2018年10月の血液の検査のデータを提供したいと思います。江部先生が公開されていたのに触発されたわけではありませんが、たまたままた重なってしまいました。(江部先生のデータはこちら)
前回の検査「2018年3月の検査データ」で甲状腺の機能の中で、TSHが低値でした。今回はどうでしょうか?
TSH:1.260μIU/ml(0.500~5.000)
F-T4:1.41ng/dL(0.9~1.7)
F-T3:2.29pg/mL(2.3~4.0)
TSHは基準値になったのですが、T3がギリギリ基準値以下です。まあ全く問題ないですが。
お腹いっぱい毎日食べていますが、まだまだ摂取エネルギー不足でなのでしょうか?体重は変わりませんが。このままで様子を見てみます。
空腹時血糖値:89mg/dL(110未満)
空腹時インスリン値:2.6μU/mL(2.2~12.4)
HbA1c:5.1% (6.2未満)
GA(グリコアルブミン):13.8%(11.6~16.4)
血糖値も空腹時インスリン値も抜群の結果です。HbA1cもGAも良い値です。
インスリン抵抗性 HOMA-IR:0.57(1.6以下)と非常にインスリン抵抗性が低いですね。
総ケトン体:314μM/L(131以下)
血中βヒドロキシ酪酸:286μM/L(85以下)
アセト酢酸:28μM/L(55以下)
ケトン体は検査上の正常値(基準値)を大きく上回っています。私としては、理想は総ケトン体で500以上にしたいのですが、私は上がりにくい方だと思います。
尿酸:6.0mg/dl(3.6~7.0)
中性脂肪:32mg/dL(50~149)
総コレステロール:353mg/dL(150~219)
HDLコレステロール:103mg/dL(40~80)
LDLコレステロール:226mg/dL(70~139)
3月よりさらにLDLコレステロールも総コレステロールも増加しています。スタチン医者なら騒ぎそうな値です。「家族性高コレステロール血症」さえ疑われそうです。これまでの様々な記事で書いてきたように、LDLはあまり意味がなく、糖質制限をしている場合は高くなることもあります。そして持久系の運動もしているので余計に高くなりやすいのでしょう。しかし、このLDLは質の良いLDLと考えられますので、私は問題ないと思っています。(「糖質制限とLDLコレステロール上昇 その7 運動による上昇①」「糖質制限とLDLコレステロール上昇 その8 運動による上昇②」など参照)
最近発表された若い健康な成人での研究では、1日20g以下の炭水化物摂取量の糖質制限をすると、3週間後にはコントロールと比較してLDLコレステロールが44%増加し、増加の範囲は5〜107%と非常に広い範囲になっているという結果になりました。つまり、糖質制限でLDLコレステロール値が上昇することは、はじめの頃は当たり前のことである可能性があります。長期的には下がる人、上がる人様々でしょう。
さらにHDLコレステロールは増加し、中性脂肪は低下しています。良い傾向です。
中性脂肪/HDL比:0.31 と抜群に良い結果です。
レムナント様(RLP)コレステロール:2.5mg/dL(7.5以下) とレムナントも非常に少ない状態です。
クレアチニン:0.75mg/dL(0.65~1.09)
eGFR:86mL/min
BUN:22.6mg/dl(8.0~20.0)
シスタチンC:0.73mg/dL(0.58~0.87)
BUNが若干高いですが、タンパク質をいっぱい食べていることによるものだと思います。病的意味はありません。eGFRは前回より良い数値です。まあそんなに厳密な数値ではありませんが、今回はシスタチンCも測定しました。
シスタチンCでGFRを計算すると eGFR:108.8mL/min でした。十分な値です。
GOT:14U/L(10~40)
GPT:15U/L(5~45)
γGTP:16U/L(79以下)
総蛋白:7.7g/dL(6.5~8.2)
アルブミン:4.8g/dL(3.7~5.5)
血色素量(Hb):14.7g/dL(13.6~18.3)
白血球数:4420/μL(3500~9700)
赤血球数:477万/μL(438~577)
全て、問題ありません。肝機能良好です。貧血もありません。
ナトリウム:141mEq/L(135~145)
カリウム:3.8mEq/L(3.5~5.0)
カルシウム:9.0mg/dL(8.6~10.2)
全て正常です。理想的な電解質です。
いつも書いていますが、実際には糖質制限をしている場合の血液検査の基準値は不明です。食事が変われば体も変わりますので、これまでの糖質過剰摂取をしている人から得られた基準値がそのまま当てはまるかどうかはわかりません。
