小林麻央さんが亡くなってから半年だそうです。ブログを書籍化するということのようですが、ビジネスとしては良いのですが、患者さんがこれから生きていくための情報はその中にはあまりありません。「勇気づけられる」方はそれはそれで良いことだと思います。
乳がんは確実に増加しています。(グラフは「がんの統計’14」より)
左のグラフが乳がんの罹患率、右のグラフが乳がんによる死亡率です。罹患率は30歳代後半からものすごい勢いで増加しています。
以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」では、インスリンと乳がんの関連を書きました。今回の研究では、血糖値と乳がんの予後、つまり生存期間や再発までの期間の関連を分析しています。随時血糖なので、完全に絶食にしていない状態での血糖値です。素の血糖値を120mg/dL以上を随時血糖値の上昇群として、120未満を血糖値正常群としています。(図は原文より)
図の上が全生存期間、下が腫瘍の再発までの期間をあらわしています。青い線が正常群、緑が血糖値上昇群です。生存率でみると、6年で血糖値上昇群では0.4程度です。つまり60%近い人が亡くなってしまうということです。10年では0.2程度、つまり80%程度の人が亡くなってしまいます。血糖値正常群では10年後でも0.6程度つまり60%の人は生存しているということになります。非常に大きな違いです。
血糖値が高いということは、インスリンもたくさん出ているということです。ブドウ糖はがんのエサであり、インスリンはがん細胞の増殖を促進します。普段から糖質制限をすることはもちろん、がんを宣言されたらすぐに、ケトン食またはそれに近い糖質制限食に切り替えましょう。
「Pre-diagnosis blood glucose and prognosis in women with breast cancer」
「乳がんの女性の診断前の血糖と予後」(原文はここ)
要約
背景
非糖尿病の人の中で、がんの予後に関するほどほどに上昇した血糖値の影響は十分には説明されていない。この研究の目的は、非糖尿病性乳がん患者の随時血糖値の上昇と全生存期間および腫瘍再発時間との関連を調べることであった。
結果
855.44人年のフォローアップ期間中、対象となった148人の被験者のうち49人が死亡し、32人が再発し、フォローアップの中央値は5.97年であった。随時血糖値が上昇した患者では、随時血糖値が上昇しない患者と比較して、全生存期間が明らかに短くなり(ハザード比(HR)3.01、つまり3倍も短い)、腫瘍再発までの時間も短くなった(HR2.08、つまり2倍も短い)。腫瘍グレード、腫瘍ステージ、人種、およびBMIを調整した後、随時血糖値の上昇はさらに短い全生存期間と関連していた(HR3.50)。
結論
このデータは、血糖値の上昇が乳癌患者の予後を悪くすることと関連することを示唆している。