あれもこれも全て地球温暖化? その2

以前の記事「あれもこれも全て地球温暖化? その1」で書いたように、地球温暖化という非常に便利なキーワードを使うことで、何か誘導されているように感じます。地球温暖化は起きていて、それは人間の生み出す二酸化炭素が原因であるということは、いわゆる「定説」になってきてしまい、根拠さえ示さずにその考えを使って、様々な気象変動などを説明しています。

昨年の秋ごろから始まったオーストラリアの山火事、昨年の夏ごろのアマゾン熱帯雨林の森林火災も地球温暖化によるものだと言う人もいます。

例えば、ある記事にあるように、(図は記事より、その記事はここ)アマゾンの森林火災は2013年以降で最大です。

上の図は、2013年以降の1月1日~8月21日にブラジルで起こった森林火災件数の推移です。記事では、2018年の同時期と比べて85%増加しているとまで言っています。確かに2018年よりはかなり増加していますが、逆に他の年は2018年よりも多い年の方が多いのがわかります。さらに、このグラフにはからくりがあります。「その1」でゲリラ豪雨のことを説明したのと同じからくりです。

上の図のデータとはちょっとだけ数値を取る範囲が違いますが(1月~8月31日のデータ)(データはここから)火災の発生件数は1999年から2019年まで下の図のように推移しています。

全体的な傾向からすると右肩下がりですし、この期間で考えれば2019年は平均的な数値です。ただ、2002年から数年間急激に増加しています。

2002年からデータを取り出せば、さらに大きく右肩下がりに見えます。つまり、データは好きなように操ることができ、増加しているようにも、減少しているようにも見せることが可能なのです。

さらにこの火災を受けて、様々な著名人が騒いだようですが、その言葉は間違っているとされています。その一つはフランスの大統領が発したツイートで「アマゾンの熱帯雨林、つまり私たちの惑星の酸素の20%を生成する肺」と言ったことです。

アマゾンの熱帯雨林が地球の酸素の20%を生産しているというよくある主張は、誤解のようです。アメリカの大気科学者の話では「森林植物は多くの酸素を生成し、森林微生物は多くの酸素を消費します。その結果、森林、そして実際にすべての陸上植物による酸素の純生産は非常にゼロに近くなります。」ということです。(その記事はここ

もちろん森林が燃えてなくなっても良いと言っているわけではありませんが、アマゾンの森林が燃えても人類は窒息しません。そして、この火事が温暖化と関係しているのかどうかも不明です。

ではオーストラリアの山火事についてはどうでしょうか?ウソの合成写真や過去の写真を使ったフェイクニュースまでSNSで流れ、大騒ぎです。(この記事参照)

確かに昨年から今年のオーストラリアの熱波や干ばつは実際に起きています。非常に悲しいことに山火事で死者も出て、数億の動物が犠牲になったと言われています。しかし、最近このオーストラリアの火事の原因いくつかがが人間によるもの、つまり「放火」によるものだという話も出てきています。(ここ参照)

ニューサウスウェールズ州の警察当局の1月6日の発表では、2019年11月8日以降、205件の山火事関連の罪で、40人の少年を含む183人に対して法的措置(警告から起訴まで)が行われたというのです。
・24人が故意に点火されたとされる山火事で起訴されました。
・53人が完全な火気禁止の遵守を怠ったとされる訴訟を起こしました。
・47人が火のついたたばこまたはマッチを廃棄したとされる訴訟を起こしました。

他の記事(ここ)では、
国立研究センターのPaul Read博士によると、山火事の約85%は故意または偶然に発生したものです。「約85パーセントが人間の活動に関連しており、13パーセントが放火を確認し、37パーセントが放火の疑いがある」と彼は述べた。

と書かれています。これが本当であれば、熱波や干ばつはもちろん背景にあったとしても、最も大きな原因は人間による放火または火の不始末だと考えられます。

では熱波や干ばつの原因は地球温暖化でしょうか?