「Effect of low carbohydrate high fat diet on ldl cholesterol and gene expression in normal-weight, young adults: A randomized controlled study」
「正常体重の若年成人における低炭水化物高脂肪食がLDLコレステロールに及ぼす影響と遺伝子発現:無作為化比較試験」(原文はここ)
先生は相変わらず素晴らしい数値で喜ばしいことですね。
私は先生方の情報をいただきながらスーパー糖質制限1年を経過しました。
で、私もこの10月に毎年の健康診断を受けたのですが、前回は糖質制限開始前でした。
その数値と比べても(直近4ヶ月前との比較はもちろん)中性脂肪が5割増しの127でした。
あと尿酸値が9.8、LDLコレステロールが288とやはりさらに大盛になってます(笑)
ほか、先生に触発されて半年ほど前から月150-200kmのランニングを始めました。
原因として思い当たるのは今回の検査前1,2ヶ月間に意図的に脂質摂取量を増やしていました。
また、ここ2,3ヶ月間は週に1回程度、特に肉類の大食いをすることがありました。
ただしこの間も体重・体脂肪率は漸減状態です(過去3ヶ月間で1kg減程度)。
さらに、ここ数ヶ月声がれと立ちくらみが頻繁に自覚されるようになっていて、これは先生の記事を参考に、現在ナトリウム不足を疑っていてぬちまーす摂取を心がけているところです。
何か間違っている、見落としていることがあるのでしょうか。もしよろしければアドバイス頂けますと幸いです。お忙しいところ申し訳ありません。
ねけさん、コメントありがとうございます。
んー、これだけでは難しいですね。全てのことがそれぞれ違う原因かも知れません。
糖質制限をして1年経過して、糖質制限前よりも中性脂肪値が上がることは非常に珍しいと思います。
しかも、ランナーですしね。
スーパー糖質制限がちゃんとできていること、採血が12時間以上の絶食後であることを前提で、
全てのことが1つの原因で起きていると考えると、甲状腺機能低下症だと考えます。
(糖質制限による低T3とは違います)
ずっと続く声がれは声帯に問題があるか、声帯につながる神経に問題があるかどちらかの可能性が高く、
耳鼻科で声帯の問題が無く、食道がんも否定的ということなので、神経の可能性が高くなると思います。
(その点は耳鼻科でお聞きになったと思いますが)
声の神経に問題が起きるのは甲状腺か大動脈疾患が多いと思います。
コレステロール、中性脂肪、尿酸高値であることや立ちくらみまで説明する疾患は
甲状腺機能低下が最も疑わしいですね。
(でも耳鼻科で甲状腺について何も言われなかったのであれば、甲状腺も違う可能性もありますが)
詳しい情報がないことや診察していないので何とも言えませんが。
一度精査が必要かもしれません。私に言えるのはこれくらいです。
うわー、こんなに詳しく、しかも素早ご回答誠に痛み入ります。
とりあえず思いつく対処をしつつ、しばしの後にまた血液検査をしてもらおうと思います。
お近くだったら先生に診てもらえるのにと思うと残念です。
本当にありがとうございます。
ということで、早速血液再検査に行って参りました。
先生のご指摘通り、FT3・FT4とも若干規定値を下回り、TSHが6.10で糖質制限による疑似低FT3症候群ではなく単純に甲状腺機能低下症のようです。まぎらわしい(笑)
ほか一ヶ月前の検査と比較して
空腹時血糖 61(-2)
中性脂肪 70(-55)
尿酸 8.8(-1.0)
HDL-C 97.2(+16.2)
LDL-C 240(-10)
といったところで、あと目につくところはGOTが48、CPK 494、CRP 0.34とこの辺はたぶんランニングによる疲労の結果ではないかと考えています。
とりあえず改善点として海藻の摂り過ぎと塩分不足に注意していくつもりです。
おそらく最近の体調不良はここに原因があると思います。ありがとうございました。
ねけさん、コメントありがとうございます。
原因がわかってなによりです。恐らく、GOT 48、CPK 494、CRP 0.34も甲状腺機能低下症によるものでしょう。
市民ランナーのランニングで、非常に長距離やレース後でなければCPKが500近くなることはあまり考えられないと思います。
血中ケトン体は4320.6というのは、ケトン食レベルですね。がんの治療ではないのでそこまでケトン体を上げる必要はないと思います。
これだけケトン体が高いと尿にも出てしまうでしょう。
あと、これはオマケですが血中ケトン体は4320.6でした。うっかり分画を指定しなかったので総ケトン体しか測定してもらえなかったようです。
スーパー開始一年経過してますが、未だに尿ケトンも計測され続けています。無駄にケトン体垂れ流してるんでしょうか(笑)