精神保健指定医の資格不正取得でなんと89人もの処分が行われました。この精神保健指定医というのは次のようなものを言います。
精神保健指定医とは…NHK News web より抜粋
精神障害のある患者が他人を傷つけるおそれがある場合などに強制的な入院が必要かどうかを判断する専門の医師の資格です。強制的な入院には人権に配慮した専門的な判断が求められるため、都道府県などが、患者本人や家族の同意なしに入院させる「措置入院」の際は2人、患者本人の同意を得ずに家族などの同意だけで入院させる「医療保護入院」では、少なくとも1人の指定医が「必要だ」と診断することが要件となっています。
資格を取得するには、3年以上の精神科での実務経験に加え、統合失調症や、児童・思春期の精神障害、それに認知症など、8種類の症例について診療を行ったうえでレポートを国に提出し、国の審査を経て厚生労働大臣が指定します。厚生労働省によりますと、精神保健指定医の数は精神障害のある人の増加を背景に年々増え、ことし4月の時点で全国で1万4707人に上っています。強制的な入院の件数も増え続け、医療機関からの届け出は、平成26年度の措置入院と医療保護入院で合わせて17万件を超えました。
指定医が必要と認めれば、本人や家族の同意なしに入院させることができるというすごい資格です。憲法が定めた基本的人権を無視できるわけです。つまり、使い方によっては憲法を超えた資格となるわけですし、警察よりも拘束する実行力が強いことも考えられます。令状がいりませんから。
そう考えると、「ちょっと不正してるけど、ばれへんかったらええんちゃう!」とお気楽に取得するものではないと思います。
なぜか関西弁ですが…それは今回かなり関西方面の医師も多く、特に京都府立医大の精神科の教授まで含まれてるようなので。
普通の専門医とはちょっと資格のレベルが違います。そこに与えられている権限の強さを考えたら、もっと資格審査を難しくすべきです。現在ではたった8人の患者のレポートで資格が取れるのです。たった8人ですよ!専門医で8人でいい科ってありますかね?しかもいろいろな症例があるので、1種類の疾患に関しては1例ずつでしょ?1例でもう人権無視の入院をさせられるなんておかしいですよ。さらに懸念されるのはこの資格のためのレポートを作るために、ひょっとしたら入院の必要のない人を措置入院や医療保護入院させているのではないかということです。年々精神障害のある人が増えているというのも本当かと思います。増えているのではなく、増やしているのではという疑念も湧いてしまいます。現在1万4707人ですよね。入院は17万件。単純に一人当たり12人以下ですよ。年間で見たら大した人数ではないです。そうしたらもっと少なくていいのではないでしょうか?こんな特別な力を持つ資格ですから。そして、年に何度か抜き打ちで精神保健指定医の行った「措置入院」や「医療保護入院」が適切であったかどうかの監査が必要だと思います。
今回不正が見つかったのは3000人ちょっと調べて、100人弱不正があったのですから。1万4000人全部調べたら、400~500人程度は不正取得であると考えられます。精神科だけに闇が深いのでしょうか?
精神指定医、指導医の署名偽造…症例リポートで
読売新聞より 10/30(日) 10:49配信
精神障害者の強制入院などを判断する精神保健指定医の資格不正取得問題で、資格取り消し処分を受けた医師が、指導役の指定医(指導医)の署名を偽造したり、ほかの医師が受け持つ患者の主治医を装って症例リポートを作成したりしていたことがわかった。
厚生労働省は、こうした悪質な不正の手口を問題視しており、資格の審査を厳格化するなどの見直しを検討する。
処分されたのは、資格を不正取得した医師49人と、その指導医40人。同省関係者によると、このうち1人は、申請の際に提出した患者の症例リポートについて、指導医の署名欄に勝手に名前を書き込んでいたことが判明した。同省の調査に対し、指導医が「サインしていない」と関与を否定したため、医師に問いただしたところ、「指導医の筆跡をまねして書いた」と偽造を認めたという。
サインを偽造したなんて、これは国に提出する文書なので公文書偽造で、立派な犯罪ですよね。不正なんていうかわいらしいものではないです。
精神保健指定医の資格不正取得か 89人の処分審査開始
朝日新聞より 2016年10月26日10時18分
重い精神疾患の患者を強制的に入院させるかどうかを判断できる「精神保健指定医」の資格取得に不正の疑いがあるとして、厚生労働省は26日、医師89人の資格取り消し・停止の行政処分の審査を始めた。過去最多の処分となる見通しで、精神医療への信頼性が大きく損なわれるほか、患者や地域の精神医療への影響が懸念される。
厚労省によると、行政処分の審議対象は、指定医の資格を不正に取得した疑いがある医師49人と、その上司にあたる指導医40人。89人が所属していた医療機関は都道府県単位で12自治体にわたる。このほか、資格の取得を新規申請中の医師5人にも不正の疑いがあるという。
指定医の資格を得るには、医師として5年以上、精神障害の3年以上の診療経験があり、重い統合失調症や中毒性精神障害など8件以上の症例報告を出す必要がある。しかし、不正取得の疑いがある医師は、自分で診断・治療に十分関与していない患者の症例報告を出すなどし、指導医は十分確認せずに証明を示す署名をしていたという。
聖マリアンナ医大病院(川崎市)で昨年、不正取得が発覚し、23人が資格を取り消された問題を受け、厚労省はほかにも不正取得がないか全国調査に着手。2009年1月から15年7月までに資格取得を申請した3374人が出した3万件を超える症例報告をデータベース化し、同じ期間に同じ症例を複数の医師が申請していないかを調べ、8月に98人から弁明を聞く「聴聞」を実施していた。うち9人は不正が認められなかったり、自ら資格を返上したりしたという。