LDLコレステロール値は測定する意味がないかもしれない

以前の記事「LDLコレステロールが低下しても、リスクが低下したとは限らない」に続いて、LDLコレステロール値がいかに無意味な検査なのかをお示ししたいと思います。

メタボリックシンドロームの因子として、(1)胴回りが男性102cm、女性88cmより大きい、(2)中性脂肪値が150mg/dL以上、(3)HDLコレステロール値が男性40 mg/dL、女性50 mg/dL、(4)収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上、または降圧薬の使用、(5)空腹時血糖100mg/dL以上

として、その因子をいくつ持っているかによってその人のLDLの粒子数とLDLコレステロールの数値、中性脂肪やHDLコレステロール値の関係を調べました。そうすると、次のようなグラフとなります。

 

 

 

 

これを見るとわかるように、LDLコレステロールの変化はほとんどありません。メタボの因子が0の人よりは上昇はしますが、ほとんど変動せず、女性では20程度の上昇に過ぎませんし、男性ではほとんど変化はありません。。LDLコレステロール値があまり変化ないのにもかかわらず、メタボ因子の数が増えるにつれ、総LDL粒子数と小粒子LDLの粒子数はどんどん増加し、逆に大粒子LDLの粒子数はどんどん減少しています。

メタボと心血管系疾患の関連は明らかになっていますが、LDLコレステロール値を見たところで何もわからないことになります。今回の研究では小粒子LDL粒子数単独では心血管系疾患との関連は有意差が出ませんでしたが、他の因子を考えれば、小粒子LDL粒子が少ないほど心血管系のイベントは少なくなると思われます。

 

「Increased small low-density lipoprotein particle number: a prominent feature of the metabolic syndrome in the Framingham Heart Study.」

「増加した小さなLDL粒子数:Framingham心臓研究におけるメタボリックシンドロームの顕著な特徴」(原文はここ

 

 

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