多くの人が飲まされている高血圧の薬。心血管疾患のリスクを低下させるために必要だと考えられていますが、他の疾患リスクが上がってしまっては何のために飲んでいるのかわかりません。
以前の記事「長期の高血圧の薬の使用とがんのリスク」「降圧薬のアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)によるがんのリスク増加」で書いたように、高血圧の薬でがんのリスクが上がります。
今回の研究では、腎臓がんだけにスポットを当てています。腎臓がんの危険因子である高血圧と降圧薬の腎臓がんへの影響を切り離して評価しています。39件の研究のメタアナリシスです。(表は原文より改変)
降圧薬 | 相対リスク(95% CI) | |
---|---|---|
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 | 全体 | 1.29 (1.04–1.62) |
高血圧を考慮 | 1.19 (0.93–1.52) | |
アンジオテンシン受容体拮抗薬 | 全体 | 1.18 (1.04–1.35) |
高血圧を考慮 | 1.15(1.00-1.31) | |
β遮断薬 | 全体 | 1.25 (1.07–1.46) |
高血圧を考慮 | 1.09 (1.03–1.16) | |
カルシウムチャネル遮断薬 | 全体 | 1.44 (1.20–1.72) |
高血圧を考慮 | 1.40 (1.12–1.75) | |
利尿薬 | 全体 | 1.42 (1.31–1.54) |
高血圧を考慮 | 1.36 (1.20–1.55) | |
いずれかの降圧薬 | 全体 | 1.50 (1.22–1.86) |
高血圧を考慮 | 1.40 (1.13–1.75) |
研究全体では、降圧薬を使用しない場合と比較して、アンジオテンシン変換酵素阻害薬で1.29倍、アンジオテンシン受容体拮抗薬で1.18倍、β遮断薬で1.25倍、カルシウムチャネル遮断薬で1.44倍、利尿薬で1.42倍、いずれかの降圧薬で1.5倍でした。カルシウムチャネル遮断薬と利尿薬が腎臓がんのリスクが高いようですが、他の薬でもリスク増加はあります。
では、高血圧を考慮するとどうでしょうか?
アンジオテンシン受容体拮抗薬で1.15倍、BBβ遮断薬1.09倍、カルシウムチャネル遮断薬1.40倍、利尿薬1.36倍、いずれかの降圧薬で1.40倍でした。しかし、アンジオテンシン変換酵素阻害薬だけは有意ではなくなりました。
いずれにしても、高血圧の影響というよりはやはり薬の副作用、有害作用による腎臓がんなのでしょう。
また、分析により、いずれかの降圧薬の使用期間1年ごとに腎臓がん発症リスクが2~6%増加するようです。ほとんどの人がほぼ一生飲まされている薬だけに、本当に薬が必要なのか、十分な検討が必要でしょう。
高血圧も糖質過剰症候群です。血圧が高いと言われたら、すぐに糖質制限をして、薬を回避しましょう。
「Association between antihypertensive medication use and kidney cancer risk: a meta-analysis accounting for hypertension」
「降圧薬の使用と腎臓がんリスクの関連:高血圧を考慮したメタアナリシス」(原文はここ)
降圧剤で腎臓に負担をかけてまで
無理やり血圧の数値を下げる価値
があるのでしょうか?
想定どうりに数値さえ下がれば
あとは野となれ山となれ?