健康に良い脂肪酸として、オメガ3多価不飽和脂肪酸が良く知られています。魚などに多く含まれていますが、中にはサプリメントで摂っている人もいるかもしれません。
今回の研究ではそのオメガ3サプリの品質ついて評価したものです。日本のサプリではなく、ニュージーランドで販売されているものです。(図は原文より)
上の図はラベルに示されているオメガ3の量と実際の量の割合を示しています。実際の量がしっかりとラベル通りまたはラベル表示以上のサプリは、32種類中なんと3つだけでした。多くの製品は67%未満しか入っていませんでした。ひどいものだと30%程度のものまであります。
オメガ3は非常に酸化しやすいものです。その酸化の程度は全てわかるわけではありませんが、いくつかの項目で測定可能です。
酸化のマーカーは国際的なガイドラインと比較されました。過酸化物値(
peroxide value :PV)、アニシジン値(anisidine value:AV)、総酸化値(the total oxidation value:Totox)の推奨値がそれぞれ<5、<20、<26 meq/lだそうです。上の図はそれぞれの酸化マーカーで、点線が国際的なガイドラインの推奨値です。
そうすると、83%の製品が推奨PV値を超え、25%が推奨AV値を超え、50%が推奨Totox値を超えました。国際的な推奨値を満たしたのは3種類(8%)だけです。
上の図は、表示されたオメガ3の含有量から実際の含有量を差し引いた量(横軸)つまり不足しているオメガ3量とAVおよびTotoxの関連を示しています。そうすると、不足しているオメガ3が多いほど酸化マーカーが高いことがわかります。
サプリの原産国による推奨小売価格については、ニュージーランドやオーストラリアの製品は非常に安く、それ以外の国のサプリは推奨小売価格が高価でした。しかし、他の国のサプリは高価であっても品質の良いサプリという訳ではありませんでした。
サプリメントの成分などの含有量などの審査については、私は詳しくありませんが、通常の医療用の薬剤と違い、非常に簡略化されていて、書類だけではないかと思います。つまり製造元の企業が自分たちで成分を分析して、それを提出すれば良いのではないかと思います。
実際に消費者はサプリメントの中身については確認しようがありません。表示を信じるしかありません。しかし、今回の研究のようにオメガ3だけでなく、多くのサプリメントは本当に有効な成分が表示通りに入っているかは、非常に怪しいのではないかと思われます。
しかも、今回のオメガ3サプリでは、酸化した脂質が大量に含まれている可能性すらあるのです。サプリ中の酸化脂質がどれほど健康に悪いかはよくわかっていませんが、少なくとも酸化していないオメガ3のような有益な効果は無いでしょう。他のサプリでも有害な物質が含まれている可能性は十分にあります。
もちろん、魚そのものを食べることでも、水銀などの問題もあるので、一概にどちらが良いかははっきりしたことを言うことは難しいでしょう。
しかし、少なくとも最近発表された研究では、サプリメントは健康をもたらさない、と結論しています。(その原文はここ)
私は必要な栄養素は食事から得ることが最も重要だと考えています。
「Fish oil supplements in New Zealand are highly oxidised and do not meet label content of n-3 PUFA」
「ニュージーランドの魚油サプリメントは高度に酸化されており、オメガ3多価不飽和脂肪酸のラベル含有量を満たしていません」(原文はここ)