お腹の赤ちゃんを苦しめるのは、母親が食べている食事の質の悪さです。赤ちゃんは母親からしか栄養をもらうことができません。だから、もっと母親はちゃんとした食事の知識を持つべきでしょう。
糖質を摂りすぎることは大人に有害なことはもちろんなのですが、胎児にも大きな影響を及ぼすようです。今回の研究では、母親が食べる食事によって、血糖値が高くなることが、赤ちゃんの心臓の成熟を妨害してしまっているという内容です。
糖質制限に理解のある産科医が全国にどれだけいるかはわかりませんが、すぐにでも、糖質制限を始める意味は大きいのではないでしょうか?
「Glucose inhibits cardiac muscle maturation through nucleotide biosynthesis」
「グルコースはヌクレオチド生合成を通じて心筋の成熟を阻害する」(原文はここ)
要約
心臓は、出生時にグルコースから脂肪酸にエネルギー基質を切り替える。母体の高血糖は先天性心疾患と関連する。しかしながら、血糖が心臓形成にどのように影響するかについてはほとんど知られていない。化学的に定義されたヒト多能性幹細胞由来心筋細胞分化系を用いて、高血糖は、ペントースリン酸経路を介してヌクレオチド生合成を促進することによって、遺伝的、構造的、代謝的、電気生理学的および生体力学的レベルで心筋細胞の成熟を阻害する。胎児の血糖値は、正常妊娠中に子宮内で安定しているが、妊娠後期には胎児心臓組織によるグルコース取り込みが劇的に減少する。妊娠糖尿病のマウスモデルにおいて、胎児心臓は、有糸分裂活性の増加および成熟の減少を伴う心筋症を示した。これらのデータは、高血糖が心臓成熟を抑制し、妊娠糖尿病における先天性心疾患の可能性のある機構的基礎を提供することを示唆している。
この研究によると、心臓細胞の発達が高血糖に曝されると、細胞は通常よりも多くのDNAの材料を生成し、細胞は成熟よりもむしろ増殖(複製)を続けるそうです。妊娠中に高血糖を有する母親から生まれた乳児は、他の乳児よりも心臓の障害を発症する可能性が2〜5倍高いと言われています。
高血糖に曝されると胎児の心臓の細胞は成熟が遅れるか、そのまま成熟できないままかで、いずれにせよ未成熟の細胞が多く生成されてしまうようです。
高血糖はペントースリン酸経路(解糖系のグルコース-6-リン酸から出発して、DNAの材料のヌクレオチドや核酸の合成に必要なリボース-5-リン酸の産生する経路)を過剰に活性化させ、過剰に生成されたDNAの材料が細胞を成熟させなくするようです。
発達の正しい段階で、グルコースを枯渇させることにより、細胞の増殖を制限することができ、細胞を成熟させ、心筋をより強くするということです。
妊娠中であっても糖質制限により、血糖値を安定させることは非常に重要であると考えられます。胎児を高血糖に曝さなければ、先天性心疾患は劇的に少なくできる可能性があります。