プラーク内出血によるアテローム性動脈硬化性プラークの進行と破裂 その2

その1」の続きです。

では、プラーク内出血、そしてその出血を起こす血管新生のリスクは、どのようなときに高くなるのでしょうか?

心臓の冠動脈ではないですが、頸動脈のプラークについて調べた研究があります。(ここ参照)ロッテルダム研究というものがあり、その参加者に頸動脈のMRIを受けてもらった1740人を分析しました。平均年齢は72.9歳で、46.0%が女性でした。ベースライン時点で糖尿病と診断された人は251人(14.4%)で、空腹時インスリン値の中央値は74pmol/L、空腹時血糖値の中央値は5.6mmol/L(101mg/dL)でした。

血中インスリン、血糖値、HOMA指数と頸動脈プラークのプラーク内出血(IPH)、脂質コア、石灰化との関連は下の表のようです。(表は原文より改変)

プラーク内出血 脂質コア 石灰化
インスリン
 モデル2 1.38 (1.09–1.74) 0.89 (0.72–1.10) 1.06 (0.80–1.39)
血糖値
 モデル2 0.47 (0.18–1.19) 1.09 (0.48–2.46) 0.90 (0.31–2.58)
HOMA指数
 モデル2 0.37 (0.03–4.51) 1.33 (0.13–13.8) 0.05 (0.01–1.85)

空腹時インスリン値が高いほど、プラーク内出血の可能性は1.38倍高くなりました。空腹時インスリン値で3つのグループに分けたときに、最も低いグループと比較して、最も高いグループのプラーク内出血の可能性は1.32倍でした。

インスリンは血管新生において重要な役割を果たす血管内皮増殖因子(VEGF)を介して血管系に影響を及ぼします。高インスリン血症はVEGFのレベルを上昇させ、その結果、漏出や出血を起こしやすい異常な新生血管を誘発します。ということは、プラーク出血の原因、プラーク出血を起こす血管新生を促進する原因は、糖質過剰摂取であることになります。

プラーク内出血はプラークの進行を起こし、プラークの破裂を起こします。プラーク内出血は、プラークの不安定性、そして心臓突然死や冠動脈攣縮とも関連しています。

その1などでも書いたように、外膜からプラーク に向かう新生血管の破裂が、プラーク内出血を起こすと考えられています。機能不全の新生血管からの赤血球の漏出と、それに続くマクロファージなどの局所的な炎症細胞の蓄積の結果、プラーク内出血を起こし、鉄による酸化ストレスの増加、さらなる炎症を惹起し、結果としてそこにコレステロール「も」溜まります。実験的には、インスリン抵抗性は、マクロファージのCD36タンパク質の発現増加と修飾されたLDLの取り込み増加と関連しています。(ここ参照)

糖尿病では、炎症、血管新生、プラーク内出血の増加が起こります。(ここ参照)糖尿病という病気によって起こるのではなく、糖質過剰摂取による高血糖、高インスリン血症によるものです。高血糖により酸化ストレスが増加し、血管の外膜炎症を起こし、その炎症は新生血管形成とも関連しており、赤血球の血管外漏出、泡沫細胞の形成、脂質コアの拡大につながるのです。冠動脈の外膜炎症は冠動脈攣縮にも非常に大きくかかわっていると考えられています。(ここ参照)不安定狭心症や急性心筋梗塞の患者の破裂したプラークでは、血管の血管周囲に外膜炎症が頻繁に観察されます。

アテローム性動脈硬化のプラークは決して血管の内腔から始まっているわけではありません。LDLコレステロールが高いからプラークが溜まってしまうわけではありません。医療業界がそう思わせたいだけです。

One thought on “プラーク内出血によるアテローム性動脈硬化性プラークの進行と破裂 その2

  1. 書籍『透析を止めた日』より

    透析機器メーカーの品評会の様な会場で営業マンの方が、ドクターに
    「我々は今まで(透析で)儲け過ぎて
    きました、これからは患者様の
    QOLも重視して、、」
    記載があり、やはりQOLより
    利益追求なのだなー
    と(企業としては当然の)現実が
    垣間見えてしまいました。

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