新型コロナウイルスで退院後に再度PCR検査陽性となった症例

新型コロナウイルスで退院した後に再び陽性となる事例が日本でも報告されましたが、中国の発表では14%程度そのようなことが起きているようです。

今回の論文では、武漢の医療従事者の感染者4例(1人入院、3人自宅隔離)について、退院した後または検疫中止後のPCR検査陽性例を報告しています。

退院または検疫の中止については、次のすべての基準を満たす必要がありました。(1)平熱が3日以上続く、(2)呼吸器症状の消失、(3)胸部コンピューター断層撮影(CT)での急性滲出性病変の大幅な改善、(4)少なくとも1日あけた2回連続PCRテスト陰性の結果。

PCR検査は咽頭から採取されたものです。

4症例全員が医療従事中に感染したようです。年齢範囲は30〜36歳で、2例は男性でした。3例は発熱、咳嗽、またはその両症状を発症時に呈しましたが、1例は、最初は無症候性だったのです。しかし、感染患者への接触が認められたのでCT検査を受けました。

4例全員がPCR検査陽性であり、CT画像では肺のすりガラス状影(ground-glass opacification)または混合GGOすりガラス状影(mixed ground-glass opacification)と硬化が確認されました。重症度は軽度~中等度でした。

抗ウイルス薬の治療として、12時間ごとに75 mgのオセルタミビル(タミフル)が4人の患者に提供されました。3人について、すべての臨床症状とCT画像の異常が改善しました。1人の患者のCT画像では、わずかなすりガラス状影が認められました。4人の患者全員が2回連続したPCR検査結果が陰性でした。症状の発現から回復までの時間は、12〜32日間でした。退院または検疫の中止後、患者は自宅で隔離を5日間継続するように求められました。

ところが、退院または検疫中止して5~13日後のPCR検査では全員がPCR陽性を示したのです。さらにその後4~5日間に3回のPCR検査をすると全て陽性でした。別のメーカーのキットを使用して追加のPCR検査を実施しましたが、結果はすべての患者で陽性でした。

そして、患者は診察では無症状であり続け、胸部CT所見は以前の画像からの変化を示しませんでした。呼吸器症状のある人との接触は報告されていません。家族は感染していません。

このことは回復した患者の少なくとも一部がまだウイルスキャリアである可能性を示唆しています。30代であれば通常は免疫力は強そうですが、このように長期にわたりウイルスが検査では陽性を示しています。

ここで重要なことは、PCR検査の結果です。2回続けて陰性が、ウイルスが存在していない証明に全くならないということです。さらに陽性というのも感染力があるかどうかの証明にもならないのです。PCR検査の陽性はウイルスが「存在している」ことはわかりますが、そのウイルスが生きているか死んでいるか、感染力を持っているか持っていないかなどについては全くわかりません。

陰性はたまたまその検査の検体にウイルスが存在しなかっただけかもしれません。体の中に存在しないことを判断することはできません。

PCR検査については国会でも議論がされていますし、連日マスコミでも取り上げています。しかし、このPCR検査についてなぜか専門家たちや厚労省は精度の低さをはっきりと言いません。専門家会議の人も誰もこのことをはっきり言いません。PCR検査の感度は50~60%程度と考えられます。感度は本当に陽性の人の中で、検査で陽性と判定される人の割合です。つまり本当に陽性の人の中でPCR検査で陽性と判定される人は40~50%しかしないのです。多くの偽陰性を出してしまう検査です。

これは毎年のインフルエンザの簡易検査にも当てはまります。感度の問題があるので、陰性=ウイルスがいない、ということは言えません。だから検査での「陰性証明書」というのは全く無意味なんです。インフルエンザであれば通常、ほとんど全員が数日で実際に陰性になるでしょう。インフルエンザの場合は症状が改善してからの日数で考えて登校、出社をすればいいのです。

しかし、新型コロナウイルスの場合はどの程度体内に存在するかはわかっていません。しかも、体内にウイルスがいるとしてもそれがいつまで感染力を持つかもわかりません。しかし、体内からウイルスが消えるかどうかもわからないので、人によっては延々と隔離されてしまいます。ウイルスを持っていることと感染力があることは別です。以前の水ぼうそうのウイルス(ヘルペスウイルス)のように大部分の人が体の中にウイルスを持っている、という状態になるまで、もしかしたら感染は広がり続けるのかもしれません。

現在の厚労省の退院基準は「新型コロナウイルスは潜伏感染する?」でも書いたように、PCR検査で2回陰性です。しかも熱は37.5度未満でOKなのです。全くこの基準が無意味とは思いませんが、一定の割合で症状が再燃する人が出てくる可能性はあります。37.5度未満であればまだ感染性が残っている可能性はあると思います。せめてその人の平熱まで下がることを基準にすべきだと思います。

だから、退院は臨床的に判断をするしかありません。症状が消失して、例えば3日後から退院OK、その1週間後から出社、登校OKとするなどとするしかないでしょう。そして、国民がそれを受け入れる必要があります。今のままでは、感染を経験した人はかなりの社会的差別を受け続ける可能性があります。

