簡単に言えば、脂肪は「善」、糖質(炭水化物)は「悪」

Lancetに掲載された今回の研究は、私たち糖質制限をしている人間にとっては当たり前の結果ですが、それがはっきりと示されました。18の低所得、中所得および高所得国からの135,000人以上の人々を追跡した、PURE(Prospective Urban Rural Epidemiology)調査によるものからの研究で、平均して7年半を追跡されました。

その結果、

・果物、野菜、および豆類の摂取総量の増加は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管死亡率、非心血管死亡率および総死亡率に反比例していました。それぞれのリスク(ハザード比)は心筋梗塞0.99、脳卒中0.92、心血管死亡率0.73、非心血管死亡率0.84、総死亡率0.81でした。総死亡率は、基準群と比較して1日当たり3~4人分摂取していると0.78で最も低くなりました。ただ、さらに摂取量を増やしてもリスクの減少は認められませんでした。

・ここに見ると、果物摂取は心臓血管、非心臓血管、および全死亡のリスクの低下と関連していました。豆類の摂取は心血管以外の死亡および全死亡率のリスク低下と関連していました。野菜については、生野菜の摂取は全死亡のリスクが低いことと強く関連していましたが、調理された野菜摂取は死亡率に対して控えめな利益しか示しませんでした。

・果物、野菜、および豆類の消費量が高いほど、心血管以外のリスクおよび全死亡率が低いことと関連しており、1日3〜4人分(375〜500g /日に相当)摂取すると、非心臓血管死亡率と総死亡率の両方で最大の効果が得られるようです。

・栄養摂取量(炭水化物、脂肪、およびタンパク質)に基づいて多い人から少ない人まで5つ(5分位)に分類しました。そうしたところ、炭水化物の摂取量が多いほど、総死亡率のリスクが高く、最高5 分位と比べて最低5分位のリスクは1.28でした。ただ、心臓血管疾患または心臓血管疾患の死亡のリスクの違いは認められませんでした。

・全脂肪および脂肪の各タイプの摂取は、総死亡率のリスクが低いことと関連していました。最高5 分位では最低5分位に比べてリスクは、全脂肪 0.77 、飽和脂肪0.86、一価不飽和脂肪 0.81、多価不飽和脂肪0.80でした。また、飽和脂肪摂取量が高いほど脳卒中のリスクが0.79と低いことが示されました。総脂肪および飽和および不飽和脂肪は、心筋梗塞または心臓血管疾患死亡のリスクと有意に関連していませんでした。

・総脂肪および脂肪の各タイプの摂取は、総コレステロールおよびLDLコレステロールのより高い濃度と関連していましたが、高いHDLコレステロールおよびアポリポタンパク質A1(ApoA1)(HDLコレステロールやApoA1は高い方が心血管疾患のリスクを下げます)および低いトリグリセリド(中性脂肪)や総コレステロール対HDLコレステロールの比、トリグリセリド対 HDLコレステロール、およびアポリポタンパク質B(ApoB)対ApoA1の比(これらは全て低い方が心血管疾患のリスクが低いです)とも関連していました。

・炭水化物摂取量の増加は総コレステロール、LDLコレステロール、ApoBの減少に関連していましたが、低いHDLコレステロールおよびApoA1、高いトリグリセリド(中性脂肪)や総コレステロール対HDLコレステロール、トリグリセリド対HDLコレステロールおよびApoB対ApoA1 比(これらは高い方がリスク増加を示します。)とも関連していました。

・総脂肪、飽和脂肪酸、および炭水化物のより高い摂取量は血圧の上昇と関連していましたが、タンパク質摂取量の増加は血圧の低下と関連していました。

・飽和脂肪酸を炭水化物に置き換えることは、血液の脂質に対する最も有害な影響と関連していました。飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸で置き換えるといくつかのリスクマーカー(LDLコレステロールおよび血圧)は改善しましたが、他のもの(HDLコレステロールおよびトリグリセリド)は悪化しました。

・飽和脂肪酸と心血管疾患イベントとの間の関連性は、ApoB対ApoA1比によって予測が示されましたが、LDLコレステロールを含む他の脂質マーカーではその予測はできませんでした。

つまり、この研究で得られたことは、

・高炭水化物摂取量は全死亡のリスクが高いことと関連していましたが、総脂肪および個々の脂肪のタイプは総死亡率の低下に関連していました。飽和脂肪は脳卒中で逆相関を有していたのに対し、総脂肪及び各脂肪のタイプは、心血管疾患、心筋梗塞、または心血管疾患死亡率と関連していませんでした。

・総脂肪および飽和脂肪の総量を減らすための現在の推奨事項とは反対の結果です。飽和脂肪酸の摂取量を減らし、炭水化物で置き換えることは、血中の脂質に悪影響を及ぼします。飽和脂肪酸を不飽和脂肪で置き換えると、いくつかのリスクマーカーが改善されるかもしれないが、他のものを悪化させる可能性があります。ApoB対ApoA1比がマーカーの中で心血管疾患リスクに対する飽和脂肪酸の影響を最もよく示すものであることを示唆しています。LDLコレステロール単独のような単一の脂質マーカーに焦点を当てるだけでは、心血管リスクに対する栄養素の正味の臨床効果は全く捕らえられません。

・世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである。

いかがでしょうか?途中心血管疾患と飽和脂肪酸の影響について書かれていて、ちょっとこの表現は疑問がありますが、全体としては糖質制限の方向性の正しさを十分表しているように思われます。

ひとつ面白いと思ったのは、生野菜と調理した野菜では結果が違うということです。調理により栄養素が抜けてしまうことが原因なのか、それとも生野菜の方が腸内細菌にとって有利なのか、それとも生野菜が手に入るという環境が影響しているのか?

いぜれにしても、これからは糖質制限をして、野菜と脂肪をいっぱい摂りましょう!

今回の原文は以下にあります。

「Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study」

「Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study」

「Association of dietary nutrients with blood lipids and blood pressure in 18 countries: a cross-sectional analysis from the PURE study」

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