残念ながら現在の内科学は糖質過剰摂取状態が大前提である

江部先生のブログに取り上げていただきましたが(江部先生の記事はここ)、HDLコレステロールが高値を示すということはどんな意味があるのでしょうか?

HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃない?」で取り上げた研究が、ネットでの記事になり、それを読んだ方が不安になっているようでした。HDLコレステロール値が高すぎる場合に、脳卒中や心臓病による死亡リスクが高まるというものです。HDLコレステロール値が90以上で1.43倍、死亡リスクが高まってしまうのですが、統計学的には有意差はないとのことなので、ひょっとしたらリスクが高くなるかも?という程度でしょう。

しかし、「HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃない」シリーズ(その1~その5)を読んでいただければわかるように、HDLにも質があるということです。

さて、脂質異常症の診断基準は以下のようです。(公益財団法人 日本心臓財団のホームページより)

脂質異常症診断基準(空腹時採血)*

LDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症**
HDLコレステロール40 mg/dL未満低HDLコレステロール血症
トリグリセライド150 mg/dL以上高トリグリセライド血症
Non- HDLコレステロール170 mg/dL以上高non- HDLコレステロール血症
150~169 mg/dL境界域高non- HDLコレステロール血症**

*:10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。
**:スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。

●LDL-CはFriedewald式(TC-HDL-C-TG/5)または直接法で求める。

●TGが400mg/dLや食後採血の場合はnon-HDL(TC-HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。ただしスクリーニング時に高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30 mg/dLより小さくなる可能性を念頭においてリスクを評価する。

 

この診断基準を見るとすぐにわかるように、LDLコレステロールは高くなる=異常だという考えです。また、脂質異常症のWHO分類を見ると以下のようです。(図はここより抜粋)

ここでも、Ⅳ型を除くと総コレステロールは増加が前提であり、異常という考えです。また、HDLコレステロールは正常か低下示しています。LDLコレステロール値の増加はⅡ型のaまたはbということになります。それでは、私の脂質を見ていきましょう。

これは卵10個負荷試験後のデータです。

総コレステロール 318、HDLコレステロール 94、LDLコレステロール 197、

中性脂肪(TG) 30

脂質異常症の診断基準で言えばもちろん高LDLコレステロール血症です。この診断基準はとにかく患者を増やしてスタチンを投与するための診断基準です。LDLコレステロール値はあてにはならない数値であるのにいまだにその数値を使って診断治療をする意味を考えてみてください。そして、通常本当の高LDLコレステロール血症はWHO分類からもわかるように、HDLコレステロールは低下するか低めです。中性脂肪は高めか、非常に高値を示します。

WHO分類では総コレステロールとLDLコレステロール値が非常に増加していますので、Ⅱa型のように見えますが、HDLコレステロール値は非常に増加しており、中性脂肪値は非常に低下していますので、当てはまるものはありません。

つまり、これらの診断基準や分類は糖質過剰摂取状態が大前提です。その中でLDLコレステロール値が増加するときには通常中性脂肪は高めになりますし、HDLコレステロールは低めになるのです。しかし、糖質制限をした場合のLDLコレステロール値の上昇は中性脂肪値が低めになり、HDLコレステロールは高めになります。HDLコレステロールは私のように90台や100以上を示すことも珍しくありません。

現在の内科学を妄信し、製薬会社が絡んだガイドラインや診断基準が正しいと思っている医師は、糖質制限をしている人の、このような脂質の検査値が理解できません。だから、ただ単にLDLコレステロール値が高くなっただけで危険だと説明し、スタチンを処方しようとします。

江部先生のブログで不安を訴えた方も、糖質制限によりHDLコレストロール80→111、LDLコレストロール180→169、中性脂肪50→40です。WHO分類のどこにも当てはまりません。もちろん、糖質制限をして、このような値の変化が本当に問題がないかは実はわかっていません。しかし、様々なデータを総合して私は望ましい変化だという考えでいます。
このような変化を示したデータを見て、医師に脂質の摂り過ぎだ!と言われたそうです。これまでの内科学では脂質の摂り過ぎであれば、中性脂肪は増加するはずですよね?LDLコレステロール値も増加しますよね?HDLコレステロールは低下することが多くないでしたっけ?

脂質を大量に摂ったとしても、中性脂肪が増加するのは一時的です。私の卵10個食べた実験の後の中性脂肪は1時間後にピークとなり、しかも値は105です。

逆にたがしゅう先生の75g果糖負荷試験後の卵10個負荷試験を読んでいただけるとわかりますが、大量の果糖を摂取した後の異常なまでの中性脂肪の増加は、本当にぞっとします。空腹時に中性脂肪が高いのは糖質、特に果糖の摂り過ぎが原因と考えています。

しかし、糖質過剰摂取状態が大前提の内科学では、中性脂肪値の増加は、脂質の摂り過ぎです。糖質制限に対しては今までの内科学が通用しない可能性が高いです。糖質制限をしながら脂質を摂り過ぎ(実際には摂り過ぎではありませんが)た場合の中性脂肪値の低下は、内科学的にどのように説明できますか?コレステロールをたくさん摂った時のHDLコレステロール値の上昇はどのように説明できますか?

5 thoughts on “残念ながら現在の内科学は糖質過剰摂取状態が大前提である

  1. 清水先生こんばんは

    つわりと果糖
    妊婦のつわりは脂質代謝を
    貫く為のもので断食断糖し
    体脂肪を分解してケトン体
    を胎児胎盤に供給してます
    糖質など安定供給出来ない
    699万年間狩猟生活進化の
    知恵です
    狩猟生活699万年間果糖は
    身体に取って非常に貴重な
    エネルギー源でした人類に
    取って果糖摂取は相当なが
    かったと思います、果糖を
    肝臓に蓄え細胞に即蓄え
    ブドウ糖より体内吸収率
    が10倍ですつわりと同様
    この機能が現在まで受け
    継がれてると思います

  2. 今晩は清水先生前回の話し
    もう少しまとめて見ました

    ホモ・サピエンス狩猟時代
    の人間と現代人のDNAの違い
    は2%だそうです妊婦悪阻とか
    ブドウ糖より果糖吸収が10倍
    良い事は進化過程で現在まで
    引き継がれてます

    果糖吸率が良いのは700万
    年前トゥーマイ原人の頭蓋
    分析より二足歩行が確認され
    ており二足歩行と知能の優位
    性から他の動物より高所果物
    を効率よく摂取していた為と
    思われ進化の過程で体内での
    ビタミンC生成能力も失われ
    たと思います
    果糖吸収が良い理由はその
    時期その場所で摂取する
    期間が限られてます冷蔵庫
    もありません体内に(肝臓)
    蓄えられるだけ蓄えます
    吸収率10倍の根拠です

    この事より糖質制限中適量
    の果物摂取は最良と思われ
    ます果糖は直接肝臓に蓄え
    られるので血糖値スパイク
    ありません、野生ではスパ
    イクの眠気が命取りになり
    ます

    脳細胞に届くケトン体は
    アセト酢酸とβ-ヒドロキシ
    酪酸で脳に糖化物質が有った
    場合その二酸化炭素に反応
    (脱炭酸)してアセトン酪酸
    はアセトンに変化します脳の
    掃除をしているのではないで
    しょうか?

    空腹で飢餓状態が続けば
    続くほどケトン体濃度が高く
    なり運動能力等がアップする
    様です、いざという時獲物を
    捕獲出来なくなりますからね
    https://www.facebook.com/shuhei.odani/posts/1701598333253495

    人類700万年の歴史
    https://youtu.be/5NeavbobWIM

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