糖質は肝臓の脂肪酸合成を増加させ死亡リスクを高くする

肝臓によるde novo脂肪酸合成(DNL)は、過剰な食事性でんぷん、糖、およびタンパク質が特定の脂肪酸、特にパルミチン酸(16:0)およびその他の脂肪酸に変換される代謝です。直接酸化できるレベルを超えて食事により糖質を摂取すると、DNLが数倍に増加し、より多くの割合が脂肪に変換されます。

パルミチン酸(16:0)とオレイン酸(18:1n-9)は食事の脂質からも摂取されますが、循環レベルとの関連は非常に乏しいようです。とりわけ、パルミトレイン酸(16:1n-7)は内因性のDNLによる生成される脂肪酸です。つまり、脂質の摂取ではなく、特に精製されたでんぷんと糖、およびアルコールを急速に消化すると、DNLの割合が増加しこれらの脂肪酸の生産を促進します。

では、DNLにより生成された脂肪酸が全死因および原因別死亡率にどのように関係しているでしょうか。

パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1n-7)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1n-9)について平均75歳の3,800人以上の血液を平均13年間、最長で22.4年間追跡しました。それぞれの脂肪酸のレベルを低い方から高い方へ5つに分けました。結果は次のようです。(図は原文より)

上の図は全原因死亡と心血管疾患の死亡と心血管疾患ではない死亡リスクです。16:0、16:1n-7、および18:1n-9の最高5分位の人は最低の人と比較して、全死因死亡のリスクが35%から56%高く、心血管疾患死亡のリスクが42%から48%高く、心血管疾患以外の死亡のリスクは30%から50%高くなりました。対照的に、18:0の最高5分位の人は、全原因死亡、心血管疾患死亡、および心血管疾患以外の死亡のリスクがが23%から28%減少しました

 

上の図は致命的および非致命的な心血管疾患、冠状動脈性心疾患、脳卒中のリスクです。死亡率の結果と同様に、16:0、16:1n-7、および18:1n-9のレベルはそれぞれに正の相関があり、18:0は逆相関が認められました。

上の図は横軸が全脂肪酸に対する血漿リン脂質脂肪酸の割合で縦軸が全原因死亡リスクを示しています。上記の2つの図と同様の結果です。

上の図は脂肪酸の経時的変化(経時的な増加)と死亡リスクです。16:0はリスクが増加し、18:0はリスクが低下していました。

パルミチン酸(16:0)、パルミトレイン酸(16:1n-7)、オレイン酸(18:1n-9)とは対照的に、糖質たっぷりの食事の対照試験では、ステアリン酸(18:0)のレベルは一貫して増加しないという研究があるようです。DNLによって生成されないステアリン酸(18:0)は、死亡率と逆相関があるのです。したがって、糖質をを脂肪酸に変換することは全原因死亡や心血管疾患の死亡に関連するのです。多くの死が糖質過剰摂取と関連しているのです。

いまだに中性脂肪値が高いことは脂質の過剰摂取だと思っている人がいますが、中性脂肪は糖質過剰摂取によりDNLで生成されたものです。中性脂肪値が高い人が注意すべきは脂質の摂取ではなく、糖質の摂取です。

「Serial Plasma Phospholipid Fatty Acids in the De Novo Lipogenesis Pathway and Total Mortality, Cause-Specific Mortality, and Cardiovascular Diseases in the Cardiovascular Health Study」

「心臓血管の健康研究におけるde novo脂質生成経路および総死亡率、原因特異的死亡率、および心血管疾患における連続血漿リン脂質脂肪酸」(原文はここ

2 thoughts on “糖質は肝臓の脂肪酸合成を増加させ死亡リスクを高くする

    1. へレオンさん、コメントありがとうございます。

      元ネタ(論文)がわからないのでコメントできませんが、多くは食事アンケートによる研究なので、
      申告した食事が正しくない場合が非常に多く、よってその結果もいい加減な場合が多いと思います。
      NHKの番組に対する考えは、以前のコメントをご参照願います。

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