降圧薬は高尿酸血症、痛風のリスクを上げる

コレステロールが高くなればすぐにスタチンなどを処方され、血圧が高くなれば降圧薬を投与されます。血糖値が高くなれば血糖値を下げる薬、尿酸値が高くなれば尿酸を下げる薬の処方が検討されるでしょう。

でも、コレステロールを下げる薬が糖尿病発症のリスクを上げるように、血圧を下げる降圧薬は尿酸値を上げる可能性があります。

今回の研究は、FDA有害事象報告システム(FAERS)のデータベースを使用して、比例報告比(PRR)を計算して、さまざまな降圧薬と高尿酸血症、痛風、および関連する有害事象(AE)の発生との関連性を評価しました。PRR が高いほど関連性が強いことを示しています。

その結果、高尿酸血症、痛風、痛風性関節炎、痛風結節、尿酸腎症に対して陽性シグナルを示した降圧薬の数は、それぞれ46、66、27、8、6でした。これらの薬剤には、利尿薬、中枢作用のある降圧薬、α遮断薬、β遮断薬、αおよびβ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、レニン阻害薬、血管拡張薬、および複合製剤が含まれます。さらに、42種類の降圧薬で複数のAEについて陽性シグナルが得られました。(図は原文より)

上の図は、複数のAEが認められた降圧薬の高尿酸血症、痛風、痛風性関節炎、痛風結節、尿酸腎症のPRRです。利尿薬として最も使われている薬のフロセミド(商品名ラシックス)、カルシウムチャネル遮断薬で最も使われている薬の一つアムロジピンは5つのAEすべてでPRRが高く、陽性シグナルを認めました。4つのAEが認められたのは、トラセミド、ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、メトプロロール、ジルチアゼム、エナラプリルでした。3つのAEはインダパミド、メトラゾン、トリアムテレン、エプレレノン、テラゾシン、ビソプロロール、ネビボロール、カルベジロール、カプトプリル、カンデサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ニトログリセリンの 15 の薬剤でした。

いずれにしても、ほとんどの降圧薬は尿酸値を上げ、高尿酸血症、痛風、痛風性関節炎、痛風結節、尿酸腎症のいずれか、または5つの有害事象のいくつかのリスクを上げる可能性があります。

降圧薬が尿酸値を上げるメカニズムは、α遮断薬はアンジオテンシンIIを上昇させる可能性があり、尿酸の再吸収が促進されて血清尿酸値が上昇すると考えられますし、β遮断薬は腎臓のネフロンの血管収縮を誘発し、糸球体濾過率を低下させて血清尿酸値を上昇させる可能性があります。

これをトレードオフと考えるのか、マッチポンプと考えるのか?いずれにしても、血圧の薬を飲むと尿酸値が高くなり、痛風およびその関連疾患を発症するリスクが高まることを知っているべきでしょう。治療すべき高血圧なのか、食事の間違いによる高血圧ではないのか、よく検討すべきでしょう。そうしないと、また飲む薬が増えます。

「Hyperuricaemia, gout and related adverse events associated with antihypertensive drugs: A real-world analysis using the FDA adverse event reporting system」

「降圧薬に関連する高尿酸血症、痛風および関連有害事象:FDA 有害事象報告システムを使用した実際の分析」(原文はここ

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