タンパク質をたくさん摂るほど慢性腎臓病のリスクが低下する

タンパク質の摂り過ぎは腎臓に悪いと、ずっと言われてきました。まあ、ウソでしょう。

今回の研究では総タンパク質、植物性タンパク質、動物性タンパク質摂取と慢性腎臓病リスクとの相関関係を調べるためにメタアナリシスを行いました。条件に合ったのは6件の研究で、合計148,051人の参加者と8,746人の慢性腎臓病の症例が対象となりました。

その結果は、次のようです。(図は原文より)

一番上の図が総タンパク質と慢性腎臓病のリスク、真ん中が動物性タンパク質と慢性腎臓病のリスク、一番下が動物性タンパク質と慢性腎臓病のリスクです。総タンパク質摂取量、植物性タンパク質摂取量、動物性タンパク質摂取量の増加はすべて慢性腎臓病発症率の低下と相関していました。総タンパク質で0.82倍、植物性で0.77倍、動物性で0.86倍でした。動物性タンパク質のうち魚介類については0.84倍でした。植物性タンパク質については有意に高い異質性を示しました。一応、植物性タンパク質摂取量とリスク比は下の図のようになっています。

問題点は、いつものようにこのメタアナリシス研究のもとになる研究は全て、食事アンケートという非常に質の低いデータを使用していることです。しかし、一般的に医療の世界で、例えば、赤肉や加工肉の高摂取量が慢性腎臓病発症率を有意に増加させるといったような、タンパク質が腎臓に悪いという研究も同様の食事アンケートを用いているでしょうから、条件は同じようなものです。

糖質制限では、当然脂質だけでなくタンパク質摂取量も増加します。しかし、糖尿病性腎症の人のアルブミン尿は糖質制限で激減します。私だけでなくほとんどの人が糖質制限で腎臓が悪くなったりはしていないでしょう。

恐らく、糖質が原因である様々な病気や病態は、糖質以外のもの、タンパク質や脂質、塩分などのせいにされています。

タンパク質摂取量は非常に重要です。特に高齢者は野菜がヘルシーと洗脳されているので、あまり肉を食べません。そして、あまり動かないので、どんどん筋肉は低下してしまいます。

肉をたくさん食べて、糖質を制限して、健康になりましょう。

「Association between dietary protein intake and risk of chronic kidney disease: a systematic review and meta-analysis」

「食事性タンパク質摂取と慢性腎臓病リスクの関連性:システマティックレビューとメタアナリシス」(原文はここ

5 thoughts on “タンパク質をたくさん摂るほど慢性腎臓病のリスクが低下する

  1. YouTubeですが、朝食抜いたら
    昼食後激しい眠気で仕事出来なくなった(昼メニューがウドンなどの炭水化物が主、
    さらに午後は甘いお菓子で眠気対策)。
    健診数値も悪化した、との動画。

    これで朝食抜きが体調不良の原因
    になってました。

    タンパク質摂取と腎臓病悪化の「常識」
    然り、自分で考えて検証することは
    事、健康には大切ですね。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      糖質は有害性は、本当に様々な方法で隠されている気がしますね。

  2. 先生

    こんにちは。ご質問がございます。

    腎臓の一般書籍に、動物性タンパク質に含まれているメチオニンは腎臓に悪いと書いてありましたが、この件についてはどのようにお考えでしょうか?

    よろしくお願い申し上げます。

    1. 岩吉新さん、コメントありがとうございます。

      メチオニンをどれだけの量摂取すると腎臓に有害だと書かれていますか?
      私はメチオニンだけを過剰摂取することはないので、気にしていません。

  3. ご返信ありがとうございます。

    人は腎臓から老いていく

    という本です。

    下記のような文章がありましたが、量の詳細は書いてありませんでした。

    「メチオニンを過剰に摂取すると血管の中に蓄積して悪玉コレステロール(LDL)と結合することで、動脈硬化を引き起こします。カロリー制限の効果を検証した動物実験で、メチオニンの含有量を減らしたエサを与えたネズミのグループはそうではないグループと比べて腎機能が保たれて寿命が延長したと報告されています。」

    「メチオニンは動物性のたんぱく質に含まれているものは腎臓に負担をかけますが、実は大豆などの植物性たんぱく質に含まれている場合、ほとんど吸収されません」

    ネズミの実験ですし、カロリー制限の研究らしいので疑わしく感じております。

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