ビタミンDは良い効果をもたらすか? その3 大量投与がもたらす害

以前の記事「その1」では、ビタミンD不足は認知症のリスクを高くすることを書き、「その2」では逆にあまりにも大量のビタミンDを摂取すると逆効果になる可能性を書きました。ビタミンDの大量投与は認知機能低下以外に、反応速度が遅くなるというものです。

この反応速度の低下はどのような有害作用をもたらすのでしょうか?恐らく次のような研究がいくつもあるので、それに関連していると思われます。(図は原文より)

SBMB, Accepted manuscript. doi:10.1016/j.jsbmb.2017.03.015

上の図はプラセボ群とビタミンD3をそれぞれ400、800、1600、2400、3200、4000、および4800IU12か月間経口投与された群との、12カ月間に1回以上の転倒のパーセンテージの比較です。そうすると、最も割合が低いのは1600〜3200 IUの投与量のグループでした。しかし、逆に4000IUを超えると転倒の割合が大きく増加しています。

SBMB, Accepted manuscript. doi:10.1016/j.jsbmb.2017.03.015

上の図は血中のビタミンD濃度を示す、25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)による転倒のパーセンテージを示しています。2つの測定法が示されていますが、おおむね40以上になると転倒が増加するように見えます。

上の図は別の研究のものです。3つのグループに分け、第1グループは24,000IU のビタミンD3飲料を1か月に1回飲みました。この量は現在推奨されている1日当たり800 IUに相当します。第2グループは60,000IUのビタミンD3飲料を1か月に1回飲みました。この量は1日2,000IUに相当します。第3グループは24,000IU のビタミンD3カプセル+300 µgのカルシフェジオール(ビタミンD誘導体)です。注目すべきは表の一番下です。これは12か月間での平均の転倒回数ですが24,000IUグループでは0.94であったのが、60,000IUグループでは1.47とかなり多くなっています。24,000IU のビタミンD3カプセル+300 µgのカルシフェジオールグループでも1.24と多くなっています。

上の図は、また別の研究ですが、ビタミンDの1年に1回の経口単回500,000IUの投与です。最初の転倒及び骨折の累積発生率です。左が転倒、右が骨折です。ビタミンD投与群の方がプラセボ群よりわずかではありますが、転倒や骨折が多くなっています。

もしかしたら、1年に1回とか1か月に1回という、1回量が多くなることが問題になる可能性はあります。

つまり、「その2」で示した反応速度の低下は、転びそうになった時にとっさの行動がとれず、高齢者の転倒を引き起こすのではないかと考えられるのです。高齢者の転倒は非常に大きな問題になる可能性があります。骨折や頭部外傷などの結果を招くこともあるからです。

確かにビタミンDは重要だと思いますが、大量投与には有害性がある可能性が高いのです。

様々な研究結果より、高齢者へのビタミンDの1日量は3,000IUを超えないように、25-ヒドロキシビタミンDの血清レベルは40〜45 ng/mlを超えないようにすべきかもしれません。

「Medium doses of daily vitamin D decrease falls and higher doses of daily vitamin D3 increase falls: A randomized clinical trial」

「中用量の毎日のビタミンDは転倒を減少させ、高用量の毎日のビタミンD3は転倒を増加させる:無作為化臨床試験」(原文はここ

「Monthly High-Dose Vitamin D Treatment for the Prevention of Functional Decline: A Randomized Clinical Trial」

「機能低下の予防のための月1回の高用量ビタミンD治療:無作為化臨床試験」(原文はここ

「Annual High-Dose Oral Vitamin D and Falls and Fractures in Older Women A Randomized Controlled Trial」

「毎年の高用量経口ビタミンDと高齢女性における転倒および骨折:無作為化対照試験」(原文はここ

「Vitamin D and falls — the dosage conundrum」

「ビタミンDと転倒 – 投与量の難題」(原文はここ

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