5年ごとに日本人の食事摂取基準が見直されています。現在2025年版の日本人の食事摂取基準の策定検討会が行われています。策定する委員会は当然大きく改革することは考えていませんので、期待はできません。
当然、糖質制限なんて無視です。
今回の改訂の目玉は「フレイル」です。それ以外はほとんど変わらないと言って良いでしょう。
ちなみにメンバーは次のような方々です。(ここ参照)
彼らに利益相反があるのかないのかはよくわかりません。
では、炭水化物の項目を見てみましょう。
<策定方法のポイント>
●指標設定の基本的な考え方
・エネルギー源として重要であるため、この観点から指標を算定する必要があり、たんぱく質及び脂質の残余として目標量(範囲)を算定。
「炭水化物はエネルギー源として重要」という考えは絶対に変わらないでしょう。お米文化を否定できませんし、病気の人を減らすわけにはいかないでしょうから。
「たんぱく質及び脂質の残余」が目標量です。タンパク質も脂質も目標量の設定の仕方が問題です。
タンパク質に関しては、
●推定平均必要量の策定方法
•成人・高齢者・小児:最新のメタ・アナリシスと諸外国の基準設定方法を踏まえ、全年齢区分で男女ともに同一のたんぱく質維持必要量(0.66g/kg体重/日)を用いて算定。
●目標量の策定方法
•下限は、推奨量以上で設定。高齢者のフレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、高齢者については、摂取実態とたんぱく質の栄養素としての重要性を鑑みて設定。
•上限は、十分な科学的根拠はまだ得られていないが、成人における各種の代謝変化への影響や、高齢者における健康障害への可能性の観点などから、1歳以上の全年齢区分において20%エネルギーと設定。
必要量が0.66g /kgは少なすぎです。そして、なぜか上限が20%です。30%だと問題なのでしょうか?40%は?見直す気がありません。
脂質は「日本人の代表的な脂質(脂肪酸)摂取量を考慮し、飽和脂肪酸の目標量の上限を考慮して設定」、飽和脂肪酸は「日本人の摂取量の中央値を基に設定」としているので、いつまで経っても今の摂取量が変更されることはありません。今までの食事の摂取基準がずっと見直されないので、変わるわけがありません。現在が脂質は20~30%です。飽和脂肪酸の摂取量の中央値というのは、あくまで食事アンケートによるデータで、非常に質の低いデータをもとにしています。
脂質は悪、飽和脂肪酸は悪、コレステロールは悪、という考えが改善しない限り、摂取量は変化しません。
そうすると自ずと炭水化物は50%~60%くらいになってしまうのです。どうして炭水化物だけは残りで設定されるのかいまだにわかりません。糖質が健康に悪いというエビデンスが多く出ているのに、全く変わりません。
そして、炭水化物の項目で、
● 指標設定の基本的な考え方
•糖類のうちでも、added sugar(食品の調理加工中に添加された糖類やシロップ)とfree sugar (added sugarに果汁を加えたもの)の健康影響が多く研究されており、WHO等での糖類摂取の基準値は、多くの場合added sugar又はfree sugarに対するものである。我が国では、日本食品標準成分表に単糖や二糖類等の成分値が収載されているが、added sugarやfree sugarの値は示されておらず、摂取量の把握が困難であることから、糖類の基準の設定は見送り。
「摂取量の把握が困難であることから、糖類の基準の設定は見送り」って、他の栄養素も摂取量の把握なんて所詮困難です。単糖や二糖類等の成分値があれば、十分推測可能なはずです。食品業界強しですね。
<今後の課題>
•糖類(単糖及び二糖類)に対する目標量の策定を検討するための基盤整備が必要である。食品成分表へのadded/free sugarの収載及びそれを用いた日本人における糖類摂取実態の記述がそれに当たる。さらに、糖類摂取状況と各種健康アウトカムとの関連をみる日本人を対象とした観察研究、介入研究が必要である。
「糖類摂取状況と各種健康アウトカムとの関連をみる日本人を対象とした観察研究、介入研究が必要」と言っているので、当分検討する気がないようです。
現在のPFCバランス、栄養バランスが健康的であるというエビデンスを欠いているのに、ずっとこれを押し通すのが問題です。このバランスで食事をしている日本人が様々な病気を発症するのはなぜですか?このバランスから大きく逸脱した糖質制限食で様々な病気や症状が改善するのはなぜでしょうか?
医療業界、食品業界は今後も安泰ですね。
「ワーキンググループでの作業を踏まえた総論及び各論の主なポイント」(資料はここ)
利益相反、確信的に情報発信
する方々はいいでしょうが、
健康維持の目的で熱心に遵守
される方々は、発信側の
いい食い物のような、、、
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
正しい情報がどんどん見えにくくなっています。
自分で考えないと、どんどん不健康になるでしょうね。
この栄養基準は、あいかわらず、「エネルギーの摂取量及び消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標
としてBMIを用い」ることから出発しています(スライド14頁)。要するに、「カロリーを沢山摂取すると太る」という思い込みを元に、「だから一日の摂取カロリーを設定する」という理屈になっており、これがそもそもの間違いだと思います。ヒトが生きていくために必要なのは栄養であってカロリーではないし、そもそもカロリーと肥満との間には何の相関性もなく(例:ヒトは齧歯類ではないので、カロリーの高い脂肪を摂取しても肥満しない)、19世紀に提唱された仮説のまま進歩が止まってしまった、極めて残念な栄養基準です。この基準は健康増進法16条の2に基づいて厚生労働大臣が策定するもので、国家予算を使ったプロジェクトのはずですが、間違いだらけで、健康を増進しない基準と言わざるを得ません。ワクチンと同様、税金使って有害なものを押しつける、というう厚生労働省の愚策の典型例と思います。
和田さん、コメントありがとうございます。
カロリー神話はなくならないでしょうね。
税金を使って砂糖を推奨する国ですから。
国を信じても健康にはなれませんね。