ビタミンDは良い効果をもたらすか? その1 認知症

ビタミンDは現代の生活では不足気味になりがちです。それは、日光を浴びる時間が非常に少ないからです。本来日光により、ビタミンDを作るように進化してきているので、日光を浴びないのであれば、口から摂取しなければなりません。

ビタミンD不足な様々な悪影響を指摘されており、骨粗しょう症や免疫力低下、がんなどとの関連もあるようです。

そして高齢者では認知症との関連があります。(図は原文より)

上の図は血中のビタミンD濃度を示す、25-ヒドロキシビタミンD(Serum 25(OH)D )の濃度の違いによる認知症の発症のリスクを示しています。上が全ての認知症で、下がアルツハイマー病です。ビタミンDが50nmol/L(20ng/mL)以上の人と比較して、25nmol/L(10ng/mL)~50までの人では認知症のリスクは53%増加し、アルツハイマー病は69%増加します。ビタミンDが25nmol/L(10ng/mL)未満では認知症が125%増加し、アルツハイマー病が122%増加します。

上の図は血中のビタミンDの量(横軸)と認知症のリスク(縦軸)をグラフにしたものです。50の目盛りが日本の単位の20ng/mLにあたります。50の目盛り辺りを境に、それ以下では急激に認知症のリスクが高まっています。

やはり、ビタミンDは非常に重要だと思われます。できる限り積極的に日光を浴びましょう。それが難しい場合は食事などから摂取が必要です。

しかし、ビタミンDはたくさん摂れば良いか?というと、そう簡単ではないようです。それは次回の記事で。

「Vitamin D and the risk of dementia and Alzheimer disease」

「ビタミンDと認知症およびアルツハイマー病のリスク」(原文はここ

3 thoughts on “ビタミンDは良い効果をもたらすか? その1 認知症

  1. シミズ先生、いつも勉強をさせていただいています。

    ビタミンDは重要ですが、適切な量があるということ、食事からとることが望ましいということですね。

    各種ビタミンや鉄の大量摂取が必要との記事をよく目にするのですが、個人的には納得できません。正直なところ、少し怖い気がします。ビタミンは安全性は高いと思いますが、例えばナイアシンを大量摂取するとコレステロールが低下する、この現象は確かなのかもしれませんが、通常の栄養的な働き以上に代謝に影響するとすれば、生体にどういう影響があるのかわからないように思います。
    鉄については、シミズ先生が何度か考察されていますが、サプリメントとはいえ、安易に補給すべきではないように思います。ほとんどの人で鉄が不足しているので積極的に補給した方がいいということは、中長期的に問題ないのか、と思います。

    糖質制限は、糖質を控え、肉、魚そして野菜をしっかり食べることになるので、必要な栄養素を十分に摂取できるように思います。生物である人間が本来の食事をすれば、余程のことがない限り、サプリメントによる補給は必要ないように思います。もちろん、何らかの病気やストレスがある場合にはビタミンや鉄をサプリメントにより補給することが必要なことはあると思います。

    これからも先生の論文の紹介で勉強したいと思います。

    1. じょんさん、コメントありがとうございます。

      全くおっしゃる通りだと思います。糖質を一気に過剰に摂取すると血糖値スパイクを起こすのと同じように、
      サプリメントでは通常の食材では考えられないほどの量の単一の栄養素が一気に吸収され、それによりその栄養素のスパイクが起きる可能性があります。
      そのようなスパイクの体への影響は正直わかっていません。
      しかし、進化の中でそのような大量摂取は経験してきませんでした。だから、そのようなサプリによる栄養素の大量摂取が何か問題を起こす可能性も
      十分に考えられると思います。できる限り自然な、食事による栄養摂取が重要だというのが私の考えです。

  2. シミズ先生、ありがとうございます。

    これからもバランスを考えて糖質制限を続けたいと思います。

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