糖尿病がなくても、妊娠中の高血糖は赤ちゃんに先天性心疾患のリスク増加をもたらす!

先日の記事「妊娠中の高血糖は赤ちゃんの心臓の成熟を妨害する!」で妊娠中の高血糖が心臓の細胞の成熟を妨げることが先天性心疾患の原因ではないかという記事を書きました。さらに、今回はそれを裏付けるような研究です。

スタンフォード大学医学部の研究によると、糖尿病を発症していない母親でさえ、妊娠初期に血糖が上昇すると、先天性心疾患のリスクが高まります。

血糖の10mg / dL増加ごとに、赤ちゃんの先天性心疾患のリスクは約8%上昇したという結果でした。

糖尿病の女性が先天性心疾患の赤ちゃんを生む危険性に直面していることはこれまでにわかっていました。いくつかの研究では、非糖尿病の母親の血糖値と赤ちゃんの心疾患のリスクとの関連性も示唆されています。先天性心疾患のひとつであるファロー四徴症は妊娠中期の血糖値の上昇と非常に関連があり、7.54倍も起こりやすいという研究があります。

「Maternal Midpregnancy Glucose Levels and Risk of Congenital Heart Disease in Offspring」

「妊娠中期の血糖値と生まれてくる子における先天性心疾患のリスク」(原文はここ

 

しかし、今回の研究では、妊娠初期の胎児心臓が形成されている時期の随時血糖値の上昇がリスクを増加させることを示しています。

心臓の形態形成は、妊娠初期の妊娠週4~10週の間に起こります。

妊娠の途中で経口摂取の糖負荷試験を受けて妊娠糖尿病の有無を判断しますが、この検査は通常、胎児の心臓が形成された後に行われる検査です。ということは、妊娠がわかった時点ですぐに毎日の食後の血糖値を測定することが重要になるかもしれません。

一時的な高血糖は、その後の正常血糖値の間に、血管細胞において持続的なエピジェネティックな変化および遺伝子発現の変化を引き起こす、という研究もあります。胎児の心臓は、短期間に様々な重要で複雑な構造が形成されるので、短時間の血糖値の上昇でさえ、心臓発達を妨げるのに十分である可能性があります。

そう考えると、つわりは非常に重要なメカニズムなのかもしれません。以前の記事「ケトン体は胎児、新生児に必須のものである」で書いたように中枢神経の発達にはケトン体が欠かせませんし、「「成人病の胎児起源」仮説その2 妊娠糖尿病の場合」で書いたように、出生異常の確率は、つわりのある妊婦の子供で30~80%減少し、流産のリスクが50~75%低くなるのです。さらに、今回の研究で推測されることは、つわりが妊娠初期に通常起こるということは、もしかしたら高血糖を回避して、胎児の成長が上手く行くようにするメカニズムなのかもしれません。

つわりの時に、栄養が摂れないからと言って、糖質たっぷりの点滴をすることは、実は胎児にとって有害なことなのかもしれません。

妊娠がわかって慌てて食事を変えるのではなく、普段から糖質制限をして、良質な食事をすることが重要だと思います。子供の頃からの適切な食育が、将来生まれてくる赤ちゃんにとって有益なことだと思います。結婚したら一家に一台、血糖測定器!

 

「First Trimester Plasma Glucose Values in Women without Diabetes are Associated with Risk for Congenital Heart Disease in Offspring」

「糖尿病のない女性の妊娠初期の血糖値は生まれる子の先天性心疾患のリスクと関連している」(原文はここ

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