糖質制限、ケトン食などはいまだ減量目的のいわゆるダイエット法だと思っている人がいます。また、そうでなくても主に体重減少や代謝的な改善という、身体的な影響にスポットが充てられています。
今回の研究ではケトン食が精神的、心理的にどのような影響があるかを分析しています。2つの集団が募集されました。下の表のように、コホート1はケトン食173人、それ以外の食事87人で、全体の平均年齢はおよそ41歳です。
コホート2はケトン食122人、その他の食事154人で、平均年齢はおよそ43歳でした。それ以外の特徴を下に示します。(図は原文より、表は原文より改変)
コホート 1 | コホート 2 | |||||
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特徴 | コホート全体 (n=260) | ケトン食 (n=173) | その他の食事 (n=87) | コホート全体 (n=276) | ケトン食 (n=122) | その他の食事 (n=154) |
BMI | 27.49 ± 7.08 (16.85-62.75) | 28.22 ± 7.38 (16.85- 62.67) | 26.02 ± 6.23 (17.51-50.39) | 27.05 ± 7.21 (15.78-74.72) | 27.35 ± 5.86 (18.33-49.21) | 26.81 ± 8.14 (15.78-74.72) |
主観的な健康評価 | 2.38 ± 1.06 (1-5) | 2.31 ± 1.10 (1-5) | 2.52 ± 0.98 (1-5) | 3.35 ± 1.09 (1-5) | 3.60 ± 1.10 (1-5) | 3.16 ± 1.05 (1-5) |
男性 | 93 (35.8%) | 58 (22.3 %) | 35 (13.5%) | 45(16.3%) | 24 (8.7%) | 21 (7.6%) |
女性 | 166 (63.8 %) | 115 (44.2%) | 51(19.6%) | 223 (80.8%) | 94 (34.1%) | 129 (46.7%) |
糖尿病 | ||||||
あり | 17 (6.5%) | 14 (5.4%) | 3 (1.2%) | 15 (5.4%) | 12 (4.3%) | 3 (1.1%) |
なし | 243 (93.5%) | 159 (61.2%) | 84 (32.3%) | 260 (94.2%) | 109 (39.5%) | 151 (54.7%) |
高血圧/薬 | ||||||
あり | 29名(11.2%) | 26名(10.0%) | 3 (1.2%) | 36名(13.0%) | 19 (6.9%) | 17 (6.2%) |
なし | 230 (88.5%) | 147 (56.5%) | 83 (31.9%) | 239 (86.6%) | 102 (37.0%) | 137 (49.6%) |
コホート1では知覚ストレススケール (PSS-10)とBond-Laderビジュアルアナログスケール (BL-VAS)を測定し、コホート2ではうつ、不安、感情的ストレススケール (DASS-21)と3項目の孤独度スケールを測定しました。
上の図のようにケトン食(左側の青いグラフ)はBond-Laderビジュアルアナログスケールの3つの要素すべてと正の関連性がありました。 Aは注意力、Bは満足感、Cは落ち着きで、ケトン食では他の食事よりもスコアが良くなりました。
上の図は知覚ストレスのスコアで、ケトン食は有意にスコアを減少させました。
上の図はAがうつ、Bが不安、Cが感情的ストレス、Dが孤独感 です。ケトン食はどのスコアも有意に低くなりました。
ケトン食の期間の長さは注意力、満足感、落ち着きと正の相関があり、知覚ストレスは負の関連がありました。感情的ストレスと不安も負の関連がありました。
つまり、ケトン食を長く続けるほど様々な精神的、感情的に幸福度が向上することになります。
ケトーシス、つまりケトン体値のレベルとの関連はどの項目も関連はありませんでした。
測定 | 項目 | ケトン食の違い |
---|---|---|
Bond Lader ビジュアルアナログスケール | 注意力 | ↑ |
満足感 | ↑ | |
落ち着き | ↑ | |
知覚ストレススケール | ストレス(認知) | ↓ |
うつ病、不安、ストレススケール | うつ | ↓ |
不安 | ↓ | |
ストレス(感情的) | ↓ | |
孤独 | 孤独 | ↓ |
上の表はケトン食による変化のまとめです。ケトン食は他の食事と比べて、落ち着き、満足感、注意力などの気分を改善し、不安やうつ感が少なく、知覚的および感情的ストレスが低くなります。孤独感も少なくなります。
つまり、糖質制限は身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも大きな利益を与える食事だと言えるのです。
精神的、感情的に不安定になる場合、それはもしかしたら食事によるものかもしれません。実際に糖質過剰摂取では血糖値が乱高下し、機能性低血糖なども起こる可能性が高くなります。機能性低血糖では不安になったり、落ち着きがなくなったり、注意力が低下したりします。
気分が落ち込む前に、まずは糖質制限ですね。
「Ketogenic Diet has a positive association with mental and emotional well-being in the general population」
「ケトン食は、一般の人々の精神的および感情的な幸福と正の関連性を持っている」(原文はここ)
以前は、運動継続で感情コントロールを
維持していましたが、
糖質制限も始めてからは、
感情面だけでなく、認知面にも
良い影響を実感しています。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
糖質制限、本当に良いことばかりですね。
やらないのがもったいないです。
清水先生 いつもありがとうございます
私は糖質制限するまでは仕事のストレスで不眠や抜け毛や酷く、笑顔作ることも殆ど無かったのですが、今はよく眠れるようになり抜け毛もなくなり笑顔も増えました。
作り笑いでも意識的に笑顔を作るとひとは幸せホルモンのセレトニンが分泌されて、幸せな気分になるそうです
いのっちさん、コメントありがとうございます。
糖質制限での様々な改善良かったですね。
セロトニンが幸せホルモンであるかどうかは、ちょっと疑っていますが、笑顔は良いですね。