子供や若者であっても食事を間違えれば小さな危険なLDLが多くなる

以前の記事「アテローム性動脈硬化症は生まれた頃から始まっている その1」「その2」などで書いたように、アテローム性動脈硬化症は子供の頃から始まっています。子供の食育は親の問題です。食事が間違っていて肥満になったり、インスリン抵抗性が起きてしまうと、子供であっても心血管疾患のリスクと関連している小さな危険なLDL(sdLDL)は増加してしまいます。

2249人の9歳、13歳および16歳の血液を調べた研究があります。sdLDLはLDLピーク粒径<255Åとしています。(表は原文より改変)

sdLDLを有する割合(%)
性別
 男の子2.0
 女の子2.1
年齢
 9歳2.2
 13歳1.0
 16歳2.8
BMI
 BMIが低い方から85%まで1.2
 BMI上位15%6.8
インスリン抵抗性
 なし1.0
 あり10.0

平均のLDL粒子サイズは男の子よりも女の子方が大きく、9歳や13歳よりも16歳の方が小さいという結果でした。sdLDLを有する割合は性別や年齢では差が認められませんでした。しかし、BMIの上位15%の子供や若者は6.8%がsdLDLを有し、インスリン抵抗性ない場合では1%であるのに対し、インスリン抵抗性がある場合は10%と大きく増加しました。

LDL粒子サイズと他の因子との関連は、中性脂肪値が増加するほどLDLのサイズは減少し、HDLコレステロール値が増加するほどLDLサイズは増加していました。

これは、「糖質制限とLDLコレステロール上昇」などで書いたような成人と全く同じ関係を表しています。つまり、中性脂肪値が高く、HDLコレステロール値が低くなれば、sdLDLは非常に多くなってしまうのです。そしてそのリスクはBMIの増加と、インスリン抵抗性の存在に起因していると考えられるのです。BMIもインスリン抵抗性も食事の問題です。子供の頃から食事が間違っていれば、将来の心血管疾患のリスクを背負うことになってしまうのです。

中性脂肪値を上昇させ、HDLコレステロールを低下させるのは糖質の過剰摂取です。それは大人であっても子供であっても同じです。以前の記事「脂肪の摂取量が少なくなれば小さな危険なLDLが増加する」で書いたように、脂肪の摂取量を減らすと、その分糖質が増えてしまいます。食育は親の仕事です。

中性脂肪/HDLコレステロール比は1.3以下を目指しましょう。

 

「Distribution of LDL Particle Size in a Population-Based Sample of Children and Adolescents and Relationship with Other Cardiovascular Risk Factors」

「集団ベースの小児および若者のサンプルにおけるLDL粒子サイズの分布およびその他の心血管リスク因子との関係」(原文はここ

 

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