PPI(プロトンポンプ阻害薬)は認知症のリスクを高める

人間の代謝の最初の段階、食べ物を消化吸収すること、そして体の外から体の中に物質を入れるので殺菌することは非常に重要でしょう。それを担っている重要なメカニズムが胃酸分泌です。その胃酸分泌を抑えてしまうPPI(プロトンポンプ阻害薬)をずっと飲んでしまうなんて様々な有害なことが起きても不思議ではありません。

今回の研究ではPPIと認知症の関連についてです。60歳から75歳までの1,983,785人を対象に累積PPI使用とさまざまな年齢における認知症との関連性を評価しました。中央値10年間(最長19年間)追跡した結果、99,384人が認知症を発症しました。(図は原文より)

上の図は認知症発症の年齢グループごとのPPIのこれまでの使用および累積使用に応じて、全原因認知症のリスクを示しています。PPIの非使用者と比較すると、どの年齢グループでも認知症のリスクは増加しましたが、若い層ほどそのリスクは大きく、60~69歳では1.36倍でした。そしてその年齢層では長く使用すればするほど、認知症リスクは高く、36か月以上では1.59倍にもなっていました。

上の図はPPIによる治療開始のタイミングについてです。60~69歳では認知症の診断の5年未満前からのPPI開始で最もリスクが高く、1.79倍でしたが、15年以上前でも1.44倍でした。90歳未満では全ての年齢層でPPI治療の開始のタイミングにかかわらず、認知症リスクは増加していました。

もちろん、認知症もPPIの処方原因の疾患としてよくある胃食道逆流も、どちらも糖質過剰症候群だからPPIと認知症が関連しているとも言えます。しかし、動物実験上ではPPIは血液脳関門を通過し、脳に影響を与える可能性があります。(この論文参照)さらに、神経伝達物質のアセチルコリンは認知機能に大きな関係があると考えられていますが、実験上ではPPIはアセチルコリンの生合成に関与する酵素を強力かつ選択的に阻害し、それによって脳内の神経シグナル伝達を阻害する可能性があります。(この論文参照)

いずれにしても、人間のメカニズムを無視したようなこんな薬をずっと使い続けるのは様々なリスクが高く、こんな薬を患者にリスクの説明もせずに長期間処方し続ける医師がいることは理解できません。

まずはPPIの前に糖質制限です。

「Proton pump inhibitors and dementia: A nationwide population-based study」

「プロトンポンプ阻害剤と認知症:全国的な人口ベースの研究」(原文はここ

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