以前の記事「空腹時インスリンを測定していますか?」で書いたように、心血管疾患のリスクとインスリン抵抗性は大きく関係していると思います。
動物実験ではなく、人間の細胞を使った研究ではありますが、インスリンがマクロファージが酸化LDLコレステロールをより取り込みやすくし、泡沫細胞を形成することを促進しているという結果が報告されています。
マクロファージによる過剰な脂質の蓄積は、アテローム性動脈硬化症において非常に大きな役割を果たすと考えられています。恐らくは、マクロファージが酸化LDLを取込み、それがHDLによるコレステロールの引き抜きを得られず、泡沫細胞となり、それが蓄積してアテロームとなると思われます。
マクロファージにはスカベンジャー受容体というものがあり、その中で泡沫化にとって重要な役割を持つと考えられているものの中に、SR-AとCD36というものがあります。SR-Aは炎症抑制性に働き,CD36は炎症促進性に働くと考えられています。インスリンはこのどちらのスカベンジャー受容体にも影響し、SR-Aは減少し、CD36は約2倍に増加しました。インスリンにより酸化LDLの取込みは80%増加し、HDLによるコレステロールの引き抜きは25%減少し、16時間にわたって2~3倍ものコレステロールの蓄積が起こったそうです。
通常でも酸化LDLは多少存在するでしょう。それがHDLにより適切に処理されれば、アテロームが増加することはありません。しかし、そのバランスが崩れ、酸化LDLが増加し、さらにマクロファージによるその取込みも増加し、HDLの引き抜きも低下すれば、段々とアテローム性動脈硬化が進行すると考えられます。
糖尿病でアテローム性動脈硬化が増加し、心血管疾患のリスクが増加することは、インスリン抵抗性が大きく関係していると思います。そのメカニズムの一つが今回のようなインスリンの働きではないでしょうか?
糖質過剰摂取→食後高血糖→酸化ストレスの増加→酸化LDLの増加、というのと
高血糖→高インスリン血症→マクロファージの酸化LDL取込み増加、HDL引き抜き減少→泡沫細胞の形成促進→アテローム性動脈硬化症の進行
というのが考えられます。つまり大切なことはインスリンをできる限り少なくすることと、酸化LDLを減少させることだと考えられます。やっぱり糖質制限ですね。
「Insulin promotes macrophage foam cell formation: potential implications in diabetes-related atherosclerosis」
「インスリンはマクロファージ泡沫細胞形成を促進する:糖尿病関連アテローム性動脈硬化症」(原文はここ)
はじめまして
いつも拝見させてもらっています
明日のNHKのガッテンは番宣動画では伏せ字になってますが明らかにインスリンのことをやるようです
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180523/index.html
貧乏知識さん、コメントありがとうございます
情報ありがとうございます。時間があればチェックしたいと思います。