以前の記事「インスリン抵抗性の代謝スコア その1」で書いた、METS-IRが日本人にも適応できるのでしょうか?
日本人を対象にした研究3つを取り上げます。ただ、全て同じ施設、岐阜県の村上記念病院における健康診断プログラムのデータからの研究になります。
ひとつはインスリン抵抗性の代謝スコア(METS-IR)と動脈硬化の検査の上腕足首脈波伝播速度(baPWV)との関連について912人を対象として、ひとつはMETS-IRと前高血圧症または高血圧との関連について15,453人を対象に、もう一つはMETS-IRと推定糸球体濾過率(eGFR)との関係について881人を対象とした研究です。(図は原文より)
まず、上の図は横軸METS-IRで縦軸は上腕足首脈波伝播速度(baPWV)の関係です。METS-IRはbaPWVによって評価された動脈硬化と有意かつ直線的に相関しています。正常範囲は 1,400cm/sec以下で、動脈硬化性疾患のハイリスクは1,800以上です。baPWV1,400はMETS-IRが30ちょいのところですね。
上の図のAは前高血圧症との関連、Bは高血圧との関連です。METS-IRが30くらいを1とすると、40くらいになると前高血圧および高血圧の可能性はおよそ2倍です。METS-IRが1増加するごとに、前抗血圧の有病率が7%増加し高血圧の有病率は13%増加します。
上の図はMETS-IRとeGFRとの関係です。やはりMETS-IRが高くなることはeGFRの低下と強く関連しています。
まあ、どれも当たり前ですね。動脈硬化も高血圧も、腎機能低下もすべて糖質過剰症候群です。糖質過剰摂取、インスリン抵抗性と大きく関係しています。
METS-IRは日本人にも十分に適応できそうです。目標はMETS-IR=30以下でしょう。
「Association between the metabolic score for insulin resistance (METS-IR) and arterial stiffness among health check-up population in Japan: a retrospective cross-sectional study」
「日本の健康診断対象者におけるインスリン抵抗性の代謝スコア(METS-IR)と動脈硬化との関連:後ろ向き横断研究」(原文はここ)
「Association Between METS-IR and Prehypertension or Hypertension Among Normoglycemia Subjects in Japan: A Retrospective Study」
「日本の正常血糖患者におけるMETS-IRと前高血圧症または高血圧症との関連性:遡及研究」(原文はここ)
「Association between the metabolic score for insulin resistance (METS-IR) and estimated glomerular filtration rate (eGFR) among health check-up population in Japan: A retrospective cross-sectional study」
「日本の健康診断受診者におけるインスリン抵抗性の代謝スコア(METS-IR)と推定糸球体濾過率(eGFR)との関連:後ろ向き横断研究」(原文はここ)