ウルトラマラソンはメンタルスポーツ。脳の罠に気を付けろ!

ウルトラマラソンを完走し終えて思うことは、本当にメンタルが重要なウエートを占めるスポーツだということです。フルマラソンでも良く「心が折れる」というようなことを言いますが、もうだめだと思い足が重くなることは、フルマラソンの比ではありません。

ドクターシミズのウルトラランナーへの道3」で書いたように、90km付近で急に足が動かなくなり、思うように走れなくなったのは、その時に「もうどんなに歩いても制限時間内に完走できる」と思った瞬間からでした。それまでは何とか走っていたのに、急に足の動きが悪くなったのです。

そして、ラスト5kmの「復活」です。これも、時計を見て「今走ることができれば、11時間台で完走できる。何のために今まで練習してきたんだ!今日はこれまでの集大成だ!」と思った瞬間から足が動き出したのです。しかも、トボトボ走るのではなく、グングン走れたのです。足の疲れは限界を超えていると思っていたのに、スタート時と変わらないペースで走れたのです。

これらの現象は全てメンタルです。もちろん体力的な部分もありますが、脳を如何に操るかが勝負の分かれ道です。

よくサッカーの日本代表が公式戦になると弱くなるのはメンタルの問題だ、なんて言われますが、本当にそうだと思います。メンタルの持っていき方によって全く体の動きが異なることを実感しました。ネガティブになればネガティブな動きしかできません。ポジティブになれば、その時の力以上の力が出せます。

それ以外にもメンタルが関係する多くのことが起きていました。

まずは、これまで、マラソンのレースの日が近づくと良く腰が痛くなります。それ以外の日は何ともないのにレースが近づくと腰が痛くなる確率が上がります。最近はこれはメンタルな問題とわかっているので、痛くても無視。「ぎっくり腰でもフルマラソンは完走できる!」にも書いたように前日にぎっくり腰の症状が出てもフルマラソンに出ました。

また、今回のウルトラマラソンの数日前には脳がかなり拒否反応を示したのか、いろんな症状が出ました。一つは風邪のような症状。のどがイガイガする。これも、一応漢方薬を飲みましたが、ほとんど無視。他には、何でもないときに急に膝が痛くなり、ちょっと歩行時の痛みもありました。一応シップを貼っときましたが、これは意外と症状が長く2日間痛みました。しかし、3日目には何もなかったように痛みが消えました。あとは、なんでかわからないけど皮膚のかゆみ。プツッとできて非常にかゆい。でもレース後はそのかゆみはどこにもありません。などなど、脳はあの手この手を使って、レースを止めさせようとしていると思います。

レース中も「ドクターシミズのウルトラランナーへの道2 」に書いたように脳の罠である「胸の痛み」に2回襲われました。今まで感じたことのない痛みです。その他にも何度も足のいろんな場所に痛みが出ました。しかし、全部とは言えませんがほとんどは脳の罠でした。その証拠に痛みが出ても、いつの間にか消えるんです。あんなに痛いと思ってもレース後には痛みは消えているのです。1カ所だけ本当の痛みがありました。右の足の小指がレース中にずっと痛かったんですが、レース後靴を脱いで見てみると真っ赤に脹れていました。ずっと痛むのは本物で、途中で消えるのは脳の罠です。

実はレース前も、レース中も、普段も、理由もよくわからない痛みや他の症状は基本的に脳に命令をすることにしています。先ほど無視すると書きましたが、無視する前に大抵の場合脳に命令します。「やめろ!」と。「今体には問題が無いから、その痛みを出すのを今すぐ止めろ!」ということを心の中でつぶやきます。本当に言葉で発したらちょっとやばいオッサンですから。そうしているといつの間にか症状は消えています。さっきも書きましたが、消えるのは脳の罠(脳のいたずらかもしれませんが)、ずっと消えずに症状が続いたり悪化するものは本物です。

ペインクリニックをやっていると、この脳の罠の痛みを本当の痛みと思って、医師に訴え続け、治療をしても治らなかったり、余計に悪くなったりする方がいます。もちろん、患者さんが訴える痛みが本当の痛みか脳の罠かわからない場合も多いので、難しい問題ですが、一度病院へ行く前に脳の罠かどうかを疑ってみてください。そして、自分の脳に「NO!」と言ってみてください。「やめろ!」と何回も言えば脳も止めるかもしれませんよ。痛みに敏感になりすぎるといいことはありません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする