2型糖尿病も早期に診断されるほど死亡率が高くなる?

以前は中年から高齢者の病気と思われていた2型糖尿病は、現在では子供まで発症する時代になってしまいました。日本の研究では、1976年から1997年までの20年間で6~12歳の子供では10倍、青年では2倍の増加を示し、オーストラリアでは、10~39歳で2型糖尿病と新規に診断された人は、2011年に全体の約9%を占めていたそうです。

以前の記事「1型糖尿病は早く診断されるほど人生が短くなる?」では、1型糖尿病の若年時の診断は、青年になってからの診断と比較して平均余命が短くなることを示し、診断後の治療や食事への疑問を書きました。

では2型糖尿病では早く診断されるとどうなんでしょう?(図は原文より)

 

上の図はちょっとわかりにくいですが、5年間または10年間の診断の差がどれほど影響があるかの図です(a、c、e、gが5年間、b、d、f、hが10年間)。例えば、5年間であれば、45歳で糖尿病と診断された人に対して5年早く40歳で診断された人の死亡率の割合を示しています。10年間であれば50歳で糖尿病と診断された人に対して10年早く40歳で診断された人の死亡率の割合を示しています。

そうすると、5年であっても10年であっても早く診断された人の方が全原因死亡、心血管疾患での死亡、それ(心血管疾患、がん)以外の死亡でその死亡率が高くなっていました。しかし、がんだけは2型糖尿病と早く診断された人の方が死亡率が低くなっていました。

10年早い診断はつまり10年間長く糖尿病になっている期間が長いことを意味し、全死因死亡率の1.2~1.3倍の増加、心血管疾患の死亡率は約1.6倍の増加したリスクと関連していました。

がんについてはもしかしたら、糖尿病になったことで頻繁に病院に行き、がんの早期発見ができて、死亡率が低下した可能性が考えられます。

他の研究では、診断された糖尿病の期間が長いほど、がんの有病率が高く、2型糖尿病と診断されて15年以上の人は15年未満の人よりも男性で1.6倍、女性で1.8倍がんの有病率が高くなるという報告もあります。さらにインスリンを使っている人では使っていない人と比較すると1.3倍がんの有病率が高くなっていました。(その研究はここ

病気は早期診断早期治療が基本だと言われていますが、早期診断しても治療法が良くなければその後の予後は期待できません。糖尿病の栄養療法はカロリー制限という糖質過剰摂取の食事がメインです。そのような食事では死亡率が高くなるのも不思議ではありません。

糖質制限をして長く生きましょう。(ただし、糖質制限が長生きというエビデンスはありません。)

 

「Impact of age at diagnosis and duration of type 2 diabetes on mortality in Australia 1997-2011」

「1997-2011のオーストラリアにおける診断時の年齢と第2型糖尿病の期間が死亡率に及ぼす影響」(原文はここ

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