率は投与期間と相関していました。そして多くの臨床研究は1年以下なので、本当の発症リスクは過小評価されているかもしれません。

動物実験上では上の図のように、GLP-1薬によって、ネズミさんの小腸の長さと重量が増加しました。GLP-1薬は腸の長さと絨毛の高さを継続的に増加させる可能性があるため、小腸は緩んだバネのように弾力性がなくなり、線維化する可能性があります。そして深刻な便秘、腸閉塞を起こすリスクがあるのです。

こんな薬をダイエットのために積極的に処方する医師も、騙されて使用する人も少なくないでしょう。薬を使うリスクが全くわかっていないというのは非常に恐ろしいですね。こんな薬を使わなくても糖質制限をすれば糖尿病は改善しますし、体重も減少します。糖尿病も肥満も糖質過剰症候群です。

しかし、このGLP-1受容体作動薬にはさらに恐ろしい副作用が起きる可能性があります。それについては次回以降で。

 

「A potentially serious adverse effect of GLP-1 receptor agonists」

「GLP-1受容体作動薬の潜在的に重篤な副作用」(原文はここ

One thought on “糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その1

  1. ドーピングダイエットですね。
    しかし全て対症療法的な服薬は一時凌ぎのドーピングともいえるかもしれませんね。

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