また変な研究が出てきましたね。またハーバードです。懲りませんね。
今回はバターと植物油の摂取量と死亡率との関連を分析しています。もう、まずはこの論文の結論を言いますね。
「バターの摂取量が多いと死亡率が高くなるのに対し、植物油の摂取量が多いと死亡率が低くなるという結果が出ました。バターを植物油に置き換えると、早期死亡の予防に大きな効果があるかもしれません。」
えー!バターってたくさん摂ると死亡率が高くなるの?大変だ―!ってまた専門家がこの研究を採り上げて、バターよりも植物油を使いましょう、なんてことをネットの記事にしてしまいそうです。
あまり細かいことを見ても仕方がないのですが、まあ色々見てみましょう。お得意の看護師健康調査などのデータを使用し、221,054人の人(ベースライン時の平均年齢:看護師健康調査で56.1歳、看護師健康調査IIで36.1歳、医療専門家追跡調査で56.3歳)を最大33年間追跡調査した結果、50,932人の死亡が記録され、そのうち12,241人ががん、11,240人が心血管疾患によるものでした。そして、バターの摂取量によって4つのグループに分けたり、植物油の摂取量によって4つのグループに分けたりして、死亡リスクを分析しました。
その結果、バターの摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べて全原因死亡リスクが15%高、対照的に、総植物油の摂取量が最も多い人は、最も少ない人と比較して、全原因死亡リスクが16% 低下していました。キャノーラ油、大豆油、オリーブ油の摂取量が多い場合は死亡率が統計的に有意に低く、5g/日増加あたりのリスク比はそれぞれ0.85 、0.94、0.92でした。植物油の摂取量が10g/日増加するごとに、がんによる死亡リスクが11%低下し、心血管疾患による死亡リスクが6%低下しました。
植物油はいいことずくめですね…?
一方、バターの摂取量が多いと、がんによる死亡リスクが12%上昇しました。(図は原文より)
上の図は、バターをさまざまな植物性油に置き換えることによる死亡リスクへの影響を推定したものです。1日あたり10gのバター摂取を同量の植物油で置き換えると、全原因死亡率が17%減少すると推定され、がんによる死亡率も17%減少すると推定されました。
バター悪いことずくめじゃないですか…?
では、この研究のデータはどういったものでしょうか?そうです。毎回のように書いていますが、非常に質の悪い食事アンケートを使用したデータです。参加者は、過去1年間に特定の食品の摂取頻度と量、油脂の種類、調理に使用および食卓で追加した油のブランドまたは種類を報告したデータです。あなたは過去1年間に使用したバターの量、油の種類や量や頻度などを覚えていますか?正確に答える自信がありますか?バターを使う日もあれば、オリーブオイルを使う日もあるでしょう。料理によってその分量も大きく違うでしょう。こんないい加減なデータで得られた、1日のバターの摂取量は、それぞれのグループで4g程度(小さじ1杯ですよ!)の違いしかありません。しかも食事調査は4年ごとしか行われません。
こんないい加減なデータで得られた、1日のバターの摂取量は、上の図のように、それぞれのグループで4g程度の違いしかありません。例えば一番上の集団でのそれぞれのグループのバターの摂取量の中央値は、最も少ないグループで0.1g/日、次のグループで4.8g/日、次のグループで8.8g/日、最も多いグループでも13.1g/日です。調理でバターを使うのであれば、1回に10g程度平気で使いませんか?もっと使うことも珍しくないでしょう。小さじ1杯で約4gですから。場合によっては40~50gくらい摂取することもあるかもしれません。そう考えると最も多いグループの摂取量は少なすぎませんか?(1日にならせばこんなものかもしれませんが)いずれにしても、各グループの差は小さじ1杯程度にすぎません。
バターの総摂取量は、バターとマーガリンの混合物からのバター、食品やパンに追加される塗布可能なバター、調理に使用されるバターの3つのアンケート項目の合計から、消費頻度に1パットあたり5gを掛けて計算しています。バターとマーガリンの混合物もバターと考えていて、マーガリンの有害性は無視しているようです。
植物油(コーン油、ベニバナ油、大豆油、キャノーラ油、オリーブ油)の摂取量は、揚げ物、ソテー、焼き物、サラダドレッシングなどのさまざまな調理方法に使用された報告された油のブランドと脂肪の種類に基づいて推定していますが、本当に正確に推定できますか?
本当にこの手のジャンク研究が多すぎます。それをそのまま伝える専門家たちも多すぎます。
いまだに飽和脂肪酸=悪なのでしょう。また、動物性タンパク質や動物性脂質=悪なのでしょう。植物性が健康的と言い続けなければならない研究者たちは、どんな食事をしているのでしょうか?意外と肉好きだったりして…
「Butter and Plant-Based Oils Intake and Mortality」
「バターと植物油の摂取と死亡率」(原文はここ)
こういうレポートは、何かのCM
と割り切るしか無いのでしょうね。
ただ、特殊詐欺がいまだに年間
何百億円の売上(被害)を誇っている
事を考えると、本気に受け止める
人も多いのでは?
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
詐欺のような研究がいっぱいありますから。