アルブミン尿は糖質過剰摂取で増加する その2 インスリン抵抗性

以前の記事「アルブミン尿は糖質過剰摂取で増加する その1」で書いたように、恐らくアルブミン尿の最大の原因は糖質過剰摂取でしょう。

そうであるなら、インスリン抵抗性が高い状態ではアルブミン尿が増加すると考えられます。

実際、インスリン抵抗性の指標とアルブミン尿の関連を見てみましょう。

まずはTyGインデックスとアルブミン尿の関連の研究です。(この論文参照、図はこの論文より)(TyGインデックスについては「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」など参照)9,872人のアメリカ人が含まれ、平均TyGインデックスは8.53でした。

TyGインデックスを4つのグループに分けています。低い方から<8.07、8.07~8.50、8.50~8.96、>8.96です。

TyGレベルの段階的な増加に伴い、尿中アルブミン/クレアチニン比の値は19.34→21.88 →25.75 →72.46 と増加し、アルブミン尿患者の数は7.13%→7.66% →8.27% →16.58%と徐々に増加しました。

TyGインデックスが最も高い群では最も低い群と比較して、アルブミン尿の可能性は1.46倍でした。

TyGインデックスとアルブミン尿の関係は、アルブミン尿の可能性は60歳未満で1.6倍と高く、男性の方が高く、BMIは肥満で1.658倍、糖尿病で1.57倍、メタボリックシンドロームで1.455倍などでした。

他の研究も見てみましょう。TyGインデックスよりもなじみのあるHOMA-IRとの関連を見てみましょう。同じアジア人(台湾)で行われた研究です。(この論文参照、図はこの論文より)年齢56.6歳の正常アルブミン尿2型糖尿病患者738人を登録し、平均5.2年追跡しました。微量アルブミン尿は尿アルブミン/クレアチニン比を使用し、インスリン抵抗性を評価するためにHOMA-IRを使用しました。この研究の悪いところはHOMA-IRの値によって4つのグループに分けていますが、いくつの値で分類しているのかが見つかりません。まあ、そのまま見ていきます。

上の図は横軸が追跡期間で縦軸が正常アルブミン尿の割合です。ベースラインでは100%正常でしたが、HOMA-IRが高い群ほどその割合は低下し、6年後ではHOMA-IRが最も高い2つの群で50%程度になってしまっています。

上の図は左の白いグラフが2型糖尿病の人全体、左の斜線グラフが代謝的に良好な2型糖尿病の人のアルブミン尿リスクです。代謝的に問題なくても、やはりHOMA-IRが高いとリスクは増加します。

次に糖尿病のない韓国人の研究を見てみましょう。(この論文参照、図はこの論文より)ベースラインで糖尿病や慢性腎臓病のない60,047人を分析しました。

上の図は横軸がHOMA-IRの値に従って5つのグループに分けたもので、縦軸はそのそれぞれのグループのHOMA-IR値の平均値(棒グラフ)およびアルブミン尿の発生率(折れ線グラフ)です。HOMA-IRが高い方がアルブミン尿の発生率が高くなっているのがわかります。最も低いグループと比較して最も高いHOMA-IRグループではアルブミン尿の可能性が1.66倍でした。

以前の記事「インスリン抵抗性の代謝スコア その1」で取り上げた、インスリン抵抗性の代謝スコア(METS-IR)との関連の研究でも同様です。(この論文参照)37,290人の中国人の分析をしました。METS-IRは最も低い群から17.75~31.63、31.64~36.03、36.04~41.03、41.04~137.55です。尿中アルブミン/クレアチニン比≧30mg/g の上昇の可能性は最もMETS-IRの高い群で1.26倍でした。

別の研究で高血圧の人にOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を行いました。(この論文参照、図はこの論文より)

aは左が血糖値の推移、右がインスリン分泌の推移です。bは2時間の曲線下面積です。●および黒いバーは微量アルブミン尿の人で、〇と斜線バーが正常アルブミン尿、□と白いバーがコントロールです。微量アルブミン尿の人では血糖値が高く、高インスリン血症になっているのがわかります。

いずれにしても、インスリン抵抗性および高インスリン血症とアルブミン尿が関係するのであれば、まず行うことは糖質制限です。標準的な糖尿病治療ではアルブミン尿を増加させる食事を推奨して、腎臓を傷つけ続けます。腎保護作用のあると考えられている薬を使って、治療している気分にさせてくれますが、根本原因は改善しないままです。

アルブミン尿が出てしまっている人は、まずは糖質制限をしてみてください。次の検査の結果を見れば、自分がこれまで何をやってきたのであろうと思うほどだと思います。

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