糖尿病合併症復活!

アメリカでは、1990年~2010年頃まで、それまでに糖尿病の合併症としての急性心筋梗塞、脳卒中、下肢の切断、高血糖による死亡など順調に低下していたように見えます。しかし、その後はどうでしょうか?(図は原文より)

上の図は凡例の左から順に急性心筋梗塞、脳卒中、下肢切断、高血糖、末期の腎疾患です。最も糖尿病人口の多い45歳~64歳のグラフ(中央)が示すように、確かに2009年~2010年ころまでは順調に合併症は低下しています。しかしその後5年間は逆転し、腎疾患以外では増加に転じています。そのことはさらに若い世代である、44歳以下のグループにも認められます。

危険な高血糖で救急外来受診をした人は2009年と2015年では約2倍に増加しています。さらに、高血糖での入院は73%増加し、そして死亡は55%増加しました。

下肢切断は最近のたった5年間で、過去20年間で減少した割合の3分の1以上を取り戻してしまっています。中年世代や、若い世代では、危険な高血糖、急性心筋梗塞、脳卒中、および下肢切断のリスクはそれぞれわずか5年間で25%以上増加しました。

65歳以上の高齢の世代ではほぼ最近の合併症の増減は横ばいになっています。しかし、64歳以下の世代での合併症の復活は非常に危険の状態です。

この原因について、たった一つに原因を絞ることは難しいでしょう。

しかし、これは簡単に言ってしまえば糖尿病治療の「失敗」です。糖尿病の治療の目標は本来であれば、空腹時血糖の低下、HbA1cの低下ではありません。糖尿病に伴う合併症が起きないことの方が重要なはずです。しかし、糖尿病の診療でHbA1cの低下が大きな治療効果の判断の尺度になってしまっています。HbA1cはあまりにもおおざっぱな検査です。HbA1cも空腹時血糖も血糖値スパイクを反映していません。この血糖値スパイクが非常に大きな有害性を持っていることは明らかなはずです。

日本糖尿病学会をはじめ、世界の糖尿病学会は自分たちの治療の「敗北」「失敗」を素直に認めなければなりません。

糖質を大量に摂取させ、食後の高血糖を起こさせ、それを薬で低下させる、という現在の治療では上手く行くとは思えません。

糖質制限を行えば、食後高血糖は防げます。本来は高血糖を防ぐのに、薬なんて必要ありません。

「Resurgence in Diabetes-Related Complications」

「糖尿病関連合併症の復活」(原文はここ

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