現在、原因の一つとして有力なのは、「インド洋ダイポールモード現象」(インド洋ダイポールモード減少についてはここ参照)だと考えられています。

インド洋ダイポールモード現象 豪の森林火災と日本の暖冬

 オーストラリアで続く大規模な森林火災。インド洋西部の海面水温が上昇するインド洋ダイポールモード現象が発生し、オーストラリアだけでなく、日本にも影響が広がっている。

豪で記録的な高温と干ばつ

 南半球のオーストラリアはこの夏、観測史上最も暑い夏になりました。1月24日はアデレードで最高気温46.6度を記録、都市部でも極端な暑さに見舞われました。また、1月から10月までの降水量はオーストラリア全体で平年を34パーセント下回り、1902年以来最も少なくなったそうです。

 この極端な雨不足により、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、南オーストラリア州で深刻な森林火災が発生しています。大規模な火災による煙(赤破線で囲った部分)は日本の気象衛星ひまわりでも捉えられました。

 また、米航空宇宙局(NASA)の専門家はオーストラリアから南太平洋に流れだす煙を追跡し、南アメリカから大西洋まで達したと述べています。

インド洋ダイポールモード現象が発生

 この異常とも言えるオーストラリアの雨不足はインド洋の海面水温に原因があります。エルニーニョ現象が終息したこの春以降も、インド洋西部の海面水温は基準値より高い状態が続いていて、それにより発生した上昇気流が乾いた空気となって、インドネシアからオーストラリアに吹き降り、雨が降りにくい状況を作り出しているのです。

 インド洋ではエルニーニョ/ラニーニャ現象と同じように、西部と東部の海面水温がシーソーのように変動することが知られていて、これをインド洋ダイポールモード現象(Indian Ocean Dipole)と言います。

日本は暖冬に

 このインド洋ダイポールモード現象は日本の天候にも影響します。インド洋西部で海面水温が高い場合、雲が通常よりも活発に発生し、上昇気流が強められます。この強い上昇気流はユーラシア大陸を西から東に流れる偏西風の流れを変え、偏西風は日本の北を流れやすくなるのです。

 偏西風が日本の北を流れると、暖かい空気が日本列島を覆い、全国的に気温が高くなります。この秋の記録的な高温も、この冬の暖冬予想も、元をたどればインド洋にたどり着きます。

 オーストラリア気象局はインド洋ダイポールモード現象が当初の予測より長引き、来年1月まで続く見通しを示しています。日本も年始にかけて、強い冬型の気圧配置が現れにくく、全国的に気温が高くなりやすいとみられています。

つまり、この記事を信じれば、オーストラリアの山火事に関係する高温や干ばつも、日本の暖冬も元となる原因はインド洋にあったと考えられるのです。エルニーニョ現象などと同様に、このような現象は数年に一度自然と訪れます。

(上の図はここより)例えば上の図はエルニーニョ現象の発生期間は赤で、ラニーニャ現象の発生期間は青で示されていますが、温暖化の進行とは無関係にしか見えません。エルニーニョ現象を地球温暖化によるものと考えている人もいますが、現在のところ専門家の間では結論は出ていません。

上のツイッターはオーストラリアの気象局によるものですが、インド洋ダイポールモード現象はすでにニュートラルに近づいており、オーストラリアの異常な高温と干ばつをもたらしたものは収束してきているようです。

正のダイポールイベントが発生すると、海水温の変動に伴い、通常は東インド洋で活発な対流活動が西に移動し、東アフリカでは豪雨を、インドネシアでは雨が少なくなり、厳しい干ばつと山火事を引き起こします。今回のダイポールの正のイベントは非常に強く、オーストラリアに異常な高温と干ばつをもたらしたと考えられます。正のイベントは日本にも影響を与えます。夏であれば、日本は背の高い高気圧に覆われやすく、暑く乾燥した夏になりやすい傾向になりますし、冬であれば暖冬傾向になります。
一方、負のイベントが発生すると、通常は東インド洋で活発な対流活動がさらに活発となり、インドネシアやオーストラリアで雨が多くなり、洪水を引き起こします。

上の図(図はここより)はインド洋ダイポールモードインデックスと言われているものです、正と負を示しています。上の図のように正が強まったり、負が強まったり繰り返しています。1990年より前でも同様です。だとしたら、この現象は地球温暖化によって起きているとは言えませんね。

環境破壊自体を良しとしているわけではありません。しかし、自然環境の破壊、異常気象の全てが二酸化炭素増加による地球温暖化によるものとは言えないばかりか、地球温暖化は修飾する程度の役割でしかないかもしれません。地球温暖化というキーワードは十分注意が必要でしょう。

2 thoughts on “あれもこれも全て地球温暖化? その2

  1. わかりやすい結論に飛び付きたい気持ちに抗する為には、意欲・能力・体力・時間
    等が必要でしょう。
    権力の有る側に操作されないように、
    糖質制限や運動で体力や認知機能を維持する事は意外と大事だと思います。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      脂肪を摂取すると体に脂肪が付く、という話も何となく分かりやすく、それらしい話であり、容易に信じてしまいます。
      それと同じですね。イメージしやすいことが真実ではありませんからね。

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