インフルエンザで検査慣れしている日本人の多くは、安易に検査結果を信じています。検査をすればすべてがわかるという妄想を持っている人もいます。マスコミの論調もそうですし、国会での野党の議員もそんな様子です。野党議員はわかっていて敢えて言っているかもしれませんが。また、インフルエンザは検査を行い、陽性とわかれば特効薬があるから早く検査をして確かめることが重要である、と思い込んでいる人もいますし、医師の中にもそのようなことを思っている人もいるでしょう。しかし、抗インフルエンザ薬は特効薬というほどのものではなく、ほんの少し症状を早く改善させる効果を持っているだけですし、デメリットもたくさんあります。その最も大きなデメリットは免疫機能の低下です。自分の免疫を信じなくなってしまった現代人は、未知のウイルスには恐怖しかないのかもしれません。それを煽るマスコミ。

これまで人類はずっと感染との戦いでした。そのために免疫力を進化させてきました。これからも様々な感染が起こるでしょう。自分の免疫力よりも薬に頼ったことを続けていると、いざというとき、未知の感染が起きたときに何もできない体になってしまっているかもしれません。

「Positive RT-PCR Test Results in Patients Recovered From COVID-19」

「COVID-19から回復した患者でのRT-PCRテストの陽性結果」(原文はここ

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コメント

  1. 金子 芳幸 より:

    以下の説が正しいのなら、新型コロナは、1日2回連続10日(20回連続)で陰性だったら偽陰性を排除できることに成りますね。検査の誤差などを覗いても。

    「プノンペン在住の河合浩美さんの新型コロナ病理メカニズム」

    https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fpermalink.php%3Fstory_fbid%3D2566877050296616%26id%3D100009230375044&width=500

    • Dr.Shimizu より:

      金子 芳幸さん、コメントありがとうございます。

      面白い仮説ですね。それでも偽陰性は排除できないでしょう。感染していても咽頭に出てこない場合もあるかもしれませんから。

  2. 鈴木武彦 より:

    高齢者介護施設に勤務していると、インフルエンザに対するタミフルの予防的服薬という
    行為が行われることがあります。
    一介護職員としては疑問に感じても抗う術はありませんが、毎度モヤモヤしています。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      介護施設だけでなく医療施設でも同じようなことが行われることがあります。
      タミフルを信用している医師は結構いると思います。

  3. NANA より:

    >タミフルの予防的投薬について

    日本は世界の中でも冠たるタミフル消費国ですが、以下の資料、記事がタミフルの問題点を整理していると思います。

    http://www.yakugai.gr.jp/topics/file/051121tamifuru.pdf

    https://npojip.org/sokuho/120201.html

    # 過日投稿した私の一連ツイート↓の中で、ドクターシミズさんのブログ記事を紹介、参考にさせていただきました。事後になりましたが、ご報告とお礼を申し上げます。

  4. やまもと より:

    インフルエンザは予防ワクチン接種が普及、タミフルなどの治療薬もあるにもかかわらず、死者の数は毎年3000人ほどで、致死率を考慮してもコロナよりもはるかに怖い病気だと思いますが、コロナほどの隔離体制はとられてこなかった。

    はっきりいって、コロナ隔離とコロナ自粛がこのまま継続すると、日本経済は壊滅的な打撃を受けるでしょう。ここまで過剰に反応しなければならない医療上の理由はあるのでしょうか。支配層の政治的な思惑は別論とします。

    • Dr.Shimizu より:

      やまもとさん、コメントありがとうございます。

      これまでのコロナウイルスの死亡数ってはっきりわからいないのが現状です。誰もちゃんと毎年調べているわけではありませんから。
      今日の記事で推測していますので読んでみてください。
      私も過剰反応はやめた方が良いと思っています。新型コロナもやっぱり普通の風邪レベルではないかと最近は感じています。

  5. まーさん より:

    抗体依存性感染増強でしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      まーさんさん、コメントありがとうございます。

      もちろん断定することはできませんが、抗体依存性感染増強(ADE)ではなくただの再燃だと思います。他の報告を見てもかなり長期間ウイルスが体内にいるようですから。
      ただ、年齢による重症化の違いはもしかしたらADEで一部説明可能かもしれませんね。ADEにより、これまでの他の風邪のコロナウイルスなどに感染した回数が多く、
      抗体をいっぱい持っている大人の方が子供よりも重症化する可能性が高くなるのかもしれません。
      マスコミなどはワクチンが早くできないか?などと言っていますが、ADEがある以上そう簡単にはワクチンなんてできませんからね。

      普段のインフルエンザワクチンにしても、もしかしたらこのADEが新型インフルエンザに感染しやすい原因となったかもしれません。
      カナダの報告では季節性インフルエンザワクチンを接種していた人の方は2倍くらい新型インフルエンザに感染していましたから。

      さらに子宮頸がんワクチンももしかしたらADEが関連しているかもしれませんね。HPVにすでに感染している人がHPVワクチンを接種すると逆に子宮頸がんになりやすい可能性があります。

      ウイルスは手強いですね。打ち勝つなんて無理でしょう。

  6. NANA より:

    HPVワクチンでADEが何らかの形で関連しているのかどうかは分かりませんが、HPVワクチン接種群においてワクチン標的タイプ16/18型以外のHPVによる異形成(Low grade cytology)の割合がワクチン非接種群のそれよりも増加しているというデータがあります。
    (論文のFigure 1 のグラフが視覚的に分かりやすい)

    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.30030