以前の記事「インフルエンザと糖尿病」では、糖尿病の人では圧倒的にインフルエンザで重症化するリスクが高いことを書きました。しかし、糖尿病と診断された途端に急にリスクが上がるわけではありません。糖尿病かどうかはただの診断基準に当てはまるかどうかですから、糖尿病そのものが悪さをしているわけではありません。同様に肥満もリスクが高くなります。
2009年のH1N1インフルエンザウイルスの流行した年のアメリカの報告では、2~19歳のインフルエンザでの入院は過体重や肥満と関連していませんでしたが、低体重では有意に入院に関連していました。(オッズ比12.5)痩せすぎは良くないでしょう。
しかし、20歳以上で見ると、BMI40以上の病的肥満では入院の可能性が高くなりました。(オッズ比4.9)そして、死亡率に関しては慢性の病状を持たない成人では、肥満(オッズ比3.1)および病的肥満(オッズ比7.6)に有意に関連していました。
他にもCDCからの報告ではミシガン州では、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染とそれに関連するARDS(急性呼吸窮迫症候群)の10人の患者のうち、9人は肥満であり、7人は病的肥満でした。5人に肺塞栓があり、そして9人は多臓器不全症候群でした。3人の患者が死亡しました。(ここ参照)
季節性インフルエンザとの関連を示す研究は存在しないと思いますが、恐らくは同様の傾向があると思われます。
糖尿病と同様に、肥満も重症化のリスクを高くします。糖尿病と肥満、そうです、糖質過剰摂取がインフルエンザの重症化と関連していると考えられます。
つまり、糖質過剰摂取による血糖値の上昇、食後高血糖が大きな原因となっていると推測されます。そのことについてはまた次回以降で。
「Morbid obesity as a risk factor for hospitalization and death due to 2009 pandemic influenza A(H1N1) disease」
「2009年のパンデミックインフルエンザA(H1N1)による入院と死亡の危険因子としての病的肥満」(原文はここ)