食事の変更と痛風発作の減少

痛風はインスリン抵抗性と関連していると考えられています。インスリン抵抗性をある程度改善すると思われる中等度の炭水化物制限とカロリー制限を痛風の人に適用するとどうなるのでしょうか?

糖尿病でない13人の男性(中央値50歳、38~62歳)が対象で、研究の前の4ヶ月間に少なくとも2回の痛風発作を経験していました。16週間食事を変更し、変更した食事は炭水化物40%、タンパク質30%、脂肪30%で、1日あたり1600kcalまでのカロリー制限でした。精製された炭水化物を複雑な炭水化物へ(つまり糖類をでんぷん質へ)、飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸へ置き換え、少なくとも1週間に4回は魚から多価不飽和脂肪酸を摂りました。もともとの食事は不明なのでどれぐらいのエネルギー量を摂取していて、PFCバランス等も不明ですので、ちょっと問題ありの研究ではあります。

(図は原文より改変、単位を変換しているので、メモリの数値が中途半端です。)

上の図は食事変更前後の比較をしています。尿酸値、痛風発作回数、中性脂肪、総コレステロール/HDLコレステロール比です。

16週間後体重は平均で7.7kg減少し、BMIは2.7低下しました。痛風発作の回数は月に2.1回から0.6回に激減しました。尿酸値は9.6から7.9mg/dLに減少しました。基準値を上回っていた12人中7人が基準値内になりました。ただし、日本での尿酸値の基準値は7以下ですが、アメリカでは確か8以下です。ですから、日本の基準値まで下がったのは4人程度です。

中性脂肪も総コレステロール/HDLコレステロール比も低下しています。

1人を除いて、12人の痛風発作の回数が月に1回以下になっています。しかし、6人の尿酸値はアメリカの基準値でもそれを上回っています。

逆に考えれば、基準値にまで低下しなくても痛風発作の回数は激減したことになります。では、本当に尿酸値を下げることが痛風を予防できるのでしょうか?わかりません。

私は尿酸値高値にプラスアルファがないと痛風発作は起きないのでは?と考えています。関節の尿酸結晶を異物と認識した白血球に攻撃されて炎症が起こるのが痛風発作と言われていますが、逆なのではないでしょうか?尿酸結晶があるところに何らかの炎症が起きることにより、そこにある結晶を白血球が攻撃するというものです。

以前の記事「糖質制限と尿酸値上昇」で書いたように様々な要因で尿酸値は増減します。通常の糖質過剰摂取状態では炎症は起きやすく、尿酸値の上昇と重なると痛風発作が起きるのであって、尿酸値の上昇だけでは何にも起きないのではないでしょうか?

また、最初に書いたようにインスリン抵抗性とも何らかの関連があるのかもしれません。だとすると余計に糖質制限をして尿酸値上昇だけ認めた場合は何ら問題が起きないと思われます。

そして、今回の研究の結果を見ると、摂取エネルギー不足では尿酸値は増加しないと考えられます。もちろん、断食レベルになれば尿酸値は増加するでしょう。しかし、少しばかりのエネルギー不足は逆に尿酸値が低下していることを示しています。ただ、この研究では糖質は40%ですが。

以前の記事「尿酸値は高くても低くても死亡のリスクが高い」では、尿酸値が高くても低くても死亡のリスクが高いことを書きましたが、この記事は糖質過剰摂取状態の人の研究なので、糖質制限ではまだ不明です。

尿酸は非常に重要な抗酸化物質と考えられています。だから、痛風の発作も起きていないのに、薬で下げる必要はないと思います。もちろん、糖質制限をしている前提です。尿酸値上昇で騒いでいるのは、LDLコレステロールと同じ仕組みです。薬のセールスのためだと思います。

尿酸が高いことはそんなに問題があることなのでしょうか?実は尿酸値が高いことで有益になることがいっぱいあります。それを知れば、薬なんて飲みたくなくなるかもしれません。その話は次回に…

「Beneficial effects of weight loss associated with moderate calorie/carbohydrate restriction, and increased proportional intake of protein and unsaturated fat on serum urate and lipoprotein levels in gout: a pilot study」

「中程度のカロリー/炭水化物の制限に関連する体重減少の有益な効果、および痛風における血清尿酸およびリポタンパク質レベルに対するタンパク質および不​​飽和脂肪摂取の比率の増加:パイロット研究」(原文はここ