リリカで自殺行動リスクが上昇

リリカは様々な副作用を示します。眠気やふらつきなどは良く起こり、体重増加や浮腫もあります。以前の記事「もしかしたら、我々医師が高齢者ドライバーの事故に加担している可能性がある」で書いたように、リリカの副作用で交通事故を起こす可能性も十分にあります。

今回の報告は深刻です。リスク増加は大きくはないのですが、それが自殺行動となるとそのまま静観しているわけにはいきません。(図は原文より)

上の図の上から順に自殺行動、意図的でない過剰摂取、頭部および体幹のケガ、交通事故及び違反、および暴力犯罪での逮捕です。全てのガバペンチノイド、リリカ、ガバペンの順に並んでします。「Pregabalin」がリリカです。リリカだけに注目すると、どの有害な問題も有意にリスクの増加が認められています。暴力犯罪は大したことがないのですが、それ以外では25%前後のリスク増加です。

上の図はリリカを含むすべてのガバペンチノイドという薬の年齢別の有害作用のリスク比です。大きな傾向として、若い人ほどこれらの有害な問題が多くなっており、年齢が進むにつれて減少していることです。55歳未満の人で自殺行動の危険性が高まり、最も高い危険性は15〜24歳の年齢層で67%増加です。他の項目も若い世代が高くなっています。

リリカは脳に作用します。脳の何かを変えるのでしょう。しかし、医師によっては通常の鎮痛薬があまり効果がない場合、簡単にリリカを処方します。若い人であっても、高齢者でも。

ただ、このような危険性の報告があった以上、若い世代には原則処方禁止にするか、十分に家族を交えて説明するべきでしょう。それでもこの薬を使わなければならないのであれば、それは仕方がないことです。でも、本当にそんな病態が通常存在するでしょうか?ごく一部でしょう。

「神経障害性疼痛」という便利な病気を作り出し、深刻な副作用を考えずに処方され、大量に使われてしまっています。腰痛だろうと坐骨神経痛だろうとその原因は「神経障害性疼痛」だ!と医師が判断すればリリカは適応となるのです。

しかし、「帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛、糖尿病性神経痛、線維筋痛症」以外では臨床試験は行われておりません。上の4つの病気でさえ結果は非常に微妙な効果であるのに、臨床試験を行っていない病気を、「神経障害性疼痛」という実態のよくわからない、もしかしたら存在すらしない、病気として病名を付け、適応のない人にまで使われているのが実態です。

そのような使われ方をして、自殺行動が起きてしまった場合は悲惨です。厚労省もリリカを規制すべきです。処方する側の医師も必ず説明すべきでしょう。

以前、適応外でリリカが処方されている人に、「この薬は一生飲んでも大丈夫と言われました」という発言を聞いたときには愕然としてしまいました。

安全な薬などありません。十分に自分に処方された薬について自分で調べましょう。自分の体は自分で守りましょう。

「Associations between gabapentinoids and suicidal behaviour, unintentional overdoses, injuries, road traffic incidents, and violent crime: population based cohort study in Sweden」

「ガバペンチノイドと自殺行動、意図的でない過剰摂取、けが、交通事故、および暴力犯罪との関連性:スウェーデンにおける人口ベースのコホート研究」(原文はここ

2 thoughts on “リリカで自殺行動リスクが上昇

  1. ドクターシミズの話は、重要な問題も含んでいるのかもしれないが、彼の主張がその実験結果も踏まえて事実なら、それを厚生労働省などが放置しておくのだろうか?

    リリカの問題にしても、本当にそうなのだろうか。タミフルの副作用にしても、結局因果関係が不明としてまた再開されたように記憶しているが、どこまで信じれば良いのか、ドクターシミズが厚生労働省の事が信用出来ないと言うなら、それ以上に、ドクターシミズの言う事を信じるべき根拠はどこにあるのか?という事にはならないのだろうか?

    私は、以前から頸椎症と診断され、痛みが治まらなかったのに、今年の3月にリリカを処方されたら2、3日で改善し、2週間服用した後に服用中止しても痛みがなくなったので、とてもこの薬には感謝している。タミフルも、インフルエンザの時にはとても私には有効である。

    また、私は家族性高コレステロール血症という病気を抱えているが、これも一昨年より「レパーサ」というコレステロールを劇的に下げる薬を自己注射しているが、悪玉コレステロールが飛躍的に下がり、正常値以下にまでなっており、先生は「悪玉が必要以上に下がっても問題があるという報告は無い」と言われている。もちろん、特にこれによる自覚症状は全く無い。

    もちろん、それで動脈硬化がどれほど防げているかは定かでは無いが、少なくとも、今年3月の冠動脈カテーテル検査では、動脈硬化は進んでいないとの結果になっている。

    薬を盲目的に信じてはいけないのかもしれないし、原則として薬は必ず副作用があり、不必要なら飲まない方が体に良いに決まっているはずだ。しかし、そのリスクよりも効果の方が大きいからこそ、その薬を投与されるのだと私は考えている。

    それをドクターシミズは、「ある薬はその効果よりもそのリスクの方が大きいのだからやめるべきだ」と言う主張をいつも繰り返しているように思うのだが、本当にそれは正しいのだろうか?逆に国の言う事がなぜ間違っているのだろうか?

    我々素人は、まず国の言う事を信じるのが原則である。もしそれが違うと言うなら、確実なデータを揃えて主張しなければならない。しかし、そのようなデータを国は本当に無視しているのだろうか?

    そのような「国は国民を騙している。真実はこうなのだ」と主張されても、私などはにわかには信じない。

    なぜなら、ドクターシミズが本当の事を言っている保障がどこにも無いからである。

    それよりも、国の方がまだ信じられる、そう思う国民は少なく無いだろう?

    1. 吉岡さん、コメントありがとうございます。

      仰る通り、私が本当のことを言っている保証はどこにもありません。だから信じる必要はありません。
      ただ、私一人の妄想とならないようにできる限り他の人の研究などを挙げているつもりです。
      吉岡さんが何を信じるのかは吉岡さんの問題です。国を信じたいのであれば信じるのは自由です。
      私はひねくれものなので国の言うことを鵜呑みにできません。つい先日も統計のデータのねつ造があったばかりです。
      厚労省の食事摂取基準の栄養バランスは根拠も存在しないのに、厚労省は推奨しています。
      国が本当のことを言っているという保証もどこにもありません。誰の言っていることにも保障なんてありません。

      リリカが効果があったと感じたのは、リリカを飲んでいる間に、自己の治癒力や炎症が治まってリリカが効いたと思っただけかもしれません。
      タミフルは免疫反応を抑えると考えられ、症状が治まったと感じるだけかもしれません。
      コレステロールを下げることが良いと思って、現在の治療をしているのも私は否定しません。
      ただ、私はLDLコレステロールが「悪玉」とは思っていません。

      私は私なりに正しいと思っていることを言っているに過ぎません。
      素人だから、国を信じる、医師の言うことを信じる、というのも構いません。判断するのは自分です。

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