低脂肪 対 低炭水化物の戦いはドロー でも、条件が悪すぎる!

JAMAに低脂肪の食事と低炭水化物の食事でどっちが体重減少に効果があるかという研究が発表されました。結果はドローでした。

 

しかし、この研究、低炭水化物の条件が悪すぎます。まずは下の図を見てください。(図はこのサイトより)

 

研究の最初の2ヶ月間、低脂肪群は、1日あたり20gの脂肪のみを、低炭水化物群は1日に20gの炭水化物のみを摂取するよう指示されたのですが、この2ヶ月の終わりに、脂肪や炭水化物の摂取量を自分で続けることが可能な最低の摂取量の水準に達すると感じるまで戻し始めたのです。どちらの群も開始時の非常に低い摂取量を維持することはできませんでした。3か月目までには、1日に低脂肪群は平均42g /日の脂肪を摂取、低炭水化物群は平均96.6gの炭水化物を摂取していました。その後もじわじわと摂取量は多くなり、12か月では低脂肪群で脂肪摂取量は50gを超え、低炭水化物群では130gを超えてしまいました。

さらに、どちらの群にもカロリー摂取量の目標は与えられていないのですが、両方の群には次のようなアドバイスが与えられました。野菜の摂取を最大限にする、砂糖、精製された小麦粉やトランス脂肪酸の摂取を最小限にする。つまり、可能な限り最小限に加工され、栄養価が高く、家庭で準備された自然な食品を摂取するように指示されていたのです。

上のグラフでもわかるように、追加の砂糖は低脂肪群でも20g程度減少していますし、炭水化物も30g程度減少しています。さらに、1日の摂取エネルギーは3か月目で1500kcal、その後でも2000kcalを大きく下回っていて、明らかにエネルギー不足です。

低炭水化物群での炭水化物摂取量も130gを超えているということは、もう低炭水化物とは呼べない状態ですし、だんだんお互いの群の食事が近づいてしまっています。

PFCバランスでは低脂肪群がタンパク質21%:脂肪29%:炭水化物48%であり、低炭水化物群ではタンパク質23%、脂肪45%、炭水化物30%となっています。全然低炭水化物ではないですね。

血液データで大きな違いが出たのは、LDLコレステロール値が低脂肪群で2.12mg/dL低下したのに対し、低炭水化物群では3.62mg/dL増加しました。しかし、 HDLコレステロール値は低脂肪群では0.40mg/dLの増加にとどまったものが、低炭水化物群では2.64mg/dL増加しました。さらに、中性脂肪値は低脂肪群で9.95mg/dL低下しただけだったのに対し、低炭水化物群では28.20mg/dLと大幅に低下しました。これを見るとやはり、少しでも糖質摂取量は減らすべきだと思ってしまいます。

いずれにしても、このような条件が非常に悪い状態での比較をしても、あまり意味のある研究ではありません。低脂肪擁護派が懸命になって、しかも糖質制限はもう無視できないので、引き分けを選んだのかもしれません。

 

「Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion」

「過体重の成人と遺伝子型パターンまたはインスリン分泌との関連における12ヶ月の体重減少に対する低脂肪対低炭水化物食の効果」(原文はここ)

要約

重要 食生活の改善は、体重減少の成功の鍵を握る。しかし、一般の人々にとって、他の食事戦略よりもずっと優れた食事戦略はありません。以前の研究は、遺伝子型またはインスリン – グルコース動態が食事の影響を修正する可能性があることを示唆しています。

目的 健康的な低脂肪食(HLF)と健康的な低炭水化物食(HLC)が体重変化に及ぼす影響、および遺伝子型パターンまたはインスリン分泌が減量に関する食事効果に関連するかどうかを判断する。

介入 健康に対する指導者は、12ヶ月間にわたって行われた22の食事に特化した小グループセッションを通じて、HLF(305人)およびHLC(304人)参加者に行動修正介入を行った。セッションでは、長期的に維持され、食事の質を重視することができる最も低い脂肪または炭水化物摂取量を達成する方法に焦点を当てた。

結果 参加者な609人で、平均年齢40歳、57%が女性、平均BMIは33、244人[40%]が低脂肪遺伝子型、180 [30%]、低炭水化物遺伝子型を示し、481人(79%)がトライアルを完了した。HLF対HLC食では、平均12ヶ月間の多量栄養素の分布は、炭水化物が48%対30%、脂肪が29%対45%、タンパク質が21%対23%であった。HLF食では、12ヶ月の体重変化が-5.3kgであったのに対し、HLC食では-6.0kgであった。有意な食事 – 遺伝子型パターン相互作用または食事 – インスリン分泌(INS-30)相互作用はなかった。2つの食事群に均等に分布する18の有害事象または重篤な有害事象があった。

結論と妥当性 この12ヶ月の体重減少食事試験では、健康な低脂肪食と健康な低炭水化物食の間で体重変化に有意差はなく、遺伝子型パターンもベースラインのインスリン分泌も、体重減少に対する食事効果と関連していなかった。これらの2つの一般的な減量食アプローチでは、2つの仮説を立てた因子のどちらも、どちらの方がより良い食事であるかを特定するのには役に立たなかった。

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